(7/13)第6夜 桃源郷
桃源郷の語源は中国のとある書物に出てくる言葉だ。沢山の桃の花が咲いていたことからその名がついたそうだ。
私の知人の祖父もその話と似た体験をしたことがあるそうなのでここで紹介させてもらうとしよう。
知人の祖父Gさんは田舎生まれで近所の友人たちと毎日のように遊んでいた。そんなある日友人の一人であるDさんの付き合いが悪くなったそうだ。
不思議に思ったGさんはDさんの家で待ち伏せし、家を出てきたところで後を付けたそうだ。遊びの誘いを蹴っていったいどこへ行っているのかと思ったらDさんは人気のない森の中に入っていった。
DさんはGさんが知らないような道を通り、謎の洞窟に入っていった。どうするか迷った末に後を追いかけることにした。薄暗い道を抜けると急に周囲が開け村が現れた。
本当に突然現れた感じで急に建物が現れた感じだ。Dさんは驚きの光景に自分が人をつけていたことを忘れるくらいだった。だからDさんに見つかってしまった。
Gさんは開き直ってここで何しているんだ、ここはどこなんだと問い詰めたがDさんはそれをかわしてGさんに自分についてくるように言った。ついて行くと村の中心あたりの広場にやってきた。
そこにはたくさんの人が集まっており、誰もがにっこにっこの笑顔で迎えてくれた。村人たちは料理や踊りをしてくれて楽しくて自分が何しにここへ来たのか忘れてしまうほどだった。Dさんが声をかけてくれなければいつまでも居座っていたかもしれない。
結局ここは何なのかの説明もなく、ここでの出来事は秘密にするように言われてその日は二人は別れたそうだ。
Gさんは結果的に遊ぶ約束をすっぽかしてしまったので次の日他の友人たちに問い詰められて昨日の出来事をすべて喋ってしまった。ただ連れていけと言われたのは場所をよく覚えていないとはぐらかした。
ただそれではダメだったようでその日からDさんが行方不明になった。それを聞いてGさんは記憶を頼りに例の洞窟を探した。その洞窟はすぐに見つかった。しかし洞窟の中はすぐに行き止まりになっていた。塞がれたとかそういう感じはなく最初からそこが行きどまりだったかのようだった。
別の場所かと考えて一応周囲を探したが他の洞窟を見つけることができなかった。
それから何日もDさんの捜索が行われたが見つかることはなかった。もし洞窟での出来事を友人に話していなかったらDさんがいなくなることがなかったかもしれない。今でも思い出しては後悔しているそうだ。
次回の投稿は7/14 00:00 となります。