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秘密の先の異世界で  作者: 橘可憐


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魔道具開発5


「お帰り~」


雪永との温泉日帰り旅行を堪能して帰った葵を、瑠紺はご機嫌で出迎えてくれた。


「ただいま」


「どうだった。久しぶりの休暇は楽しめたかい?」


「ハイ、とっても楽しかったです」


「それは良かった。そんな葵に私からもプレゼントがある。まあ、ここで話していても仕方ない。上がって上がって。お茶でもいれるよ」


玄関で何やら興奮気味の瑠紺に出迎えられたはいいが、葵はなんだかお客様にでもなった気分でタジタジだった。

いつもの座卓に座り瑠紺のいれてくれたお茶を飲みながら、今からどんな話をされるのか何をプレゼントして貰えるのかと、ニコニコ顔の瑠紺を黙って見つめ少しだけ期待の念を送った。


「えっと、あのぉ、それで・・・」


なかなか話し始めない瑠紺に痺れを切らし、葵は思い切って自分から切り出した。


「やっぱり気になるよね?」


「はい」


これだけ期待させておいて気にならない訳がないだろうとは言えず、葵は素直に頷いた。


「これなんだけどね」


瑠紺は座卓の上に何やらちょっと大きめの金属プレートをアイテムボックスから取り出して置いた。

座卓よりは少し小さめだが勉強机くらいの大きさがあるプレートで、中央に何やら魔方陣のような紋章の模様があった。


「これは?」


「錬成台だそうだよ」


「錬成台ですって!」


錬成台と言えば錬金術を施す為の作業台として葵の知識にも確かにあった。

しかし葵は錬金術と言えば錬金釜との考えがすっかり根付いていて、錬成台での錬成など思いつきもしなかった。


「思った以上の反応を見るのは本当に楽しいね」


瑠紺は本当に楽しそうにニコニコしながら葵を見つめ、さらに大中小と大きさの違う鍋のような物を取り出した。


「これ、どうしたんですか?」


「錬成鍋というらしいよ。葵が喜ぶだろうと思ってね」


瑠紺は葵にウインクをしてみせるが、葵はすでにそんなことを気にできるほどの余裕がなかった。


「これを使えばあれこれ錬成できるって事ですよね?」


「そういう事になるね。で、喜んでる? どう、嬉しいのかな?」


「はい、喜んでます。とっても嬉しいです。ありがとうございます」


葵は思いもかけないプレゼントに興奮し、心からのお礼を言い頭を下げた。


「他にもこんな物もあるんだよ」


次に瑠紺がアイテムボックスから取り出したのは何かがびっしり書かれているノートだった。


「・・・」


「レシピ研究ノートだそうだよ。彼の研究過程や結果など詳しく書かれているらしい」


「本当ですか! それってレシピ集ってヤツですよね」


葵は冒険者が作ったというMPポーションなどのレシピまで手に入るとは思ってもいなかったので本当に驚いた。

これでハヤトの意志を継いで鑑定道具を研究することもできるし、ポーションの作成もできる。きっと他にも色々と作れる物がある筈だ。


「ふふふ、それは良かった。私も頑張った甲斐があるよ」


「頑張っていただいたんですね。本当にありがとうございます」


「いや、そうでもない。ちょっと言ってみたかっただけだよ」


「なんですかそれ」


「実は正直に言うと、私が預かっていながらすっかり忘れていたと言うのが正しいので本当は申し訳ないと思っている」


「そうなんですか」


瑠紺は葵が以前錬金術師をしていた人に会いたいと話したことから、彼に会い記憶を戻し話を聞いてきてくれたそうだ。

葵と直接合わせる訳にはいかなかったらしく、瑠紺が聞いてきた話の又聞きになってしまうがと先に謝られた。

また話を終えた後再度記憶を弄った事でこれ以上の記憶の操作は危険が伴うらしく、さらに話を聞くのは難しいので質問は受け付けられないとも説明される。


そうして引退した訳あり冒険者から聞いてきたという話が始まった。

その冒険者はどうしても錬金術師になりたくて、錬金術師の出す無理難題をクリアして苦労して弟子にして貰ったそうだ。

しかし弟子になったはいいが錬金術を教えられるというより助手扱いで、肝心の所は秘匿され続けける。

なので冒険者は錬金術師の技を見て盗み、殆ど独学であれこれ隠れて作っていた。


しかしある時その事が錬金術師にバレた。

すると今度は掌を返し、冒険者が作り出す物をさも自分が作ったように世に見せかけ、冒険者を縛るようになった。

というような葵が想像していた通りの話が続き、最後は精神を病みかけ冒険者は異世界に絶望し引退することにしたそうだ。


その時に瑠紺は冒険者から錬成台や錬成鍋にレシピ研究ノートなどと、冒険者が錬成した大量のポーションとを一緒に受け取りながらすっかり忘れていたらしい。


「いやぁ、ほらね。一度に色々受け取ってそのまま纏めて収納したからいちいち確認してはいなかったのだよ。そういう事もあるだろう?」


「・・・まぁ、そういう事もありますよね」


もっと早くに気づいて出してくれていたなら、あれこれ悩む必要もなかったのにと思いながらも、葵は思いもかけなかった瑠紺からのプレゼントに感激していた。

そしてもし錬金術師とこの先揉めることがあったならと危機感を強め、その対処は絶対に必要だろうと考え始めてもいた。



ストックがなくなりましたので、明日からの更新は18時の1日1回に変更させていただきます。

このまま完結へと向けて頑張ります。

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