学年の美女が俺の再従兄弟だった件〜親戚だからって近距離になっているがこれ絶対親戚の距離じゃないよな?〜
プロローグみたいになってすみません。
一月一日
年初めのこの日を皆元旦と呼ぶ。
普通の人なら親戚同士集まって、お年玉貰ったり、雑煮とか食べるのだが、俺はその経験がない。
何故なら、両親が海外に出張していて年がら年中不在なので、親戚の家に行きたくても行けなかったのだ。
うちはちょっと裕福な家で昔ながらの名家だったため親戚同士に集まるのは絶対だったのだが、交通手段が無い上に、少し本家の家の場所が遠く行けていなかった。
しかし!!
今年は、運良く両親の休みが重なり、本家に挨拶出来ることになった。
本家のお爺ちゃんとは、テレビ通話しかしたことがなかったから、やっとこ初めて会える。
高校一年生の冬。初めて手渡しで貰えるお年玉。
それに、俺は小学生がお小遣いを貰って喜ぶくらいに心躍らせていた。
それに、親戚にも会えるのだ。
斎藤家は、何かと兄弟が多い家で、従兄弟や再従兄弟が沢山いる。
両親が言うには、従兄弟八人、再従兄弟はちょっと数えるのが面倒なくらいらしい。
そんないっぱいいるのだから、もしかしたら美少女がいてもおかしく無い!!
いや、むしろいてください!お願いします。
仲良くなりたい!そして、友達に自慢したい!
下心と言えるものなのかわからないがとにかく丸出しで、俺は本家の家に向かっていた。
○
その道中の高速道路にて、
「ほんとに親父の家に行くなんて久しぶりだなぁ!」
俺の父さんが車を運転しながらそう言った。うちは両親揃って海外出張が多い。
なので、俺だけではなく両親たちも自分の本家に行けていなかったのだ。
「ホントねぇ………お義父さまお元気かしら………」
母さんも陽気に父さんに同調した。
「まあ、この前電話した時は元気だったし、大丈夫じゃない?」
「ホントに、来翔は、お爺ちゃんのことが好きねぇ……」
俺が以前電話したことを言うと母さんは笑いながらそう言った。
「いや、好きって…………まあ、尊敬はしてるけど……」
「お?来翔はお爺ちゃんを尊敬してるのか?」
「ま、まぁ………」
「いいことだぞ!今から、見習えばいいところまでいけるぞ!」
俺の父さんがここまで言うのには、訳がある。俺のお爺ちゃんは、政治家だったのだ。
昔から勤勉でバリバリに働いて地元からも愛されていた政治家だった。だから、父さんはこう言ったのだ。
……別に政治家を目指してる訳じゃないんだけどね。
「そうねぇ……来翔は、運動センスは凡人並みかそれ以下だけど勉学に関してはピカイチだからそこを伸ばせばイケるわね!」
「母さん?褒めてる?」
「もちろんよぉ〜!息子をディスる母がどこにいるの?」
うん、目の前にいるよ?
わかっていることを言われるのって相当悔しいよな?
しかも親に凡人並みorそれ以下って言われて相当こたえたよ?
否定はしないけど、親なんだからもうちょっと包んでくれてもいいじゃないか!?
と来翔は思います…………
俺が嬉しいような悲しいようななんかよくわからない気持ちになっていることなど知る由もない母は、話を続ける。
「そういえば、今日、かなりの数の従姉妹さんや再従兄弟さんたちが来るそうよ?」
「へ、へぇ………」
「そうだったなあ、確か、来翔と同い年の男の子が一人いたなぁ……従兄弟だけど」
「そ、そうなんだ……」
「その親が父さんと兄弟なんだけど……本当にその子がイケメンで………贔屓目なしに凡人よりちょい上フェイスの来翔よりも全然顔がよくてさぁ………」
「父さんストップ!もうよくわかった!」
「そ、そうか………?」
「う、うん。イケメン従兄弟ね!それならよくわかったから!もういい!」
「あ、ああ……来翔がそう言うなら……」
父さんは俺に言われてこの話をやめた。
なんだよ……凡人よりちょい上フェイスって………
中の上って言えばいいだろ………
俺は心の中で毒づいた。
もうちょっと、息子を褒めろよ………いや、半端な褒め方をして最後にディスるのをやめろよ。
喜んだ後って意外に傷つくんだよ………
そんなことを思っているとは父親は知る由もない。だから、この話題に変わって他の話題を話し始めた。
「そうそう!そう言えば、もう一人今日来る同い年の女子がいるんだよ!」
「え?女子?」
「お?来翔、気になるか?」
「ま、まぁ………」
表面では、いや少し気になるよ?的な顔と声を出していたが内心めちゃくちゃ気になっております!
だって、美人だったら自慢できるじゃん。俺の親戚こんなやつなんだぜって………
「狙っているんだな?その女子のこと?」
「いや、親戚だしそれは流石に………」
親戚同士で付き合うことに対して俺は抵抗があった。
違法ではないのだが、なんか他人に後ろめたい気持ちになるからである。
「再従姉妹だから、ほぼ他人みたいなものだぞ?」
「いや、血は繋がってるし、親族だろ……」
「もう!お父さんたらっ!来翔が恥ずかしがり屋ってこと忘れすぎっ!!」
母さんが父さんに言うが………
ちょっと待って、なにその設定………
俺どこが恥ずかしがり屋なんだよ?自覚なしなんだが……
流石に父さんはそんな印象俺に抱いてないよな?
「ハハハハハッ!それはそうだ!確かにそうだったな!」
同調すんのかい!
てな感じで俺の両親色々とぶっ飛んでおります。今回はまだマシな方。
多分これは海外を飛び回っている影響で時差ボケが激しいせいだと思う。
うん、そうだと思いたい。
それからしばらく車を走らせて、高速を降りた。
そして、それから車で十分後くらい走ると、目の前に大きな豪邸が見えてきた。
地主の家と間違ってしまうような大きい豪邸。その家の前で父さんは車を止めた。
「よし、着いたぞ?これが斎藤家の本家だ」
エンジンを切って、こちらを見る父さんと母さん。
「では、初めての本家を探検するわよ!」
母さんがそう言うが俺はもうそんな歳ではないので、鮮やかに断っておいた。
なんか、両親からぶちこまれる色々な話に俺は疲れたが無事に本家の家に来たのだ。
これから、初本家に入り、初お爺ちゃんに対面する。
○
「おぉ………お前さんが、あの来翔か………」
玄関先で待ち構えていた……いや、待ってくれていた白髪が多いご老人。画面通話でも何度か見たことがあるその顔。
正真正銘の俺のお爺ちゃんであった。
「そうだよ………初めまして?」
「いや、初めてではない………かの?」
「なんで疑問形……?」
「お義父さま、来翔とは産まれたときに一回会っていますし、確か三歳のときも一回会ってると思いますよ?多分……?」
「そうだったかの……?」
「まあ、そうだった気がする………多分」
皆さん、覚えていましょうね?
かなり大事なことではないですか!?
「来翔は、わしと会ったことないかの?」
「うん、俺の記憶の限りでは、会ったことないと思うけど………多分」
斎藤家のDNAは確実に継承されている。それを垣間見た瞬間であった。
「さあさあ……こんなところで立ち話もなんじゃ……家に入って沢山話そうじゃないか!」
「うん。わかった」
そう言って、家の中に入ろうとした瞬間。
「あ、親父………」
父さんがなにかを思い出した様子で立ち止まった。
「なんじゃ?なにか、忘れたのかの?」
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「「「………!!」」」
「「「こちらこそよろしくお願いします」」」
俺も忘れてたけどダメだこりゃ………
○
やはり本家の家の廊下は自分の家とは比べ物ならないほどの大きさであった。
両サイドには、高価そうな花瓶、絵画。壊したら住み込みで一生働かなければいけないレベルの価値がありそうで何故か変な汗が出てきた。
またまた少し歩くと今度は明らかに大きな扉が見えてきた。
これが親戚が集まるとされる部屋なのか……(秘宝を発見したレベル心の呟き)
「今回は沢山の親戚が集まってくれた………なにか、あるんかの?ここから運命の出会い的なの?」
「は?どうしたの?お爺ちゃん?」
「いやいや、自分の趣味じゃ。」
「へ、へぇ………」
「うちの孫たちは、みんなレベルが高い。特に……イケメン――」
「俺のイケメン従兄弟だよね!?同い年の?」
「ああ、そうじゃよ。詳しいのぉ……イケメンと仲良くなりたくて下調べを………」
「してないです。」
「そ、そうかの……他にもお前さんから見たら再従兄弟にあたる子も可愛くてのぉ……」
「そ、そうなんだ……やっぱり美人なんだ」
「お?それは興味あるかの?」
「い、いや、そういう目では見てないけど…………」
これは本当である。友達とは言えないかもしれないが仲良くはなりたいと思っている。
「まあ、この際どっちでもいいけどの……」
じゃあ聞くなよ!
お爺ちゃんの呟きに俺は内心でつっこんだ。
あれ?画面通話ではこんな感じではなかったはずなのに、実際に会うと少し印象が違って、悪い意味で驚いている。
「じゃあ、いくぞ?扉オープン!!」
番組のMC並みのテンションの声音で扉を開けるお爺ちゃん。
イメージ崩壊が否めない。
画面通話に何か仕込まれてなかったか家帰ってからもう一回丁寧に調べてみることにしよう。
さて、脱線したが、扉を開けるとそこには………そこにはっ………!!
部屋がありました。
そして、人がいました。
しかし、うちの家とは比べ物にならないほどの高価な椅子や絨毯、そして高そうな花瓶、生け花、絵画。
そして、上にはシャンデリア。
家の端には本物の暖炉があった。
自分の家にもそこそこ高価なものが揃っているがここまでものはなく、どれも○○○百万はしそうなものが勢ぞろいである。
初めての光景に目を輝かせながらその部屋に入った。
すると、部屋に入るなりいきなり、
「君が来翔くんだね?」
と話しかけてくる人がいた。振り返るとそこにはダンディーなおじ様が……
「はい……そうですが……」
いきなり話しかけられて驚いたので、表情が少し硬くなってしまった。
これはいけない。小さい頃から人との接し方とかは厳しく育てられてきたから初対面の人にはしっかりとしなければ………
少し反省していると、
「あけましておめでとう。私は、真名也の父です。」
「おめでとうございます………えっと、真名也さん?」
「これは失敬。真名也はこの子の事ですよ」
そうやって出てきたのはあのイケメン従兄弟であった。
「こんにちは、そしてあけましておめでとう。僕が斎藤真名也です。君の従兄弟にあたるらしいけど、全然会えてなかったから会えて嬉しいよ!」
なんだ、この爽やか笑顔。眩しすぎて思わず目をつぶってしまいそうである。
「こんにちは、あけましておめでとう。俺は斎藤来翔です。従兄弟らしいですね………」
「そうだね。君みたいな、カッコいい人が僕の従兄弟で誇らしいよ!」
うっせーよ。煽ってんのかバカヤロウ。
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フツメン代表のR。
イケメンにこういうこと言われると一番ムカつくよね♪♪
そうだと思うやつ。
↓
♡ 4万
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ふぅ……少し取り乱した。
「ありがとう。君もとってもイケメンで羨ましいよ。また今度ゆっくり話そうな?」
と言い、父親に軽く挨拶をしてその場を後にした。
なんか色々凄い人だった。あのイケメンは確かに優しくて完璧な人だけど顔だけが気に食わない。
なんで神はあの男にポンポンポンポンと賜り物を授けていったのだろうか?
きっとこのパターンは、あれだ。
どうせ?運動もできて、勉強もできて?女子にも優しくて?曲がったことは嫌いだけど人に注意するときは細心の注意を払い、なるべくオブラートに包んで相手を改心させる手法を用いてるやつなんだろ?
わかるんだよ!そこが、だからそこだけが気にくわない。(「そこだけ」とはいったい……)
今日はなんだかいつにも増して情緒が半端ないことになっている気がする。
普段は割と落ち着いているのだが………
きっと目まぐるしい環境の変化のせいだ。きっとそう!(思考放棄)
なんかもう疲れたので、両親と扉の近くで休んでいると、また扉が開いた。
そこから入ってきたのは………超美女。
大人っぽい黒髪ロングで胸もそこそこの女性。大人の色気が半端なくて、うちの学年の高嶺の花の斎藤真衣にそっくり………というか瓜二つ………なんだけど…………
俺がその女性をガン見していると視線が合った。
しばらくお互いを見つめあった後、彼女が口を開く。
「う、うそっ……」
小さな声音だったが、俺は近距離だったのでしっかりと聞こえた。
その態度は、困惑そのもので慌てていた。
もしかしたら、もしかして、もしかするかもしれない………(結局なんなんだよ!)
ここでまさかの勘違いだったら死ぬほど恥ずかしい案件だったが、俺は意を決して尋ねてみることにした。
「あ、あの、間違ってたらすみませんなんだけど……」
「は、はぃ……」
「もしかして、斎藤真衣さん?」
「そうですけど………」
「まじか!?」
俺は心の声が漏れてしまった。少し大きな声が部屋に響き渡ったが、元々みんな煩かったのでそんなに問題はなかった。
その声で驚いたのは、俺の両親と真衣さんだけ。
「あ、すいません。声を荒げてしまって……学年で高嶺の花の美女にこんなところで会えるとは思っても見ず……」
「びっ、びじょぉ………こほん。いえ、別に問題ないです………」
「な、ならよかった……」
「斎藤来翔くんですよね?」
彼女がそう言ってきた。それに俺は驚いた。彼女は勉強も運動もなんでもできる超ハイスペックな美女で学年皆の憧れ、高嶺の花である。その人がこんな俺を知っているとは思っても見なかった。
「そうですけど………」
「やっぱり〜〜、一目でわかりました!」
彼女の態度が急に柔らかくなった。それに、少しビクッとすると、
「す、すみません。取り乱しました………」
とぺこりと頭を下げてくる。
「いやいや、別に気にしてないから楽にしてください」
「で、でもぉ………」
「大丈夫ですよ!真衣さんは普通が一番です!」
「やっぱり、カッコいぃ………」
あれ?余計な気を使わせないように言ったはずなのに、なんか変な反応が返ってきた。
いや、まてよ?これは、俺の背後にあのイケメン従兄弟が居たからに違いない。
自惚れるな俺、贔屓目で見て中の上だぞ。
そう自分に言い聞かせていると、話を聞いていた俺の両親が会話に入ってきた。
「私は来翔の母です。話を聞いていたけれど真衣さんですか?どう言ったご関係で?」
「学校が同じで学年も同じで、どうやら再従姉妹らしいです」
真衣さんが言ったその事実に俺は一番驚いた。まさかとは思ったが直接口で伝えられると、尚驚いてしまう。
「そうなのね……いつも来翔がお世話になっております………」
「いえいえ……こちらこそ……至福のひとときです……」
真衣さんはこんなこと言っているが、この時間が至福なひとときなんだな。俺もまさかこんな関係だったとは思ってなかったから、驚いたし……そういえば父さんが言ってた再従姉妹の同い年って、真衣さんのことだったんだな。
へぇ、これでやっと理解した。
それと、母さんは今、お仕事モードである。
母さんはお仕事モードになる途端口調が変わる。
違和感を感じていたかもしれないので一応説明をば……
「まあ、そんな風に思って頂けるなんて嬉しいわ………これからも是非、親族として末永くよろしくお願いしますね?」
「親族として、末永く?ほんとうですか?お義母さま?」
「ええ、もちろん。仲良くしてくださいね?」
「はい、こちらこそ末永くよろしくお願いします」
なにか、違和感を覚えたが母さんと真衣さんが仲よさそうでなによりである。親戚同士仲良くしないといけないからな!
しばらく楽しそうにお話をしていた真衣さんだったが、俺と再び目が合うと、こちらに駆け寄ってきて、
「さっきの話、もしかして聞いてた?」
「ああ、バッチリと。」
「じゃ、じゃあ………」
「ああ、仲良くしような!」
「う、うん!」
彼女は最高の笑顔を俺に見せてその場から走り去っていった。
まさか、こんなことになるとは思っていなかったが、学年の美女と再従姉妹でその上、これから仲良くできるようになった。
是非ともこの関係を続けて最高の親族になりたいね。
俺は最高の元旦を過ごすことができた。
○
あれから一週間が経過して、両親は再び海外へと仕事に向かっていった。
取り残された俺は、再び一人暮らしだ。まあ、これも長いからもう慣れたものだが………
今日から学校であり、俺は朝早く起きて、朝食を軽く取ってから学校に登校した。
学校では何一つ変わらない日常を過ごした。普段通りに勉強して、弁当食べて、6限ウトウトしながら懸命にノートとって………ちょっと寝た。
7限が終わって、学校のチャイムがなった瞬間に俺は急いでノートを片付けた。理由は、特にない。
そのままいつも通りの感じで、下校する。今日は、食料品がきれていたので買い出しを下校中に済ませた。
制服姿の男子高校生が大量の買い物袋を持って電車に乗車するというかなりシュールな絵面になっていて、なぜか俺は、距離を置かれていた。
いいじゃないかよ。迷惑なのか?
これしか交通手段がないのだから許してほしい。こんな真冬に外歩けなんていう暴君に会ったら俺は全力で抵抗しかねない。
だから、邪魔になっているのは自覚しつつ俺は電車の角にぴったりくっついていた。
やっと電車から降りたかと思うと今度は寒い道を家まで歩かなければならない。
凍えるような風に頑張って耐えてなんとか、家にたどり着き鍵を開けようとすると、何故だか灯りが灯っていた。
「え?消し忘れたっけ?」
俺は急に不安になって急いで玄関のドアを開けた。
うちに入ると誰もいない筈の家が何故か暖かい。
なんでだ?と不審に思い玄関の灯りをつけると、
「あ、おかえりなさい」
「え?……」
声がすることに物凄く驚愕したのだが、家にいた人間にそれ以上に驚愕した。
「な、なんでいるんだよ?」
そこには、俺の再従姉妹、斎藤真衣が制服姿でエプロンを着けていたからである。
「だって、入れるから………」
と小さい声でそういう彼女に、俺は
「詳しく聞こうか?」
と詳細と尋ねる。
「以前に末永くよろしくって言ったから今日は夕ご飯を作りに来た」
「どうやって入ったんだ?」
「お義母さんにお世話をしたいので合鍵をご所望したら恵んでくださいました」
くそっ!!このガバガバセキュリティー!!
せっかくセキュリティーを強固なものにしたのに意味ねぇーじゃねーか!!!
両親には後できつく言っておこう。なりすましにも合鍵を渡しそうで怖くてたまらない。
よし、決めた。今日の夜は今流行りのリモート説教だ!
さて、両親が悪いのはわかっているのだが………
「真衣さん………これ、立派な不法侵入では?」
「親族、身内、再従姉妹ならすべて合法。よって無罪」
「いま、詳しく調べましょうか?」
「そ、そんなことより!ねぇ!来て!」
スマホを取り出そうとすると慌てて真衣さんが俺の腕を掴んで引っ張る。いきなりのことで準備ができていなかった俺はスマホをうっかり落としてしまった………が、そのまま引っ張らせリビングへ。
「ねえねえ、シチュー作ってみたの、味見して?」
「いや、まず状況を………」
「熱いなら私がフーフーするから」
そういうと、真衣さんは今にも唇に付きそうな距離でフーフーした。
そして、
「はい、来翔くん、あーん。」
そう言ってスプーンを俺の口元まで持ってきた。もうここまでやったら食べるしかない。
俺は、シチューを食べた。
「どう?おいし?」
「ああ………めちゃくちゃ」
「やったぁ………嬉しい……」
彼女はガッツポーズをして喜んだ。
「じゃあ、そろそろ詳細を………」
「え?だから、お義母さまに来翔くんのお世話の許可を得たからこれたらたびたび、限りなく頻繁に訪れるようにするね?」
「それって、親族として、俺を心配してるの?」
「当たり前だよ。だって来翔くんとは、親戚であり再従姉妹だし、永遠の親族で身内でしょ?だから………」
「そ、そうか……それなら、真衣さんに来てもらっても大丈夫か……親族だもんな?」
きっと真衣さんは優しいから、見るからにだらしなさそうな俺を見て、きっと助けに来てくれたのだろう。
決して、親族としての関係であって恋愛対象とは見てないと思うが………
いくら親族だからって出会ってまだ二回の人にフーフーとあーんって常識なんだろうか?
それだけがわからない。
この作品は次作の連載候補の作品です。
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