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霧の森の中で

 


「ついたのだ!」


「ゼェ……ゼェ……ここが……森?」



 息を切らしながら前方を見ると薄暗い霧に包まれた森があった。

 ルミンが言ってた魔法使いはここに住んでいるのだろうか。



「前にパパとママと来た時より薄暗くなってるけど多分ここを真っ直ぐいけばつくと思うのだ!」


「……本当に大丈夫か?」


「多分!!」



 こんな薄暗い森の中で遭難なんかしたら洒落にならないぞ……。

 でも、ここにしか手掛かりらしいものは掴めないのもわかってる。

 意を決して森に足を踏み入れる。


「中は本当に暗いな……」


 外はまだ朝方なのに森には日光がほとんどない。



「……! こっちに人の気配がするのだ!!」


「おい、ちょっと待てよ……!」



 駆け出すルミンを追いかける。

 森の木々をすり抜け草木を払いながら進む。

 しばらくすると開けた場所が見える。



「あれ……? さっきまでここらへんにいたのに……」


「そうなのか? それにしても……随分と大穴が多いな……」



 まるで爆破されたような跡がそこらじゅうにある、

 何か大きな戦闘があったのか……?



「でもまだ近くにいるはずなのだ。きっとその人がいい魔法使いさんなのだ!」


 ルミンは爆破跡を駆けていく。

 俺も後を追う。




 しばらくするとキラキラとしたクリスタルの山が視界の端にあることを確認する。


「なんだ……あれは……?」


 無用心にも輝きに惹かれ俺は近づいてしまう。


「……! カムイお兄ちゃん!! 危ない!!」



 ルミンの一言ではっとする。


 クリスタルの山だと思った物が動き出している。

 下から手足と首が伸びる。

 まるで巨大な亀というべき怪物が姿を表した。



「……!」


 俺はとっさにナイフを取り出し攻撃しようとする。

 が、クリスタルの皮膚はナイフを全く通さない。


「てやぁあああ!!」


 ルミンも爪で攻撃するが弾かれる。


「硬い! 全然効かないよ!?」


 ルミンの攻撃でもびくともしない防御力……。

 ソーマを使うべきか……。





「……あぁ、あんな方法じゃ永遠に勝ち目ないのに……まだ狩り残しがあったのね。さっさと片付けちゃいましょ……」 



 何処からか声が聞こえる。

 その後上空から魔力を溜める音が聞こえてくる。

 上空を見上げると紫髪の少女が指先に魔力を溜め込んでいた。



「だ、誰だ!?」


「さっさと退きなさい。巻き込まれるわよ」



 忠告通りに場を離れる。

 その後少女の手から魔法が放たれる。



爆破(エクスプロージョン)……!」



 亀の怪物の真下から光が溢れる。

 その直後地面をえぐり出すようにドーム状に爆破された。

 怪物の遺体からクリスタル部分のみが残る。



「さて……回収しようかしら…………何?あんた達?クリスタルタートルは倒したんだからさっさと行けば?」


「ま、待ってくれ! お前がこの森の魔法使いなのか?ここが何処か教えてくれないか!? 俺には行かなきゃいけない場所があるんだ!」


「ふーん……でも、あたしには全然関係ないことよね? まぁ出すもん出すなら別だけど…………ん?」



 魔法使いの少女はルミンのほうを見つめる。

 すると目の色を変える。



「もしかしてその娘獣人!? 可愛いじゃない!? ちょっと待ってて!! 案内したげるから!!」



 少女は宙に浮いたまま移動しだす。



「もしかしてルミン気に入られたのだ?」


「……奴隷商人には見えないし信用してよさそうか?」



 後をつける。

 しばらくすると建物が見える。


 なんとも不思議な外見をした屋敷が見える。

 大きなクリスタルが屋根に刺さっている。

 複数ある煙突から様々な色の煙が漂う。



「さぁさぁ! 中に入って! 獣人のモフモフを拝めるなんて久しぶりだわ!!」






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