ヤンデレ病
小4のsnowで〜す!母のメープルと一緒にお話を書いてます!今回初めてお話を書かせていただきましたー!!
主人公がヤンデレ化していくサイコホラー、是非お楽しみください!
※びっくり要素は含まれていません。あくまで心理的な怖さです。
「あのさ、穂果ちゃん...最近さ、ちょっと変じゃない...?」
...は?
何気なくクラスメイトに投げかけられた言葉に、私は僅かに眉を顰めた。
違わない。私はいつも通りだ──完璧に。
小室穂果は成績は常に学年トップ。
規則正しい生活、誰にでも分け隔てなく接し、教師や友人からも信頼される模範的な生徒。
そう、彼女は『完璧』だった。
ただ、その完璧さを脅かす存在が現れるまでは。
それはある日、親友の森本日菜乃が宮下茜と楽しそうに話す姿を見かけたときだった。
ーどうして私じゃない?
その疑問は小さな棘となり、心に刺さる。
当初は些細な感情だったはずだった。だが、日に日にその棘は深く突き刺さり、次第に自分の中で膨れ上がってくる。
「私が一番じゃなきゃ、意味がない...。」
気づけば、彼女は周囲を『管理』しようとし始めていた。
穂果は変わらず完璧だった。だが、その裏では綿密に周囲を監視していた。
日菜乃が誰と話しているのか、どこで何をしているのか。穂果は彼女の行動を逐一把握することが当たり前となっていた。
昼休み、日菜乃が宮下茜と談笑する様子を眺めながら、穂果は手元のノートにその内容を書き写す。
ー3月10日、1時25分。日菜乃、教室で宮下と会話。話題は新しく出来た遊園地。
「別に、いいけど...」小さく呟いた言葉は、自分に向けたものだった。
それでも、胸の奥で膨れ上がる焦燥感は消えない。
以前は自分とだけ過ごしていたはずなのに、最近は他の誰かといることが増えた。
まるで自分の存在が後回しにされているような気がして、穂果は唇を噛む。
その日の放課後、穂果は日菜乃を待ち伏せしていた。
「日菜乃!」
廊下の角で声をかけると、日菜乃は少し驚いたように振り向く。
「あ、穂果。どうしたの?」
その笑顔に安心するはずだった。
だが、穂果の心に広がるのは、ほのかな苛立ちだった。
「最近、私といる時間、少なくない?」
穂果の声はいつもより少し低い。
「え? そんなことないと思うけど…。」
日菜乃は首を傾げる。
嘘だ。
穂果には分かる。以前のように自分だけを見ていないことに。
「……まあ、いいけど。」
穂果は作り笑いを浮かべた。
けれど、胸の奥に芽生えた不安は、次第に形を変えていく。
次の日、穂果は日菜乃が誰と過ごすかを確かめるため、休み時間のたびに彼女を探した。
「おはよう、穂果。」
いつものように話しかける日菜乃。
けれど、その後ろには宮下の姿があった。
(邪魔だな…)
胸の奥に、冷たい感情が生まれる。
日菜乃の隣にいるべきなのは、自分だけ。
そうでなければ、意味がない。
それから数日後、宮下の机から消えたペンケースの件が、クラスで騒ぎになった。
──もちろん、誰も知らない。
それが穂果の仕業だなんて。
穂果の完璧な日常は、少しずつ狂い始めていた。
日菜乃が他のクラスメイトと仲良くなると、その相手には些細な嫌がらせが起こるようになった。
机が消える。持ち物が壊れる。些細な噂が広がる。
誰も気づかないところで、穂果は静かにすべてを操作していた。
「ねぇ、穂果。最近、ちょっと怖いことが続いててさ...。」
日菜乃が相談を持ちかけたとき、穂果は優しく微笑んだ。
「大丈夫、私が守ってあげるよ。」
その言葉に日菜乃は安堵したように笑う。
──その笑顔が、何よりも愛おしかった。
やがて、日菜乃は他の誰とも話さなくなった。
穂果だけが唯一の支えとなり、世界のすべてになった。
それでいい。
「ねぇ、ずっと私だけを見てくれるよね?」
穂果の声に、日菜乃は少し怯えたように笑う。
だが、穂果はその笑顔さえも自分だけのものにしたかった。
学校中がどれだけ不穏な空気に包まれても、穂果は意に介さない。
──だって、日菜乃はもう私のものだから。
そして、ある日。
日菜乃が突然、学校を休んだ。
どれだけ連絡しても、応答はない。
教室にある彼女の机は片付けられ、名前すら消えていた。
「...どういうこと?」
何かがおかしい。
焦燥感が胸を締めつける。
「日菜乃がいないと、意味がないのに...。」
穂果は気づかない。
自分が作り上げた『完璧な世界』が、日菜乃を壊してしまったことに。
静まり返る教室。
穂果の耳には、もう日菜乃の声は届かない。
それでも、彼女は一人呟く。
「大丈夫、また会えるよね...?」
──その笑みは、もう誰にも止められない狂気に満ちていた。
読んでいただきありがとうございましたー!!
もう取り返しのつかないことになってしまった小室穂果。
どうすれば救えたのでしょうか...?或いは最初から救えなかった?
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態々あとがきまで読んでいただきありがとうございました。