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Stare Melody  作者: kanoon
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第2話:初めてのおつかい、じゃなくて依頼(side:niigaki)

完全にパニックだ。何でオレがそんなレンジャーごっこに付き合わされるんだ。

「ほら、ぼーっとしてないで行くよ!」

結奈に引っ張られてオレは泣く泣く生徒会室を出た。



なんともベタな体育館裏。喧嘩に強い椎名とオレが前線、次に強い葛城と柊が後ろで待機している。


(良くバレないよな……)


まだついてきてない頭を、仕方ないからと納得させる。

横を見れば、明らかに楽しんだ様子の椎名。

「なあ、いつ来るん……」

「静かに!」

椎名が指差す先に、駒沢くんとやらと数人の悪そうな男子が。どう考えたってリンチの場面だよこれ。

「んじゃ、行こうか。」

ぽつりと柊ことリーダーが出撃命令を出した。

皆して色の付いたレンジャー仮面(因みに、柊はレッド、副会長はグリーン、葛城はオレンジ、結奈はブルー、オレはパープル)と思いきや、椎名だけ真っ白な狐の仮面。なんで?と思いつつも後回し。

「ぼーっとすんなや、行くで。」

「お、おう。」

狐の仮面に黒髪って似合うな、なんて場違いに思った。ますます胡散臭い。


「や、やめてくださいっ」


駒沢のか細い声が響く。これはターゲットになりやすいタイプだな、なんて呑気に考えながら走っていった。

「なあお前ら、何してんの?」

訛りの無い標準語ってこんなに怖いのか……椎名は薄ら笑いを浮かべて、ついでに声に感情も消して言った。これが、あの関西弁で面白優しいキャラと同一人物だなんて、信じられない。

オレも置いてけぼりを喰らうわけにはいかないので、同じように他の奴を脅した。

「何やってんだよ、離してやれ。」


普段からこんなんだけどさ、オレ!


「誰だよ、変な仮面付けちゃってよ。邪魔すんなっ」

いきなり殴りかかってくる下っ端たち。椎名はリーダー格を相手してる。

「名乗る筋合いもない。」

「ホワイト、加勢しましょうか?」

「必要無いな。連れていってくれ」

了解、と葛城ことオレンジが言って、駒沢を連れ出した。それを横目で見たオレたちは、遠慮なく(?)相手を潰したのだった。



「すみませんでした!」

全員が土下座をして謝り帰っていった後、オレたちは生徒会室に戻ってきた。

「しーくんも隼もお疲れ様。カッコ良かったよ。」

結奈は飲み物を手渡してくれた。オレにはちょっと甘めのミルクティー。椎名には微糖のコーヒー。


……なんかオレ餓鬼だな。

ちょっとだけ凹んだ。


「ありがとう。」

椎名と葛城の訛りは元に戻っている。

「椎名も葛城も、なんでさっきは普通に標準語だったんだ?」

「顔隠してるのに、東京で関西弁喋ってたら人物特定されやすいんですわ。せやから、バレへんように標準語にしてるんです。」

「そっか。なんか違和感アリアリだな、それはそれで。」

「かもな。でも新鮮やろ?俺じゃないみたいで。」


……なんか、今腹立った!

その不敵な笑みで言われると腹立つ。図星なのに。


「嘘や、そんな敵意剥き出しにすんなよ。」

柔らかい余裕の笑み。コイツには適わないと思った。

「はじめの時より、ここに慣れたろ。こんな仕事を実はしてるんだ、俺たちは。」

柊はオレに向かって言った。きっと楽しいんだろう、仕事は大変でも仲間が良い仲間だ。

オレも笑って返した。

「今更やめますなんて言えないんだろう?」

「おう。なら宜しくな。」

口々に宜しくと言われ、少々照れくさく。オレはふいっと横を向いて頷いた。

横目で見た椎名は、葛城と嬉しそうに微笑んでいた。



「あれれ、皆揃ってる。あ、依頼行ってくれた?」

「おお、行ったよ。」

生徒会室のドアが開き、入ってきたのは不在中だった副会長、相原海斗(あいはらかいと)

貴公子的ポジションで、紳士。たまにド天然を発動させることも。背は椎名よりも少し高く、女子にかなり人気だ。

「ありがとう。あれ、しーちゃん怪我してる。」

「へ?ああ、大丈夫。」

驚いたように目を丸めてから、頬を軽く掻く。本当だ、頬にひっかき傷。

オレは無意識に顔を歪めていたようだ。パシンと軽く叩かれる。

「なんであんたがそんな顔すんねん。」

「椎名さん、絆創膏ありますよ!」

「さんきゅ、友也。」

椎名に表情を指摘されたのが悔しくて、オレはそっぽを向いた。


……大人気ねぇな、オレ。


仲間内でワイワイしているなかに入れないオレに気付いた結奈は、隣に座って言った。

「なんで隼遠慮してるの?らしくない」


オレだって知らないよ、なんか入りがたいんだよ。


「そうだそうだ、隼らしくない!」

柊までひょっこりとオレの横から顔を出して言う。何なんだコイツら。


「何なんだと言われれば、白春レンジャーでしょ。貴方の日常を楽しいものに。」

「「それが白春レンジャー!」」


……疑問に思ったオレがいけませんでしたすみません。

コイツら、本当に生徒会上層部か?


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