(7/21)第14夜 肝試し
これは私の友人Oから聞いた話だ。Oは小さい頃から幽霊が見えていたそうで大学生の時には色々な人からそういったことの相談が多く寄せられていたらしい。その相談で一番多かったのが肝試しについてきてほしいということだったそうだ。
有名ないわくつきのスポットを行くことが多いせいか霊感の持つ者がいると安心ということだった。もちろんそんなことに付き合うOではなく、遊び半分で霊と関わるのとろくなことはないとわかっていたので基本断っていたそうだ。しかし彼も一度その依頼を受けたことがあるという。
その相談者というのがOが当時仲良くしていた友人だった。しかしその友人が肝試しに行くわけではなく行くのはその妹とその部活仲間だそうだ。Oの友人は以前肝試しで大変な目に遭っていたので妹を止めたそうなのだがどうしても行くというので心配だからOについて行ってほしいとのことだった。
あんまり問題ない場所ならお守りを持たせるくらいで済ませようと思ったが行く場所を知ってるのはその部の部長だけだそうだったので色々と対応できるようにOも参加することを決めたそうだ。ただ参加するためにその部に仮入部する羽目になったのは癪だったそうだ。
それはさておき、門が閉まる直前に大学を出て車数台で肝試しの会場に向かった。友人の妹とは面識があったので少し会話をしてお守りを渡した。そうしてる間に車が止まり、どうやら目的地に着いたようだがOは車を出た瞬間に嫌な気配を感じたそうだ。
そこはどう見ても神社でしかも誰かが管理しているようには見えなかった。はっきり言うとそれを見ただけでOは逃げかえりたくなった。
神社とは基本神をまつっている場所で神聖な場所であるが廃れた神社というのは別だ。廃っているということはほとんどの場合そこに神がいないということになる。そして神社とは神が入る器であるのでその器がからということはそこに入る余地があるということでそこに何がいてもおかしくないということだ。
Oは友人との約束もあったのでそこで逃げ帰ったりはせずにその場に残った。
肝試しの内容は二人組で階段に上り社に紙を置いてくるというものだった。Oはどうにか手を回して友人の妹と一緒に組むことができた。
行く順番はくじで決めてOと友人の妹は最後になった。くじを引いた順番に階段を昇って行き何事もなく戻ってくる。Oは奇遇だったのかと思ったが最後から前、部長の組が行ったきりしばらく待っても帰ってこなかったのだ。
Oは予定を変更して皆を車に戻らせて一人で階段を上って行った。社までの道中に誰の姿もなかった。そして社に行っても二人の姿はなかった。ただ、紙が枚数分るところを見ると社まで来たことはわかる。
仕方なくOは目を閉じて意識を集中して霊的気配を感じ取る。森の奥に何かしら暗い気配を感じて少し社から離れた場所に向かった。そこには部長と組んでいた女性がガタガタと震えていた。話を聞こうとしたがそんな精神状態ではなく部長の捜索は一度諦めて女性を連れて一度戻ることにした。
それから時間をかけて女性から話を来た話を聞いた。話によると社までは何事もなく到着することができたが異変が起こったのは紙を置いてからだった。紙を置いた瞬間懐中電灯がちかちかして消えてしまったらしい。そう思ったら急に目の前に赤い着物を着た女が現れたという。二人は方向もわからず無我夢中で逃げて気づけば部長がいなくなって近くにOが近くにいたらしい。
Oは話を聞き終わるとすぐに消防に電話して事情を話し、夜が明けてから捜索することになり、参加した部員は一度帰宅することになった。
それからしばらく捜索が続いたが結局部長を見つけることができなかった。
Oは友人から妹を守ってくれたことを感謝されたが特に何もしていなかったのでお礼を受けても仕方なかったのだがと語った。
Oによると今でも部長は行方不明のままなそうだ。皆も肝試しの場所は考えて選ぶようにしよう。
次回の投稿は7/22 00:00となります。