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マラウィーの夜③オレンジ色の爆撃その2 Hiliから返事が来た。Are you nao? I'm Hili. 本人なのか!迷惑メールか?

その、麗人外で飲むときは、ルールがあった。行きつけの店を決める事。時間を決めてはしごすることは許される。この辺の判断が難しい。石原区長の行きつけの店に一人で飲みに行ったことが有った。お会計をしようと思ったら会計は、石原区長に付けるように言われていると、お金を受け取ってもらえなかった。昔の酒飲みはカッコよかった。

私が、初めて買ったパソコンは、NECのPC98UV21だ。3.5インチ・フロッピーディスクが使える最新型。名鉄の研究室に会ったパソコンは、外部メモリーは、ペラペラのソノシートのレコードのような5インチ、8インチのディスクだった。優越感を持って見せびらかした。あっという間に時代は流れた。

第2曲 オレンジ色の爆撃、その2


イスラエルのテルアビブで起こった、自爆テロを切っ掛けに報復の連鎖が始まり、

あちこちで、爆撃の炎が夜空をオレンジ色に染めた。直斗は、マラウィーで出会

ったイスラエルの女性兵士、Hiliを思い出した。

直:元気でいるだろうか・・・元気でいるとすれば、そろそろ、退役かな・・

直は、パソコンの電源を入れて最近始めたフェイスブックで投稿してみた。

(私は、マラウィのフェリーで、1991年にイスラエルの女性兵士Hiliと、

  友達になりました。自爆テロのニュースを見て心配しています。

  Hiliは、元気でしょうか?ご存じの方は、msn10@live.jp森嶋直斗)

直:見てるわけないか・・


電力区の昼飯時

米:直ちゃん、区長が今晩やるって言ってますよ。

直:了解、巡回に行きますか!

電力区の昼間の仕事は、夜勤の準備と緊急出動。踏切事故や雷、地震など・・

緊急の電気設備の事故対応に行く。事故が無ければ待機してるだけなので、

巡回という散歩に行く。電車の一番前に乗って線路や架線を見てる時もあれば、

車で踏切や駅まで行って点検する時もある。場所を言わずに単に巡回と言うと、

宴会の準備に買い出しに行くと、言う意味になる。誰が決めたわけでもない。

ちなみに、石原区長が山に巡回に行くと言うと、三河線の猿投方面に自然薯を

堀に行くという事になる。


碧南市には、昔、遊郭があり、そこに卸す食材を扱う魚屋がたくさんあった。

今でも、その日の昼頃に水揚げされた生きた魚が手に入る魚屋が1件残っている。

米と直が、その魚屋、碧南の魚為うおために買い出しに行った。

米:カレイ良いのがあるよ。

直:人数が少ないときはカレイもアリなんですけど・今日は、20人位来るんじゃ

  ないですか?・・とりあえず、メジは、いっときます。

 (メジは、1m以下のクロマグロの幼魚)

魚屋:名鉄さんシャコ上がって来たよ。

直:1つお願いします。

米が車からバケツを持ってきた。魚屋が大きなタライに入った

シャコをスコップでバケツに入れる。これで、1,000円だ。

直:シャコ食わしといて鍋が楽だな・・

  おっちゃん!ふぐ1杯とカワハギも、それとタコもらってくよ。

魚屋が、トロ箱にふぐとカワハギを1箱ずつ入れた。

直:タコは、直が、いけすから直接手づかみでばね計りにひっかけた。

  米さん、これで良いですよ。

全部で4,000円。激安価格だ。電力区に帰る途中、肉をスーパーで買って、

野菜は、兼業農家の石川さんが持ってくる。

電力区では、午後三時頃から宴会の準備が始まる。この日は、まず、タコを

茹でて、そのゆで汁でシャコを茹でる。これで前菜は終わったようなもの。

タコとシャコのゆで汁には、塩が強めに残っているんで、半分ほど捨てて

白出汁を入れる。これで鍋の具材を入れるだけ。

午後五時きっかりに乾杯!なんのお祝いでもない。区長が飲みたい日と、言う

だけだが、食材費を出してくれるので、みんなタダで飯が食える。三河方面に

自宅がある本社の偉いさんも知立で下車して寄っていく。知った顔が集まった。


この時代の肉体労働職場では、仕事が終わると酒が飲める奴が威張っている。

飲めない人は、飯を食うだけが目的で食ったら酔っぱらいに絡まれる前に、

何とか帰るチャンスをうかがう。

事務所の宴会は2時間弱でお開き、酔っぱらいの男ばかりでは、場が持たない。

知立駅の東に麗人街という飲み屋街がある。カウンターだけの狭い店が20数件。

定年前のサラリーマンが、乗り換えの知立駅で降りて、自分のお気に入りの店に

通う。電力区の連中は、近くて安いから2次会は、麗人街と決まっている。

2次会は、それぞれで自分の決めた店に行くが、直を連れて行かないと店のママ

の機嫌が悪い。直が来ると売り上げが上がるからだ。先輩たちは、知立駅の出発

時間が、早い人から直を連れ出すのが暗黙の了解で、一番最初は、吉良吉田まで

帰る石川のじいちゃん。7時前に事務所を出る。

石川:直くん行ってるわ。そんじゃみんな帰るよ!

直は、適当に空いた皿を洗って、石川を追いかて、石川の行きつけの店に入った。

ママ1:直ちゃん、石川さんお待ちかね。

石川:おい・・

自分のおちょこに燗酒を注いでくれた。

直:頂きます。

グイッと飲んで、もう一杯、グイッと飲んでもう一杯。もう一杯飲んで、

おちょこを石川に返した。

直:ママさん、いつもの富久娘だね。これ甘口でうまい!

ママ1:そうよ。秋になったら変えるつもり。

ママさんが直にコップを渡して酌をする。

ママ1:あら、もう無いわね。石川さん!1本つけるね。

直が、コップの酒を飲み干すと、

ママ2が店に直を迎えに来た。

ママ2:石川さん!直ちゃん借ります。直ちゃん!大野さん待ってる。

直:石川さん、ママさん、ご馳走様でした。

店2に入る。

大野:おっ直ちゃん、作っといた。

大野一平太・名古屋本社の偉い人。豊橋出身で、石川区長の同期で出世頭。

直:すいません。頂きます。

大野と軽くコップを合わせ、麦焼酎のロックをグウイッと飲むと・・大野が、

焼酎をなみなみと注いだ。少し飲んで、直がコップを置いた。ママ2が、

大野のコップにソーダを足した。

飲み屋では、酒が一番儲かる。つまみは手間が掛かるし原価が高く無駄も出る。

酒の原価は半額以下、お銚子1本で、ろくに食べない付け出しと、おしぼり。

つまみ一皿で合計1,200円で、もうけが400円。定年前のおっちゃんの定番だ。

ところが、直が付いてくると、酒が3倍、つまみも増えて儲けも3倍。

直が人気の理由は、もう一つ、料理に詳しくて、好き嫌いが無い。一生懸命

作った料理を美味しそうに食べてくれる。直が来ればママもご機嫌、絶好調だ。

ママ:大野さん!メジロの干物、手作りだよ。サービス!

大野は、歯が悪いから、ちっちゃく切ったのを一つ食べた。

直:頂きまーす。うん、ぅ? いつもと違うね!旨い!甘味が強い!

と言って、焼酎をグイッと飲み干した。

ママ2:直ちゃん流石!九州醤油を使ってみた。

直:口に残るから酒で合わせたくなるね。

店中が笑顔になるのだ。


ママ3:こんばんは!ママさんどう!

ママ2:大野さん!電車の時間だよ。

豊橋行きは10分ごとに有る。いつ帰っても良いのだが暗黙の了解で次の店へ


大野も一緒にママ3の店に来た。

大野:困っちゃうな・・ホストを取られちゃあ!

石原:平太!悪いな・・直くん、何にする?

直:今日は日本酒もらっちゃたし・・

ママ3:大野さんは麦ね。はい!どうぞ、アメリカンにしといた。

ママ3がロックグラスに氷を入れている。直が悟って、

直:ロックで良いですか!

ママ3が石原のキープしているオールドのボトルをだし、石原にラベルを向けて  

直の前に置いた。直が、氷満タンのグラスをもらって、自分でウイスキーを注ぐ

直:石原区長!頂きます。

石原の店では、原則として、手酌。上司に付き合って同じ酒にする必要もない。

石原自身も飲みすぎて潰れたことは無いし、人にも酒を進めない。全て自己管理。

石原:平太、パソコンの導入うまく行ってるか。

大野:区長に直くん取られちゃったから他の電力区は、手書きの工程表でFAXだね。

石原:直くんが全部電子書類のひな型作ったからお前から全社に流していいよ。

出世頭の同期の大野を応援すれば、三河全体がやりやすくなる。石原は、自分の

出世よりチームの効率を大事にする。

直:今度、大野さんにメールします。

直が、ロックグラスを飲み干して、ボトルのウイスキーを注ぐ、少し残った。

ママに目配せをすると、ママが自分のグラスに氷を入れて、

ママ3:直ちゃん、私にも注いで!

直が、ウイスキーをママ3のグラスに入れると・・

ママ3:あら・もう終わっちゃったね。ボトル入れていい!

大野:ママ3さん!俺が入れときます。

大野が新しいボトルの口を切って、ママ3のグラスにオールドを注ぎ足した。

定年まじかの先輩たちは、それぞれが直に失敗談と、少しの自慢話を話して

飲むのが楽しい。息子以上の年の離れた若者に次の未来を託して飲む。

石原:ママ3、行くよ。

ママ3:ありがとうございます。

伝票を石原に渡した。

大野:ママ3、今日は俺が払うから・・

ママ3:大野さんからは、名刺下さい。取締役の名刺まだもらってません。

大野:いや・・これは・・おかげで、

と、名刺を渡す。

石原:大野取締役!今後もよろしくお願いします。

結局、石原が全部払っていつも通り。

直:ご馳走様でした。明日、留守番なんで詰め所に戻ります。

大野と石原は、豊橋行き急行に乗って帰って行った。

直:特急じゃない・・国府で降りてもう一軒か・・


直は、詰め所に戻りパソコンを開いてメールをチェックする.。

直:まだ、だれも仕事に使って無いから仕事のメールは、無いか・・

  迷惑メールばっかだな。これじゃあ仕事で使えないぞ・・ALL削除してと、

全部消そうとして、I'm Hili・・

直:えっ・・Hili?・・・迷惑メールか?

消すのを止めて、プレビュー画面のまま、

直:クリックするとやばいサイトに飛んでくんじゃねえか・・・・

  Are you nao? I'm Hili.と、あった。

直:インストールし直せばいいか。クリック

(メールで)

直ですか? Hiliです。元気ですよ。連絡ください。Hili@live.isr

直:Hiliの話をした人は、誰もいないし・・

  フェイスブックのアカウントは、違う名前だな?・・質問してみるか

(メール)

直:Hili、直です。元気ですか?あなたが、本当にHiliなのか確かめたい。

      二人の旅行で最初に泊まった場所は、どこですか?

これで、普通の回答じゃ、偽者だな。だけど、偽者ならどうしてバレたんだ・・


1週間後、直がメールをチェックしていると

直:Hiliからメールだ・・

Hiliのメール:直、返信遅れてゴメン。友達のフェイスブックで直の情報を

       知ったの。私は、パソコンを持ってないのでテルアビブの友達

       の家でメールを打ってます。二人の最初の場所は、寝袋よ!

以下メール

直:Hiliで間違いなんだね。元気なの?ケガしてない?徴兵は、軍隊は退役?

Hili:質問多すぎ!子育てで大忙し!子供は日本のアニメが大好き!

またメールする。

直は戸惑った。Hiliに間違いないと確信した。無事なことは分かった。

自然に涙が出てきた。

直:だけど・・質問の答えは、一切なし・・・軍隊は、? 子育てって??

(^^♪第2曲オレンジ色の爆撃♪





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