7年後の7月7日
あの日、短冊に書いた。
『また君と出会えますように』
7年後──
「さーさーのーはーさーらさら〜」
「お前、本当に音痴だな」
「え〜流夜君酷いなぁ」
俺は高校3年生になっていた。
「もう少しで夏休みだぁぁぁぁ!」
「うるせぇ!」
「え? 何? 私みたいな美少女に会えなくなるのがそんなに寂しいの? 寂しいなら会いに……」
「なぜそうなる!?」
星宮はうるさい。
「ごーしーきーのーたーんざく 2人で書ーいーた」
何替え歌してんだよ!とツッコミを入れたかったが面倒だからやめた。
「いやー本当に流夜君と友達になれて良かったよ〜」
星宮は今年転校してきた。皆は一瞬であの整った容姿に目を奪われた。
「星宮七華です! 私は人の名前を覚えるのが苦手なのですが、皆さんと仲良くしたいです! だから……よろしくね!」
もちろん、あの笑顔に落ちた男子は多い。しかし……
「七華ちゃんって呼んで良い?」
女子も集まっていた。別に集まるのは構わない。ただ、俺の隣の席で騒ぐんじゃねぇ!
休み時間が終わろうとしていた頃の事だった。
「えーと、君キミ。名前何だっけ?」
「あ、俺?」
「君以外、私の近くに誰がいるの?」
そう言って笑う彼女は可愛かった……と、一瞬でもそう思った俺がバカだった。
「流夜君〜! 教科書見せて〜!」
「お前、何度目だよ……」
「何度目だろうね〜? もう忘れちゃった!」
「はぁ……少しは忘れ物しないように気をつけろよ」
「……まだ気づいてくれないのか」
何か言っていたような気がしたが、俺は聞こえないふりをした。そんな無駄な日々を過ごしていた。
そして今日は七夕。織姫と彦星が1年に1度会えると言われている日。
「ねぇ流夜君。今日の夜なんだけど……良かったら、天の川を見に行かない? 2人だけで」
「……ここに来るのは久々だな」
「あれ? 流夜君も来た事あるんだ」
「ああ、今から丁度7年前にな」
「……そっか。私と一緒だ!」
彼女は少し寂しげな表情をしながら、星空を眺めていた。
その時、俺は気づいた。
「7年前、この場所で短冊に願いを書いたよな。2人で1枚の短冊に『また君と出会えますように』って」
彼女は驚きながらも
「もう、気づくの遅いよ……!」
と言いながら笑っていた。いつもの笑顔で。
「ねぇ、流夜君。織姫と彦星は7月7日の夜に会う事ができるらしいよ」
「……それで?」
「いやー私たちって、織姫と彦星みたいだなーって」
「ああ、そうだな」
それから俺たちはしばらくの間、この美しい星空を眺めていた。
「ねぇ、流夜君」
「何だ?」
「私の事、好き?」
「いつも鬱陶しいと思ってるよ」
「じゃあ、嫌い?」
「好きだよ」
「えっ……」
「なんでお前が照れてんだよ」
「いや、だってさぁ……」
これは7年後の七夕に再び出会う2人の
2000と555日後の奇跡の物語であり
始まりの物語だ──