御礼企画 妻の心を取り戻すには ⑦
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「あら、カステヘルミったら元気がないじゃない?」
「本当よ、随分と元気がないみたいだけど大丈夫なの?」
「もしかして隣国の王女様の結婚式がもうすぐ行われるというのに、公爵家ではまた何の準備もせずに結婚式を行おうとしているのかしら?カステヘルミの結婚式と同じように最低な展開を迎えようとしているから、心配なのかしら?」
カネルヴァ伯爵邸のサロンに集まったクリスティナとリューディア、マリアーナが私の方を心配そうに見ているのだけれど、
「え?私ったら元気がないように見えるのかしら?」
思わずティーカップをソーサーに戻して自分の顔に手を当ててしまったわ!
「カステヘルミ、噂で聞いてはいるけれど」
クリスティナが心配そうに言い出したのよ。
「貴女ったらレストラン・ラヴィントラでアレクサンドラ・デンシック様と顔を合わせたのでしょう?」
「えええ?アレクサンドラ様ってあのアレクサンドラ様?」
リューディアが驚きの声をあげたのだけれど、マリアーナはその驚きの意味が分からないようでキョトンとした表情を浮かべているわ。
「アレクサンドラ様って?」
「一時期、オリヴェル様の結婚相手として名前が挙がった方なのよ。交際もされていたと思うのだけれど?」
「何でも噂によると、レストラン・ラヴィントラの店前でカステヘルミ相手にマウント攻撃に出たらしいのよ」
「「まあ〜!」」
三人の悪友は互いに目と目を合わせると、興味津々の様子で私の方を見るのよ。
「オリヴェル様と一緒にレストランに出向いた先での衝突事故のようだったけれど?」
「まあね、相手は興奮した雌牛のようで大変だったわよ」
三人が興味津々の眼差しで私の方を見続けるので、
「相手がオリヴェル様との交際期間をひけらかして来たから撃退しただけよ。これからカタジーナ様が輿入れして来るというのに、未だに私がアレクサンドラ様にバカにされるほど公爵家で冷遇を受けているという噂が広まったら厄介だもの」
私がそう答えると、三人はニヤニヤ笑いを始めたのよ。
「そんなことを言いながらカステヘルミったらすでにほだされているんじゃないかしら?」
「普段だったら相手にもしないような相手を本気で撃退しているのだもの!」
「今着ているドレスだってオリヴェル様にプレゼントしてもらったドレスでしょう?」
確かに今着ているのはオリヴェル様が船の上から強奪(購入)して来たドレスだけれど、それで私がほだされるわけがないじゃない!
「私はカステヘルミについては心配していないんだけど」
そこでマリアーナが心配そうな眼差しで私を見ながら言い出したのよ。
「公爵家に嫁ぐ王女様が途中から別の王女様になったのでしょう?しかもその王女様が色々と問題があるみたいじゃない?」
するとクリスティナとリューディアまでかしましく騒ぎ出したのよ。
「聞いたわよ、口の中まで真っ黒だって」
「白目も黒なんでしょう?」
「私は牙が生えているって聞いたけど?」
思わず呆れ返ってしまったわ!
「みんな!あんなバカみたいな流行歌を信じきっているわけじゃないわよね?口の中まで真っ黒で白目も黒で、牙が生えている人間が実際にいるわけがないでしょう?」
「でも」
「だって」
「噂によると」
「私はカタジーナ王女様と文通をしているのよ」
このことについては三人に話をしたことはなかったのだけれど、バカみたいな流行歌を信じきっている悪友たちに教えてやることにしたわ。
「カタジーナ様は元々、婚姻政策としてイブリナ帝国の皇帝陛下の年取った叔父様の元へ輿入れする予定でいたのよ。帝国については全く不案内だからということで、わざわざ私宛に相談のお手紙を送って下さったのだけれど、手紙からはとっても低姿勢で真面目な印象を受けたわ!」
「低姿勢なのは容姿に問題があるからとか?」
「あのね、万が一にも容姿に問題があるようであれば、皇帝の年取った叔父の5番目だか6番目の妃として輿入れする予定にはならないはずよ」
帝国では金持ちの道楽として年取ってから他国の血筋も正しい令嬢(王族の血筋ならなお良し)を妻に迎えるのがステータスだったりするのよね。
「私たちの親世代ではトルステンソン侯爵家の令嬢が帝国の年取った貴族の元へ輿入れすることになったことがあったけれど、それと同じように、カタジーナ様も高齢者の元へ輿入れする予定だったのよ。その相手が突然お亡くなりになってしまったから急遽、ラウタヴァーラ公爵家に嫁ぐことになったみたいではあるんだけど」
「それじゃあカステヘルミはカタジーナ王女様のことを知っているのね?」
「会ったことはないけどね」
「会ったことはないの?」
「それはそうよ、あちらは隣国ルーレオの王女様だもの」
ルーレオ王国では正妃様が産んだ王子、王女は表に出て来るけれど、妾妃が産んだ子供が表に出て来ることはないのよね。そもそもカタジーナ様の手紙も乳母の実家から我が家に届けられたものだった。この一事を見るだけで王女の待遇が分かるようなものだわ。
「カタジーナ様は最近、母方の祖父が亡くなることになって炭鉱を遺産として貰うことになったのよ。それが理由で『墨色姫』と呼ばれるようになったのが、敵国オムクスの所為で歪んだ形となって我が国に伝えられることになったんじゃないかしら?」
私は至って真面目に言っているのだけれど、何故、悪友三人はニヤニヤ笑いを浮かべているのかしら?
「そうよね、きっと敵国オムクスの所為よ」
「そうよ、そうよ」
「敵国オムクスの陰謀よ」
何故、三人がそんな言い方をするのか理解出来なかったのだけれど・・
「すっかり鬼の中尉殿の奥様ね!」
「ついつい敵国の陰謀を心配してしまうなんて妻の鏡じゃない!」
「カステヘルミったらそれで元気がなかったのね?大丈夫よ!あなたの旦那様は敵国のスパイを掃討する任務から外れることになるかもしれないって夫が言っていたもの!」
そうじゃない、そうじゃない。
「何で私が敵国の陰謀を心配しなければならないの?私はただ、そうね、自分の夫が何故、最近になって目に見えて落ち込んでいるのかが全く理解出来なくてイライラしていたのは間違いない事実だけれども」
「ほら!」
「やっぱり!」
「愛よ!愛!」
悪友三人はキャアキャア騒ぎ出したのだけれど、愛ではないわよ!愛ではないったら!
貴婦人たちの噂話は今日も楽しい ② 11月4日(火)に発売します!!御礼企画として1巻と2巻の間のオリヴェルとカステヘルミのお話を毎日掲載しますのでよろしくお願いします!お話の中のオリヴェルは書籍の中で奮闘するオリヴェル(1巻)のその後の話になりますので、ネットで掲載中の内容と多少の齟齬があります。そこのところは置いておいて、楽しんで頂けたら幸いです!☆☆☆☆☆ いいね 感想 ブックマーク登録
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