御礼企画 妻の心を取り戻すには ②
貴婦人たちの噂話は今日も楽しい ② 11月4日(火)に発売します!!御礼企画として1巻と2巻の間のオリヴェルとカステヘルミのお話を毎日掲載しますのでよろしくお願いします!お話の中のオリヴェルは書籍の中で奮闘するオリヴェル(1巻)のその後の話になりますので、ネットで掲載中の内容と多少の齟齬があります。そこのところは置いておいて、楽しんで頂けたら幸いです!!
鉄道事業を頓挫させようと企む敵国オムクスは多くのスパイをラハティ王国の王都に潜入させていた為、敵のスパイを摘発する為に軍部としても水面下で活動を続けていたのだが、
「敵国のスパイの情報を集めるのではなく結婚した妻の情報を集めるのだから、胃は痛まないし、国家存亡の危機に繋がるわけじゃないから気が楽だ!」
一般人相手の情報収集は思った以上に楽だった。
まずは妻の生家であるカルコスキ伯爵邸に向かい、カステヘルミを赤ちゃんの頃から支え続けた乳母のペルニラ夫人に面会を要請し、最初でこそ胡散臭いものでも見るような眼差しを白髪の夫人から向けられることになったのだが、
「お嬢様の乳歯が抜けた時代から話を聞きたいだなんて!それじゃあ一晩あっても語りきれないと思いますわよ!」
オホホと笑って一歳になる前にはすでに掴まり立ちをしていたとか、三歳の時には立派にカーテシーが出来るようになったとかカステヘルミ自慢が止まらない。
敵国のスパイを捕まえて拷問をしながら情報を引き出すことに比べたら、
「お嬢様がピアノに興味を持ったのは五歳の時のことでした。今まで楽器に見向きもしなかったお嬢様だったのですけれど、従姉妹のヘレナ様が演奏する姿を見て刺激を受けたのですわね」
何も言わなくても流れるように話を続けてくれるのだから、楽勝!楽勝!
乳母への事情聴取は48時間を超えたところで、
「もう、そろそろお嬢様のお話はよろしいかしら?」
満足そうにホッとため息を吐き出したところで終了となった。
「オリヴェル様、根気強い貴方様に少しだけ、有力な情報を教えてあげましょう」
ペルニラ夫人は重要な情報を俺に教えてくれたのだが、裏付けを取るために今度はカルコスキ伯爵夫妻を食事に招待。
王家の力を使って超高級レストランを予約して妻の両親を招き入れると、今度は夫妻から直接、妻の情報を引き出すことにする。
最初でこそ警戒心を持たれていたのだが、そのうち夫妻の顔に苦笑いが浮かぶようになり、最後の方では仕方がないといった様子でカステヘルミの情報を提供してくれたのだった。
乳母とカルコスキ伯爵夫妻の話をまとめて分かったことは、長年、帝国と王国を行き来しているカステヘルミは帝国で最先端のドレスをしつらえることが多く、
「公爵家に輿入れするのは仕方がないとして、今後、何処のメゾンでドレスをしつらえるかが問題だわ〜」
と、自分の衣服問題で頭を悩ませていたというのだ。
帝国の最先端のドレスがどういった物か俺には良く分からないのだが、帝国の船が近々ラウタヴァーラの港に寄港するという噂は耳にしていたので、
「乳母殿、俺と一緒に我が妻のドレスを見繕いに行ってはくれないか?」
一番身近でカステヘルミのドレスを見て来たペルニラ夫人に願い出て、帝国の船が寄港するうちの港まで移動することになったんだ。帝国籍の船にはイチャモンと難癖をつけて停泊期間を先延ばしに延した上で積荷を引っ張り出し、ドレスというドレスを並べ続け、
「お嬢様はこういう最先端のドレスを好みますよ」
というペルニラ夫人の言葉を信じて、強奪するようにドレスを購入することに成功。
俺は女性の服飾品に関しては完全に門外漢のため、全ては乳母殿の言う通りに強奪(購入)していったのだが、馬車に乗り込んだ夫人は大きなため息を吐き出して、
「淑女のドレスに自分の意見を一切挟まないのは好ましいことでございますよ」
と、言い出した後に、
「一つ、オリヴェル様に教えておいてあげましょう」
腰が曲がったペルニラ夫人は俺の方へ顔を寄せて、囁くように言い出したのだ。
「うちのお嬢様はですね、意外にもサプライズがお好きなんでございますよ」
サプライズか〜!
「サプライズ・・サプライズ・・敵の動きを事前に察知して伏兵を忍ばせることで挟み撃ちに持ち込むとか、そういうことではないんだよな?」
自分の思うサプライズを執事頭のグレンに述べたところ、
「そういうことではございません」
と、グレンは言下に否定すると言い出した。
「こういうことは一人で決めずに、周りの意見を採用した上で行った方が上手くことが運ぶと思います」
こうして俺のことを親の仇のように憎んでいるカステヘルミの専属侍女三人組をグレンは呼び出したのだが・・
「サプライズ!」
「しかも帝国の最先端のドレスは用意されている?」
「カステヘルミ様の愛を取り戻したいのですか!」
アイラ、ヘルカ、リアという三人の侍女は瞳をキラキラと輝かせた後に、
「「「でもねえ〜」」」
と言って、胡散臭いものでも見るような眼差しで俺の方を見たのだが、
「オリヴェル様は心を入れ替え!生まれ変わったのです!」
何度も咳払いをしながら執事頭のグレンは言い出した。
「そもそも、オリヴェル様はお国を守るために必死になって働いていた結果、カステヘルミ様のことまで気を配る余裕もないような状態だったのです。憎むべきは王命まで下して結婚を進めたというのに、公爵家の結婚を敵国オムクスのスパイの炙り出しに利用しようと考えた上の方々の差配なのでございます!」
その上の方々とは王家の方々になるんだけど、そこまで言って良いのだろうか?
「悪いのは全て敵国オムクスなのです!敵国が我が国に手を出すようなことをしなければ!オリヴェル様は公爵家の令息らしくカステヘルミ様をお迎えすることが出来たはずなのです!」
「お迎えが出来たとしても、ニクラス様みたいになってしまったのでは?」
「そうですよ!結局、ユリアナ様の言いなりになっていたのでは?」
「パウラ様の言われるままに冷遇していたのではないかしら?」
「実際に起こっていないことを今更どうのこうのと言っても仕方がないことでしょう!」
母上とユリアナの傍若無人ぶりは明らかになっているし、兄のニクラスも自慢出来るようなことは何もしていないというような今の状況で、カステヘルミの専属となる三人の侍女たちが俺に疑いの目を向ける気持ちも良くわかるのだが、
「君たちが俺に対して疑いの目を向ける理由は良くわかる!だけどこれだけは言わせてくれ!」
俺は三人の侍女を真剣な眼差しで見つめながら、
「俺はカステヘルミを愛しているんだ!」
胸を張って堂々と宣言をしたところ、
「「「キャーーーーッ!」」」
雄叫びのような悲鳴と共に、三人の侍女はコロッと態度を翻すことになったのだ。
貴婦人たちの噂話は今日も楽しい ② 11月4日(火)に発売します!!御礼企画として1巻と2巻の間のオリヴェルとカステヘルミのお話を毎日掲載しますのでよろしくお願いします!!
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