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光魔剣ヴァンスライト

 扉の先は異空間のような場所になっていた。

 モルドフ王は告げる。


「ここは伝説級の武器やアイテムを保管する場所だ。俺にしっかりと付いてこい。でないと異空間を永遠にさ迷うことになるぞ」


 グニャリと歪む空間に戸惑いながらも俺はモルドフ王に付いて行く。

 歪んだ異空間をしばらく歩いた後に扉が見えた。


 扉の先にはクリスタルに封じられた数々の神秘的な武具やアイテムが宙に舞っていた。


 その空間を歩いて行く最中、モルドフ王は語る。



「……一つ尋ねようカムイ。お前はどのようにして敵と戦っている?」


「えぇと……普段使いのナイフと……魂の力が込められたオーブを胸に宿して戦っています」


「ではもう一つ尋ねよう。オーブを使い変身して戦う時、お前は武具を手にしているか?」


「……素手か魔力で生成したものだけですね」


「そう、お前には武器がないのだ。全力を出せるだけの力に対応できる装備がない。ナイフ一本手にしてもそのまま殴ったほうが強いようでは意味がない。お前には武器が必要なのだ」



 モルドフ王はクリスタルの一つに手を触れる。

 するとクリスタルは崩壊し、中にあった杖を手にする。


 その杖を俺の前に見せる。


「しかし、ただ強いだけの武器を所持しても意味はない。その理由はこれに触れるとわかるだろう」


 恐る恐る杖に手を伸ばす。

 するとその瞬間、杖からバチバチと電流が走り思わず手を引っ込めてしまう。


「生半可な武器ではお前の戦力の底上げにはならん。しかし、全力のお前に耐えうる武器というものは、それ自体に半端者を寄せ付けない強力な力や装備者を試すような機能がある。オーブを使った時ならともかく、普段のお前はそれらを従えるだけの力はない」


「……なるほど。これ等の武器を扱う資格は俺にはないと」


「それにだ……お前には短剣以外の心得があるか?」


「……武器の扱いは短剣以外は素人ですね」


「そう、いくらオーブに宿る経験値が積まれても己の感覚と解離し過ぎるようなら支障を来す。それに普段使いできなければ急を要する機会に出遅れてしまう。そこで俺は考えた。お前に扱える代物を――」



 モルドフ王は杖を所定の位置に戻して別のクリスタルを手にする。

 それは他の物よりもかなり小さめで……それに持ち手以外殆ど何も付いてない壊れかけのような短剣が封じられていた。


 拍子抜けしているとモルドフ王はクリスタルの中にある壊れかけの短剣を手にしてゆっくりと語る。



「これは“光魔剣ヴァンスライト”……かつて魔族を圧倒的な力で束ねた魔界の覇者が使っていた“魔界の太陽”を意味する魔剣だ」


「そ、そんな凄い代物がここに……!」


「…………まぁ、これは贋作だがな。俺が伝承を元に解析して昔再現しようと試みたものだ」


「贋作……?」



 モルドフ王はヴァンスライトを握りしめる。


「……元々作ったこれはこのような形ではなかった。この剣は使用者の魔力を吸収し形を自在に変えると言う。しかし伝承通りに再現した所、触れる者はおろか周囲のあらゆる生命体の魔力を吸い尽くす失敗作となってしまったのだ。剣の呪いを封じる為にこのように砕いて弱体化させたというわけだ」


 モルドフ王は短剣に魔力を込める。

 すると僅かにあった刃の部分が伸びて剣の形となる。


「……調整後はこれを武器として扱おうともした。しかし使用するには常に魔力が必要であり、一般兵の装備には向かない。かといって扱えるだけの実力者なら他の強力な武器を手にすれば良いこと……これは長らく失敗作扱いであった。しかし――」


 ヴァンスライトをモルドフ王は手渡してくる。

 試しに俺は魔力を込めてみると短剣の形に変わった。


「そう……元々短剣使いのお前なら刃を生成する魔力は最小限に抑えられる。それにだカムイ……ここでオーブの力を使ってみよ。一番強い物を使え。そしてその状態で剣に魔力を込めるのだ」


 言われた通りに俺はベリアルのオーブを手にして胸に宿す。

 変身した後に剣に魔力を込めてみる。


 グオンッ!!


 すると剣の刃が異常に伸び禍々しい物へと一瞬で変化した。



「こ、これは……!」


「なるほど、やはり思った通りだ……それはお前に一番相応しい! 魔力を吸収し形を変化させる剣! その状態でも剣は応えて反応するのだ! 長らく封じられてきた“光魔剣ヴァンスライト”……その主が今日ようやく見つかったのだ!」



 変身を解除して俺は剣をまじまじと見つめる。

 これが俺の剣……相応しい剣か。


「それは必ずやお前の力となるだろう。……さぁ、もう行こうか。仲間をあまり待たせてやるものではないからな」


 “光魔剣ヴァンスライト”……この剣には相性とは別に何か俺に特別な繋がりを感じずにはいられない。

 この剣の輝きを何処かで見たことがあるような……何か懐かしいものを思い出させるのだ。


 新たな武器を手にして俺は仲間の元へと向かう。

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