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ステンドグラス
天崎桔平
教会のステンドグラスから零れる朝の光が、
やけに目に染みる。
重厚な木の椅子に腰掛け、
祈りを捧げる信徒たちの姿を、
少しうしろからぼんやりと眺めていた。
ギシギシ、と微かに音がした。
太陽の熱でステンドグラスを支える
木枠が軋む音だ。
その音を聞きながら、桔平は静かに息を吐いた。
この場所から一歩外に出れば、
「普通の大学生」として、
ごく当たり前の日常が待っている。
しかし、この場所においては違う。
いつからだろうか。
御言葉が、ただの繰り返される
言葉の羅列に聞こえるようになったのは。
だが、それは大した問題ではなかった。
昨晩、御言葉が禁じる「清浄な魂」を
汚してしまった。
その日から、祈りの声は、
ただの雑音に変わり果てていた。
御言葉:神様や教祖様のありがたいお言葉のことです。




