表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Stare Melody  作者: kanoon
6/14

第6話:ようこそ、我が同朋よ(side:niigaki)

いつものように生徒会室でのんびり過ごす放課後。そのときドアがノックされ、入ってきたのは校長だった。


「校長!?どうしたんですか?」

生徒会会長である柊が問いかける。何か不味いことでもしたのだろうか。

「そんな不安そうな顔をするな。ただ、今度転校生が来るということを伝えにきただけだよ。」

校長は紳士的な人で、見た目は優しいダンディーなおじさんだ。

「「転校生!?」」

「で、俺らでおもてなしでもするんですか?」

相原が穏やかに言う。

「ざっくり言うとそういうことだね。」

「ざっくりすぎやろ……」

椎名がボソッと呟く。激しく同意。

「歓迎会でも開いてくれ。ああそう、因みにクラスは桐山くんと椎名くんと同じだから。」

「まさかの。」

ちょっと凹み気味の柊が言う。「どんな子なんやろ〜」と結奈と話すのは無論、椎名。

「じゃあどんな歓迎会やろうか。」

相原は相変わらずおっとりして言った。それに葛城が答えた。

「やっぱり歓迎会といえば、どこかに行ってバイキングとかでしょう。」


……ってお前、学年違うだろ!


そんなこと誰も気にせずに続ける。

「それもええやんな。まあ食べ物じゃなくても良いと思うけど。」

「某●ズニーランドとか?」

良い!と結奈が反応する。好きだからな、結奈。


……でも高くねぇ?(手で金マーク作って)


「やっぱり高いし、ちょっと遠いかもな。」

「一人のための歓迎会でそこまでやる必要無いしね。」

柊と相原がうんうん、と頷きながら言った。

「じゃあ、やっぱりこの部屋でお菓子でも食べるか?」

「結局?いつもと変わらないじゃん。」

俺は椎名の笑いながらの問いに答えた。そうかもな、という椎名の返事。

「でもそれが私たちらしくて良いのかもね。」

結奈も満足げに肯く。

「じゃあそうしよう。装飾もして。」

柊が言うと、皆頷いた。



転校生が来る当日。柊に「転校生に来るように呼んだから、装飾頼む」と言われ、オレや他の人は生徒会室に来ている。

「こっちにそれ置いて。」

「これはー?」

様々な声が飛ぶ。良くあるちゃちな紙の輪っかとか、風船とか、そんなものを飾っていく。

嫌いじゃないけどね、こういう作業。

「桜ちゃん、来るのかな?」

「来るだろう。」

転校生は永井桜という名前らしい。見た目はそこそこ可愛い女の子みたいだ。椎名によると、ちょっと警戒心が強くてあんまり喋れ無かっただと。


……お前も十分警戒心強いけどなー


「じゃあ、今日は楽しみますか。」

「ほな、放課後。」

ざっと装飾してしまうとお昼終了のチャイムが鳴ったので、オレたちは解散した。



コンコン。

扉が重い音で鳴る。きっと今回のお客様だろう。柊が「どうぞ入って」と言うのと同時に、椎名が扉を開ける。どうぞ、と執事のような(?)仕草で彼女を部屋に入れさせた。

「えっと、お願いします。」

消え入りそうな声で挨拶をし、ぺこりと頭を下げる。結奈がニコッと笑ってそれに応えた。

「堅くならないでいいよ!宜しくね」

その笑顔に釣られたか、桜ちゃんもぎこちなく笑った。

「ささ、とりあえず挨拶しちゃおう。俺は桐山柊、生徒会会長ね。」

「相原海斗です。生徒会副会長なの。」

「椎名椋や、生徒会会計やってる。」

「葛城友也です、高一で生徒会書記です!」

「中本結奈、仲良くしてねー」

「新垣隼、宜しく。」

それぞれのキャラとテンションで挨拶し終えると、その迫力に気後れしながら桜ちゃんも挨拶する。

「永井桜です。」

「よし、桜ちゃん楽しんで帰ってな。皆お菓子出せお菓子!」


……お前はやらんのか柊!


という不満なんて口にせずに(というか楽しいから)皆それぞれ机にお菓子を出す。トランプやら王道な王様ゲームのための割り箸なども。お菓子も、高いものからコンビニのお菓子まで様々だ。

「好きなもん食べ?」

ブレない笑顔で椎名が桜ちゃんに語りかける。彼女はおずおずと頷いた。

「おい椎、桜ちゃん物怖じしてんだろ」

「ん?ごめんごめん、俺怪しい者じゃないし。」

椎名の得意技、おちゃらけて濁す。でもそのお陰か、ほんの少しだけ桜ちゃんは笑ってくれた。

葛城が突然椎名に駆け寄る。

「クッキー作ってきたんで、食べて下さい!あ、皆もどうぞ。」


……お前は女子か!オレらはついでか!


「ありがとう。」

「俺も作ってきたんだぜ?」

柊もタッパーを取り出して配る。結奈は周りに花を飛ばしながら、桜ちゃんに言った。

「柊くんの作るお菓子、凄く美味しいんだよ!」

「本当?ありがとうございます。」

彼女はそう言うと、一口パクッと食べたら目を丸くした。「美味しい!」という声が心なしか弾んでいる。

「それは良かった。」

そういう柊も嬉しそうに口元を綻ばせている。そんな彼が持つタッパーからお菓子を幾つも持っていく男が。

「相原。」

「ふわぁいっ!」

口に詰め込みながらの返事。


……お前何してんだ、いつもの貴公子面はどうしたよ。


「ズルい!私もー」

結奈が負けじと食べる。


……お前ら、メインが食べないでどうするよ。


「「いいの。」」


……いや、良くない。



その後も下校時刻ギリギリ(18時)までワイワイ騒いだ。

トランプではオレと椎名が負けて十八番を歌わされたり。王様ゲームも柊が物真似したり、結奈がパシりになったり。

「楽しかったなー。」

柊の声に葛城が応える。

「ほんまですわ。」

「装飾の片付けは明日でいっか。」

「もう時間だもんな、じゃあ解散!」

柊の一声でオレたちはそれぞれ帰路につく。オレと結奈と桜ちゃんと相原は同じ方向で一緒に、柊は一人で、椎名と葛城は二人で帰った。


「楽しかった、桜ちゃん?」

「うん、楽しかった。」

始めよりも大分砕けた調子になった彼女は、楽しそうにしていた。

「それは良かった。あんな変なキャラの奴らだけど、仲良くしてやってね。」

「隼だって最近生徒会に入って来たばっかりじゃん。」

結奈のツッコミに、思わずたじろぐ。何だかずっと一緒に居る気でいた。

「これから宜しくね。」

そう言った桜ちゃんの笑顔は、はっとするような表情だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ