弟と姉
久しぶりの投稿・・・。ちょっと息抜きに書きました。
最近は研究が忙しくてなかなか時間が取れないので今日は投稿出来てよかったです。
ちなみに超絶久しぶりに書いたので弟キャラがぶれているかも(登場序盤だから許して・・・)
お風呂を出てしばらくたった後に台所に行くと食卓にはしっかりとカレーが用意されていた。
「おねーちゃんの希望通り中辛にしておいたから。あとは蜂蜜入れるなり、マヨネーズ入れるなりして自分で調整して」
「ありがとう、我ながらよくできた弟だこと。ただ次からはお姉ちゃんのお風呂、覗くのはやめてね」
そういって私は弟を茶化す。
すると弟はまじめなトーンで「いや、覗いてないから」と突っ込まれてしまった。
いや、冗談だからね。そんなまじめなトーンで言われると逆になんかこっちがしょげてしまう。まぁ実際には覗いていないのだし、当然の結末といえば結末だけど、ちょっとぐらいさ照れてもよくない?
さっき風呂場に来た時には照れていたくせに。こういう時に限っていつも冷たいんだから。でも、こうやって弟が頑張って私の好みに合わせて作ってくれたのだし許してあげよう。
では早速。
「いただきます」
「そういえば、ねーちゃんって福神漬け入れてたっけ?」
「たまにかな。でも出すなら食べるよ」
「じゃぁ一応出しとくわ」
「はーい」
弟が、冷蔵庫からタッパに入った福神漬けを取り出し、机の上に置く。そのあと、一度キッチンに戻って自分のスプーンと福神漬け用のスプーンもついでに持ってくる。
「はい、これね。そんなにいっぱい入れないならこれで足りるよね」
「うん、ありがとう」
何気ない兄弟の会話。
テレビを付けたら丁度ニュースがやっている。
「そういえば、今日お母さんたち遅いね」
「まぁ仕方ないよ。四月で色々忙しいだろうし」
「それもそうか」
ため息をつきながら二人して夕食を頂く。時刻はすでに九時を回っている。
うちの両親は共働きでいつも帰ってくるのが遅い。早く帰ってくるときは本当に早く6時ぐらいには家にいたりはするが、大体いつも八時半とか九時ぐらいに帰ってくる。
小学生の時はいつも帰り遅くて不安に思ってた。『本当に自分は大切にされているのか』とか、『一人置いてけぼりにされてしまったんじゃないのか』とかいつも思ってた。でも今となっては家計状況を理解できるようになって、自分の家がどれだけ大変なのかもわかる。家族五人、姉、私、弟、両親二人。それでいて給料は世帯で四百万ちょい。実際によくこれだけの給料でやって活けてるもんだなって思う。たぶんこの給料って三人世帯分ぐらいしかないような気がするし。よく生きてますよ、私たち。ちなみに現在姉は名古屋の大学に通っていて、帰省以外では家にはいない。なので、ちょっと静かで寂しい気もする。まぁ逆に清々している部分もあるけど。
とまぁ、こんな感じなのでいつも両親は家にいない。朝と日付を超す手前にはるので毎日話はするけど、それだけ。
別にもう寂しくはないし、こんなもんかってもなってる。
ただ、一言だけ言うならば、食卓はできるだけ家族と一緒に取りたい。
「そういえば、ねーちゃん今日何かあったの?」
「いや、なんていえばいいのかな。一言でいうと告られた」
「あ、もうそれいいから。本題話して」
ひどい!おねぇちゃんそんなこと言われたら泣いちゃうよ。というかもう泣いてやる。こんなに大変な一日なのに弟にまでこんなひどい扱いを受けたなら泣いてやる。
私はそう思い、頑張って目から涙を流し、ウソ泣きをする。
「あー、悪かった。悪かったから、ウソ泣きとか面倒なことはやめて、何でも文句言わずに聞くから」
ウソ泣きばれてらぁ。まぁ兄弟だし、いつも見てるし、ウソ泣きぐらいわかるよね。
「はい。私真面目に話します」
「よろしい」
これじゃあどっちが年上かわからんな。私ってなんて幼稚なんだろう・・・。
「実はね、今日・・・・・・」
と本題に入った私は今日の成り立ちについて、紆余曲折のような説明をせずちゃんと話した。
「てなことがあったわけ」
「ふ~ん、そうなんだ。お疲れ様」
「いや、なんか冷たくない?」
「だって、別にやればいいじゃん。どうせ生徒会なんて大したことやらないしできないんだから。お飾りだよ。お・か・ざ・り」
「なんか辛辣・・・」
「そうは言われてもね。実際俺生徒会長なんかやっているけど、ほとんど仕事来ないし、来ても仕事振り分けてすぐ終わっちゃうから」
「それはなんというか、弟ながらに本当か疑うよ。誰かに責任とか仕事、押し付けていない?」
「大丈夫。基本的に一回分の放課後で終わるような仕事しか振らないし、そんなに多くの仕事来ることもないから。基本的に何かの行事とか、多く仕事があるときは委員会とかが担っているから口出すこともあまりないしね」
「まぁそれなら納得かな」
「そういうこと、でもねーちゃんなら生徒会でもそんなに大変なことないでしょ。今俺が通っている中学だって、こんな楽にしてくれたのねーちゃんだし」
「まぁそれはそうなんだけどね・・・」
そう。私は中学に通っているときに生徒会をやっていたがちょっとアナログティックな部分とか、一部に負荷がかかりすぎているとか、貴重な経験を生徒会という肩書の人が奪っているのではということで、当時の生徒会長とか顧問の先生、校長に掛け合って色々と改善した。ただその一番の理由としては当時転校した時にお世話になった友達がとても多忙な生活を送っていたということがある。そのため委員会やら教職員やらと全校生徒を巻き込んで、色々と改良した。おかげで生徒会長は決定権を持つだけで、難しい雑務などは必要なくなった。
だがしかし、今回は条件が違う。
「さっきも言ったかもだけど、生徒会長は『やばい』の一言だし、生徒会メンバーは完全にお飾り。仕事をやるお飾りとやらないお飾りでは天と地との差が生まれる。改革をするには人手が必要だし、意識も変えていく必要がある。それのハードルが今回はめちゃくちゃ高い。それに進学の名前だけをもらうことを想定してやっている生徒会メンバーは大抵能力がなくて使い物にならないし、教育なんてしてたら時間がかかって仕方ない。それも人数分やるとなると・・・、ね」
「確かにそれは言えるね。でもそれを楽しむのがうちのねーちゃんだし、どうせ心の中ではやりたいって決まっているんでしょ」
「まぁ確かに自分の心の中ではやりたいのかもしれないけど、あの会長のためって考えるとどうも気乗りがしないんだよね・・・」
「まぁ確かに、聞く限りではゴミだね。まぁでもそっちの方が操りやすいんじゃない?」
「弟よ。操りやすいとか言っちゃいけません」
「事実だし。完全にねーちゃんのこと頼りにしている時点でもはや駒でしょ」
「う~ん、否定できない・・・」
「じゃぁそういうことで頑張ってね。大丈夫ねーちゃんなら何の問題もなくやり遂げるから。俺の自慢のねーちゃんなんだから」
私は、その『自慢のねーちゃん』という弟の言葉に少し優越感を感じる。
「『自慢のねーちゃん』ってもう一回言って」
そういうと弟は、少し恥じらいながら上目遣いでこちらを見てきた。
「じ、自慢のねーちゃん・・・」
う~ん。最高。至福である。
「ありがとう!」
私はそういってから、弟の頭に触れて頭をくしゃくしゃ撫でてやる。
「ねーちゃんのそういうとこ自慢できない・・・」
弟はちょっと頬を膨らまして、むくれっつらになりながら照れ隠しのように、視線をそらした。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
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