速報とテロップ
天崎桔平
一週間前、御言葉が禁じる「清浄な魂」を汚してしまった。彼女の唇が触れた時、頭に響く御言葉の囁きは、甘美な禁忌の熱に溶けていった。
彼女の柔らかな肌の感触は、祈りの言葉よりもずっと鮮明に、俺の記憶に焼きついている。
渋谷のスクランブル交差点を歩いていた。
雑踏の中で、スマートフォンが震えた。
画面に表示された彼女からのメッセージ。
たった数文字のそのメッセージは、
再び一週間前の残滓を鮮やかに蘇らせる。
俺は、メッセージを既読にするだけで返信はしなかった。
ふと顔を上げると、目の前の大型ビジョンに、速報ニュースという文字が飛び込む。巷を賑わせている、あの動画の投稿主だ。
黒いフードを深く被り、顔を完全に影に沈めた人物が、カメラに向かって静かに語り続けるあの動画。
画面の下にテロップが流れる。
『動画投稿主が2つ目の動画を投稿。デジタルフロンティアの一件は自身が告発したと公表。今後、若手政治家・相沢凛との対談を望むと明言』
大型モニターに映る速報の写真を
スマホで撮るために、ちらほらと足を止めていた。
正直、これまであの動画にさほどの興味はなかった。しかし、最近よく見る若手政治家との対談は、流石に少し気になった。
俺の彼女がこの一連のニュースに
かなり興味があることを思い出し、
歩きながらおもむろに携帯を開き返信する。
「速報みた?」




