19 悲劇はいつもの場所から
エレベーターの扉が開き、俺らは乗り込んだ。そして、五階のボタンを押してドアを閉めた。
「最終的にはどんな感じにするかは決まったのか?」
「いや、そこまでは決まっておりませんけど」
担任の隣に行き、顔を見ながら悠馬が返事をした。そしてほかのメンバーはさっき提案していた案で揉めていた。
「てか、俺の部屋はなんで三人なんだよ。おかしいだろ。誰か一人にしたほうがいいだろ」
「別にいいじゃない。俺はなんも問題ないと思うけど」
「悠馬が問題じゃなくっても、三つも別途があるかって問題のほうがでかいだろ」
「それじゃあ、悠馬。俺の部屋でも来い。そうすれば、ちょうどいいだろ。それに悠馬には少し話さないといけないことがあるからちょうどいい」
担任は俺らの問題を一発で解決させた。別に一人じゃなくてもいいということだろう。
「わかりました。それなら、ちょうどいいですけど、もう一部屋はどうするのですか?」
「そんなの使わなくてもいいだろう。でも使いたいなら、好きにすればいいさ。俺は一切と止めんからな」
担任がとてもかっこよく見えたが、よく考えると学校のお金。別に担任がどうしようと関係ないことだろう。
そんな話をしているうちに、エレベーターは五階へ着き、ドアが開いた。そこにはホテルを感じさせる通路があった。じゅうたんが敷かれ、壁には部屋の番号がかかれており、矢印で案内表示されている。
「普通に良さそうじゃねぇか。俺はここでもよかったと思うけどな」
「正直、向こうのほうがいいとか思っているくせに。部屋があの写真みたいなら、この辺もそうだとかおもっているじゃないの」
真司は華音のほうを向いていたが、いきなり目をそらす。そして、華音はにやりと笑った。
「いやいや、そんなわけがないだろう」
真司はそらした目を合わせるが、勢いがない。それをいいことに華音はどんどん攻めていく。
「絶対に嘘ね。幼馴染なんだから、わかるんだよ」
「それを言われたら、どうしようもないな」
真司はショボーンとしてしまった。
「華音には勝てないか。やっぱり、真司はそういうところあるし」
「何がそういうところだよ。お前も勝てないのはわかっているんだぞ」
「なんかとても複雑な関係になっているね。私はこんな中には巻き込まれたくはないわ」
麻衣が遠目から見ていることに気づいたが、これはまずいと悟った。
――完全に引かれている。この関係はよくないことはわかるが、目が見えるかまで細めているとなると、見ていられないということになる。
「お姉ちゃんも大変だけど、一番大変なのはお兄ちゃんかな」
水奈はため息をつきながら、俺のほうを見てにやりと笑い、口を開く。
「水奈。なんだその悟ったという顔は? 何を悟りやがった」
「いや、別にハーレムっているのは大変なのかなって思っただけ」
「確かに、優梨愛と私と華音、水奈がそろえば、とてもいいハーレムになるものね」
麻衣は俺をいじめたいのか、悪魔の顔をしながら口を開いた。
「麻衣。これ以上、炎上させるんじゃない」
「俺も混ぜてよ。和孝がなんだって。ハーレム。そんな馬鹿なことがあるかよ。鈍感な奴にそんな転機がおとぞれる……」
真司はさっきのことなどお構いなしに、話に入ってくるものだから、華音の逆鱗に触れてしまったみたい。これは廊下でやることじゃないと思うけど。それにしても、担任はとても面白そうに見ているだけだし。教師なんだから、止めるとかしないわけ。
「あんたはだまってばいいの。食らわせられたいわけ?」
「ま……まさか、俺にそんなことはしないよね。華音にぶん殴られたら『見せられないよ』ってなるよ」
真司は手が下半身にあった。
「あ~、そういうことね。じゃあ、横腹の骨と股間のご褒美でもあげましょうかね」
「いや、や……やめて。俺のある大切なものが破壊される。それも幼馴染に。来ないでよ。俺が悪かったからぁ~」
どうやら、真司は立てなくなるほどの痛みを食らいましたとさぁ。あぶねぇ――、あぶねぇ――。
「とりあえず、行くぞ。部屋に。それと真司もどうにかしていけよ」
一番鬼畜な人はこの担任であった。転がっている真司を見なかったかのように蹴り上げていったのだ。
更新する予定だった土日にできなかったので、急いでの更新です。やっと更新ができたので、お知らせしますが、もう一つの作品の更新は少しかかりそうです。