〈狂飢する源初の放浪者〉
これは私がリュートである為の幻想だ。不快と思うならば読まなくていい。滑稽だと思うならば嗤えばいい。されど、現実と意志の狭間にいる私は。幻想にすがる他無いのだ。恥もプライドも持ち合わせがない。これを読んだ後何を考えるかは読んだ者次第だ。
さぁ、物語を始めよう。
この世界の終わりまでは。
C.A0028年。
とある村に俺は生まれた。幼少より、あらゆる武術を学ばされ、そして18の時国軍に入れられた。その国の王は真に平和を目指していた。
俺はそれを受け入れた。
それからはただただ戦いの日々だった。それから3年がたち。
最後の戦いの時。
俺は王のためにひたすらに。
敵を殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して・・・・
殺しまくった。
戦いの後。
王に呼び出された俺は。
ただ一言。死んでくれ。と言われた。
それに一言。了解。と答えて。
俺は命令を実行した。
それが俺の最初の記憶。
俺は第二次世界大戦下の日本に生まれた。サバイバル技術により食う物を集めて他より体つきの良かった俺は直ぐに徴兵された。
幾つかの戦場の後、特例として拳銃の所持を許可された。
そして俺は愛用のアリサカ銃と新しく支給された南部14年式を手に戦場に戻った。
最後の戦いは硫黄島だった。俺の分隊は山の頂上に陣を据え砲撃の止んだ後、ありったけの弾丸を敵に撃ち込んだ。元より物資不足であり、戦果の割に評価されなかった俺の分隊は直ぐに弾薬が尽きた。
目立つ位置で撃ちまくった代償は敵の爆弾だった。苦し紛れの俺の弾丸は空中で爆弾を起爆させたが、破片は容赦なく俺たちに降り注いだ。
それがその時の最後の記憶。
ある時はローマ兵に。
ある時は十字軍に。
ある時はテロリストに。
ある時は魔術師に。
ある時はレジスタンスに。
ある時は冒険者に。
ある時は海兵隊に。
ある時は魔王に。
ある時は傭兵に。
ある時は独裁者に。
ある時は騎士に。
ある時は剣奴に。
ある時は英雄に。
ある時は死神に。
ある時は・・・。
産まれ生きて息絶えて。
そしてまた産まれ生きて息絶えて。
幾度と無く繰り返しては、運命を受け入れた。
その度に誰かのために
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺されて殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺されて殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺されて殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺されて殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して・・・・・
殺しまくった。
後悔は守りたかった者に恐れられたコトだろうか。
そうやって、那由多の世界を越えて。
そして、今
「お前が・・・。」
「ふむ。わかるのか。」
「なぜかな。」
「なら質問に答えよう。」
「どうして俺は此処に?」
「私と話をするためだよ?〈理想〉」
「それが俺の役割か〈源初〉」
「そうだ。それがお前の役割。〈果たされる事なき真の理想〉だ。」
「俺に何をしろと?」
「簡単なことだ。お前自身の考える最良と最善に向かって走ればいい。心配ない。お前が〈理想〉である限り未来と可能性はお前の元にある。」
「俺に出来るというのか?」
「出来るさ。それが私の望む〈理想〉である限り。」
「なら、進むしかないのだろうな。」
「当然だ。次の世界、お前は〈結末〉と出会う。」
「俺以外のお前か。」
「そうだ。彼は〈叶う事無き可能性の結末〉。最初に会う時は〈結末〉ではなく〈追求〉だがな。」
「役割は変わるのか?」
「あぁ。彼はある時から〈実現すべき可能性の追求〉を超える。私の実現出来ない領域に達したなら、ソレを追求することは叶わない。」
「俺たちが出会うことは必然なのか。」
「わからない。だが、だからこそ私はお前に会いに来た。私の知らない未来の為に。終りを始まりに書き換える為に。」
「そうか。ならもう一度くらい生きても構わないだろう。長き時の果て、一欠片くらい。」
「ふむ。ならば生くといい。瞬きを永久に感ぜられれば、お前は満たされるのだろうな。」
「そうならいいな。生ってくるよ。」
「行って来い。お前に生への充足を。」
「あぁ。お前に生へ執着を。」
「冗談キツいぜ。さっさと生きな。」
「はいよ。精々逝かねぇようには気をつけるよ。」
「「じゃあな。」」
世界は静寂の果てに。
-END-
そしてまた、新たな物語が始まる。
お前たちは分かっているのか?主観でしか自らが情報を得る事が出来ないと。私たちの存在の証明は自らの認識に頼らざるおえないことを。
さぁ、可能性は示唆した。これから何を想うかはお前たち次第だ。新たな世界を紡ぐも良し。誰かの世界を感ずるも良し。なんだったら逃げたって構わないさ。いつでも自分を責めるのは自分自身なのだから。