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アラサーおっさん、ごみ拾いから成り上がる ~どんな魔物も魔核を壊せば一撃です。鑑定×速読で始める勘違い無双?~  作者: 砂糖 多労
ごみ拾いの飛躍

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おっさん、悪あがきをする

 今までのモンスターがそんなことなかったので、槍が刺さらないとは思わなかった。


 そんな重要なことを知るのが死ぬ直前だというのも悲しい話だ。

 今度は女神さまも自分の世界の人間として俺を普通にあの世に送るだろう。


 短いけど、楽しい世界だった。

 モリアさんに会って、メイアちゃんと話して、アルクと笑いあって……。


(そういえば、アルクにちゃんと帰るって約束したのにな)


 ……


 そうだ。


 約束したんだ。

 まだできることがあるかもしれない。


 頑張らなきゃ。

 俺はシャドーウルフをにらみつける。


 シャドーウルフはワイヤーを固定していた木をなぎ倒して、悠々と近づいてくる。

 どうしても、あいつを倒すビジョンが見えない。


「どうすりゃいいんだよ」


 こんな時でも、鑑定先生は俺の問いに対して同じメッセージを見せてくれる。


『……前足の爪で相手を弱らせ、牙でかみ砕くことで相手にとどめを刺す。……』


 これだ。

 毛皮は固くて通らなかったが、口の中ならば槍も通るはず。


 俺は這いずるように逃げる。

 シャドーウルフは勝利を確信しているのか、余裕の表情でゆっくり近づいてくる。


 気づかれないように。

 這いずるように。


 俺は右手で槍を握りしめながらゆっくりと近づいてくるシャドーウルフを見つめる。


 そして、あと少しというところで、シャドーウルフは大きく口を開けた。


(今!)


 タイミングよく立ち上がり、槍を突き出すが、シャドーウルフも同時にあごを閉じる。


「ぎゃーーーー」


 槍は……。


 あと少し届いていない。

 刺さってはいるようだが、シャドーウルフには痛みを与えられていないのか、かみつく力は弱まらない。


 もしかしたら小骨が刺さった程度にしか思っていないのかもしれない。


(クソ! あと少しなのに!)


 あと少し、あとこぶし一つ分だけ進められれば魔核を貫ける。

 そうすれば勝てる。


 ミシミシと肋骨が嫌な音を立て、意識が遠のいていく中、さっきアルクにもらったネックレスが目に入った。

 そして、鑑定スキルがその詳細を教えてくれる。


『アルクのお守り アルクが徹夜して作ったお守り。アルクの故郷では魔よけの意味があり、アルクのタクヤに対する思いが詰まったお守り。先はとがっており、シャドーウルフの目くらいなら刺さる。……』


 それが目に入った瞬間、俺の意識は覚醒した。

 俺は鑑定スキルを信じ、空いた左手でネックレスをつかみ、目の前にあるシャドーウルフの目に突き刺した。


「がぁぁぁぁ!」


 シャドーウルフは大きく口を開けて苦悶の声を上げる。

 俺は思いっきり体を口の中にねじ込む。


 ぶちぶちと肉が抉る音がするが、知ったことか!


 今はこいつの魔核をつぶすことだけを考える。


 そして。

 俺の槍はシャドーウルフの魔核を貫いた。


 シャドーウルフは灰になって散り、俺は地面へとたたきつけられる。


「がは!」


 全身が痛い。

 血で真っ赤になった体はどこが傷かさえもわからない。


 このままではせっかくシャドーウルフを倒したのに死んでしまう。

 だが、今この状況を解決する方法を俺は一つ持っている。


 痛む体を叱咤して、懐からポーション瓶を取り出す。


 これはアルクがくれたものだ。


 俺の取ってきた材料で作った試作品だからとくれた。

 あれだけ激しい戦闘をしても瓶が割れていないのだから、もしかしたらすごいものかもしれない。


 それでも、今の頼みの綱はこれだけだ。

 俺はそれを一気にあおる。


 すると、全身の痛みがスーッと引いていった。


「あー。ファンタジーすげー」


 ある意味、一番ファンタジーのすごさを感じた瞬間かもしれない。


 ……いや、鑑定先生がどう考えても一番だから二番目か。


 右手を見ると、『ハイポーションの空き瓶』とメッセージが出ている。

 まるで、鑑定先生が自己主張でもしているようで少し笑ってしまった。


 ……


 しばらくすると、動けるようになった。

 体を確認してみたが、傷がまったくなくなっている。

 服がボロボロなので、さっきの戦闘が夢だったというわけではないだろう。


「とりあえず、帰るか」


 ワイヤーはシャドーウルフにすべてダメにされてしまった。

 明日からまた作らなければいけないが、まあ、元手がかかるものでもないし、いいだろう。


 俺はシャドーウルフのドロップアイテムの毛皮を拾って街への帰路に就いた。

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