(7/23)第16夜 禁足地
各地に禁足地と呼ばれる場所があることはご存じだろうか。色々な理由から足を踏み入れることが禁じられた場所のことだ。それは宗教的理由だったり、地質的な理由だったり、歴史的な理由だったりとそう呼ばれる理由は多くある。
外からくる人にはそれがわからずに足を踏み入れてしまうということがあるそうだ。その際に必ずしも害があるわけではないがそこで何かに襲われれてしまう、体調を崩してしまうということもあるそうだ。
今回語るのは禁足地に足を踏み入れてしまったという男から聞いた話だ。
詳しい場所は話せないがその禁足地は関東地方にあり、現地の人々にはそこそこ有名な場所だったそうだが私はそんなことも知らずにふらりと足を踏み入れてしまった。特にここが禁足地です、という目印もなく気づけば入っていた、そんな感じだ。とはいっても禁足地だと知ったのは事の終わった後で旅館の女将に聞いて初めて知ったわけだが。
その禁足地は小さな森で特に整備されているということもなくどこにでもありそうな感じだった。何故そんな場所に足を踏み入れてしまったのかというと趣味のカメラで何かいい写真が取れないかとそう思ったからだが今思えば何かに惹かれていたのかもしれない。
禁足地だからといってすぐに異変を感じたりしなかった。ただ先に進むに連れて生き物の気配が消えていって気づいたら風で気が揺れる音しかしなくなっていた。だから変な音にすぐに気づくことができた。
ポチャポチャ、ポチャポチャって水袋が揺れるような音が聞こえてきた。いったい何なんだろうかと思い音が聞こえた方を見るとでっかい球体のようなものがいた。木の隙間からだったので詳しい姿は見れなかったが何かやばい物だっていうことだけはわかった。
私は逃げるよりも先に気づいたらその姿を写真に撮っていた。それに気づいたのかそれは弾みながら近づいてきたのでさすがの私も今度こそは走って逃げた。それの移動速度は速くなかったので無事森から出られたが人がいるところまで行かないと安心できなかったのでそのまま今夜泊まる宿に向かった。
汗だくで飛び込んできた私にその宿の女将が驚いた様子で何かあったのか聞いてきたので今見たことを掻い摘んで話した。すると女将さんは納得したような声をだした。
話に聞くとあの場所はここらの住民が避けている場所だそうで言わば禁足地と言われる場所だそうで女将さんは私がデジカメで撮ったものを見せるとわずかに顔を青くしてその写真は消した方がいいと言ってきた。私は女将さんの様子に言われたとおりに写真を消した。
女将さんが言うにはあれは地霊の一種だそうでほとんど見れることはそうそうないそうだ。もし近づいていたら命は危なかったかもしれない。
それからそこで二日ほど過ごしたが特に何も起こることはなかった。ただその禁足地には近づくことはしなかった。
彼は無事何事もなく生還できたが必ずしも無事で済むとは限らないだろう。旅行に行く際、特に自然の多い所に行く際は禁足地について調べてから行くことをお勧めしよう。それではまた会おう。
次回の投稿は間に合えばば7/24 00:00、間に合わなければ7/24のうちに投稿します。