生徒会長
「会長は・・・」
うん?おかしい。居ないぞ・・・? どうしてだ。
校門で立ち止まっている人は誰も居ない。
もしかして、時間になっても来ないから、体育館に行ったのかな・・・。今居ないってことはここで待っていても仕方ないし、ちょっと体育館に様子見に行こう。
私はそう思って立ち去ろうとした瞬間、突然後ろから肩を掴まれ寒気が走る。
「君は・・・、北見さんだよね。始業式の手伝いをしてくれるって人の」
なぜこいつは私の名前を知っている。気持ち悪い。私はこんなイケメン知らないぞ。
「すみません、失礼ですがあなたは誰ですか」
「あ、ごめんごめん。名乗ってなかったね。私は生徒会長の『桐原直渡』先生に呼ばれて早く来たんだけど、全然来なくて・・・。もしかして、呼びに来てくれたのかなって思って、声をかけたんだけど、何か知ってる?」
生徒会長は、そうやって爽やかに、返答をする。
爽やかイケメンとはこういうことか。実際に短髪で、とても清潔感ある髪型。顔つきもよく整っていて、目は黒が主だが少し茶色く透き通っている。さっき話していたクズな先生よりもイケメン。加えて、クズな先生は残念なのは肉体系ぽい部分があるのだが、こちらと言えばその要素が全くない。本物のイケメンというやつだ。
「は、はい! そうです!」
なんか、びっくりしすぎて返事がおかしくなってしまった。
「そしたら、先生が居るところまで案内してもらえると助かるんだけど、大丈夫かな」
そう言われて我に返る。この人に仕事を伝えに来たんだ。
「あ、それなんですけど、先生には別の仕事を任せて、じゃなくて頼んで居るので、代役で私が会長の仕事を、伝えに来ました」
なんか色々と、変な口調、文法崩壊しているような気がする・・・。緊張しているのか?いやでもなんか違うような、どちらかと言えば拒絶に近いような・・・。
「そうなんだ。そしたら私は何をすればいいのかな」
「生徒会長は時間になったら、放送の調整を行ってください。一応先生から『できる』と聞いているのでお願いします」
正確には言質はとっていないが、遠藤先生が指名したのでそういう事にしておく。
「・・・よし。わかった。ほかに先生は何か言ってなかった?」
一瞬、間があったように感じたが気のせいだろうか・・・。不安が残る。
「ほかは何も言ってなかったですね」
「了解。じゃぁ私はHRに行くからお先に。伝えに来てくれて、ありがとうね」
会長はそういって、ゆっくりと下駄箱がある正面玄関に向かう。
でも、なんだろう。この嫌な感じ。初めの寒気といい、なんか関わってはいけないようないような人の気がする。それに最後の間は何だったんだ。不安しかない。まぁ考えても仕方ないか。とりあえず、用事は終わったし私もHRに向かおう。