真っ白
御子柴奏
「は?……え?」
混乱する俺を見て、
青年――姫野朔は面白そうにクスクスと笑った。
「そうですよね、いきなり言われてもピンとこないですよね。ただ、事実なんですよ」
そう言って、朔は再びスマホを懐にしまうと、
部屋全体を見回してポツリと呟いた。
「あれ、そういえば電気をつけていませんでしたね。ごめんなさい、私、基本的に部屋の電気つけなくて」
青年は悪びれる様子もなく、
部屋の隅にある壁スイッチに手を伸ばした。
カチッ、と軽い音と共に、
天井の照明が部屋全体を明るく照らす。
その瞬間、俺は息を呑んだ。
そこに立っていたのは、
まるで雪でできた人形のような青年だった。
真っ白な肌。
長い髪も、眉毛も、まつ毛すらもすべてが白く、
色素というものが全く感じられない。
顔立ちは、少女と言われても疑わないような顔で、
そのどこかミステリアスな雰囲気と相まって、
現実離れした美しさがあった。
直接目にするのは初めてだが、
俺は以前ニュースで見たことがある
「アルビノ」という難病だろうということには
すぐ気づけた。
青年は、俺の視線に気づいたのか、
自分の白い髪を指先でクルクルと弄びながら、
にこりと微笑んだ。
「驚かせてしまってごめんなさい。
ええと、改めて自己紹介させてください。
私、姫野朔。高校二年生です」
高校二年生。
つまり、俺より一つ年下ということになる。
「……年下?」
思わず、そう口にすると、朔は頷いた。
「はい。なので、奏さんには敬語を使いますが、
どうかお気になさらないでください」
朔の言葉に、俺は自分が抱いていた緊張が
少しずつ溶けていくのを感じた。
それと同時に、この子が一体何者で、
何を企んでいるのか、という疑問が、
再び脳裏を駆け巡る。
青年は、そんな俺の心の動きを
見透かしたかのように、
真っ直ぐに俺の目を見つめて言った。
「先に結論から言います。
私の計画には、あなたの力が必要です。
もし写真の真実を知りたいのであれば、
私と一緒に力を貸してください。
これは脅しでも何でもなく、あなた自身の選択です」
青年の顔は、先程までの飄々とした表情から一転、
真剣そのものだった。




