2本目の動画
御子柴奏
朔と顔を合わせるのは、あの夜以来一度もない。
互いの身元を守るため、念の為に
やり取りはすべてオンライン会議だった。
身バレするような痕跡は残していないものの、
接触は最小限に抑えておくことにした。
二本目の動画を出す数日前、
俺は朔とオンラインで打ち合わせをしながら、
すでにその動画以降の動きを計画していた。
「ただメディアに出るだけでは、面白くない。
どうせなら、敵に真っ向からぶつかる姿勢を見せるべきだ」
俺の提案に、朔は少し考えた後、了承してくれた。
そして、世に出た二本目の動画は、俺の予想を遥かに上回る反響を呼んだ。
各種メディアがこぞってこの話題を取り上げ、朔の動画の注目度は、以前にも増して急上昇した。
動画の内容は、一本目と同様朔がフードを深く被り、顔を隠したまま語りかけるものだった。その中で、朔は「デジタル・フロンティアの一件は自身が告発したこと」を明かし、「若手政治家・相沢凛との対談を望む」と宣言した。
その動画の最後に、朔はメディアからの出演依頼や取材の問い合わせ窓口として、新たに開設したメールアドレスを公開した。
正直、俺が朔の計画に乗ったのは、いくつかの理由があった。
父親の件を知りたいという単純な興味。
そして、朔の目的そのものに、俺自身が強い共感を抱いたこと。だが一番の理由は、この計画がどう転がるのか、単純に面白くなってしまったからだ。
一方で、俺はまだ朔に聞けていないことが山ほどあった。
朔がどうやって、国会議員すら知りえない情報を手に入れているのか。そして、今後の計画で「表に立つ」ことになる、俺でも朔でもないもう一人の人物。
一体、そいつは何者なんだ。
様々な疑問を抱えながら、俺はスマートフォンの通知を見つめる。YouTubeアカウントには、メディアからの出演依頼がひっきりなしに届いていた。




