合流
御子柴奏
2本目の動画が世に出てから2週間ほど経った。
相沢凛との対談が実現するだろうと大方予想はしていた。相沢凛の性格やこれまでの行動からして、朔の誘いに乗らないはずがない。
そしてその予想は見事当たった。
テレビ局からの誘いもあり、相沢凛との対談の放送日は、今からちょうど1ヶ月半後の土曜の夜。ゴールデンタイムの二時間枠を特別番組として緊急確保できた。
テレビ局とのやり取りや、ライブ配信の段取りは、主に俺が今後は担当することになる。
とはいえ、顔も出さず、声も変えるためバレる心配は1ミリもなかった。
朔が「直接伝えたいことがある」ということで、
俺は彼から指定されたホテルへと向かっていた。
直接会うのはこれが2度目だ。
ホテルに着くと、スマホに送られてきたQRコードを、ドアのスキャナーにかざす。
ピッと軽い電子音が鳴り、ロックが解除された。
今はこんな形式のホテルキーもあるのかと感心する。
ドアを開け、部屋へ足を踏み入れた瞬間、
俺は息をのんだ。
部屋の隅にあるソファに、一人の女性が座っていた。
年齢は少女と呼ぶには少し上だが、
明らかに自分よりは若く見える。
ラフなパーカーに、スウェットパンツという、いかにも部屋着といった格好だ。
俺は咄嗟に部屋を間違えたのかと思った。
女性は俺の姿を見て、目を見開く。
その手にはCoCo壱の紙製容器。
無心でスプーンを動かしていた彼女は、
その動きをぴたりと止めた。
(部屋を間違えたのか?)
俺の頭に疑問が浮かんだ。
(不審者?)
女性の目が、警戒の色を帯びているのがわかった。
お互いに何も知らされていなかったため、一瞬の間に部屋の空気は凍りつく。
言葉も出ないまま、ただ互いを見つめ合った。
そのとき、洗面所の方から、水が流れる音が聞こえた。
「あ、お久しぶりです」
扉が開き、飄々とした顔の朔が、手についた水滴を払いながら出てきた。
その瞬間、俺と女性は同時に朔へと視線を向けた。




