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最高レアアイテム獲得能力

 

 ソーマで強化されたとはいえ巨大ボムモールを数十匹を瞬きの間に全て仕留める獣人の身体能力に俺は呆気にとられていた。

 ルミンが薬草を握りしめ駆け寄ってくる。



「ほら! 取れたよ!! 誉めて!!」


「……あぁ、ありがとう! ルミンも無事で良かった……」


「あれ? でもカムイお兄ちゃん全然ケガしてないのだ? もしかして治っちゃった?」



 ……そういえば自分の治療はソーマ一滴で済ませてたな。

 でもルミンがここまで頑張ってくれたんだ。

 俺が使ってあげないとな……。



 ルミンと会話していると俺は視界の端にボムモールが一匹まだ息があることに気づく。

 ボムモールは最後の力を振り絞り爆弾を放とうとする。



「危ない!!」


 俺はナイフを取り出し瀕死のボムモールの額に飛び掛かる。

 ボムモールは爪を力無く振り回し俺にかするように当てるが俺は怯むことなくナイフを突き立てる。


「グモォア……!」


 最後の一匹が仕留められた。

 かすった場所から血が滲む。



「カムイお兄ちゃん! これ使って!!」


「あぁ、使わせてもらうよ」



 薬草を屠る。

 苦いしパサパサとするが傷が少しずつ塞がっていく。

 完治するとルミンは喜び再び駆け寄る。



「これでホントに体力満タンなのだ! 今日はいっぱいモグラの丸焼きでお祝いなのだ!」


「お祝いって……なんのお祝いだい?」


「ルミンの冒険出発のお祝いなのだ!!ルミンは強いしカムイお兄ちゃんの何か凄いお薬で更に強くなるしベストマッチなのだ!!」



 そういえばそうだったな……。

 確かにルミンは強いし頼りになることは間違いない。

 だがまだ子供だ。

 一時の舞い上がりで危険な目に遭わせるわけにはやはりいかない。



「いや……やっぱり一緒に連れていくわけには行かないよ。俺には目的があるけどルミンはパパとママを待つんだろ?それなら……」


「あるのだ! ルミンは待つんじゃなくて探しに行くのだ!」


「さ、探しにいく……!?」


「きっと道に迷ってとっても遠いとこにいて帰りたくても帰れないのだ!ルミンが迎えに行くのだ!」



 そうか……ルミンにも目的ができたのか。

 ならば断る理由も要らないだろう。


「……わかった。これからも宜しくルミン」


「はいなのだ!!」





 ルミンを同行させることを決めた後、ボムモールの死骸からアイテムを漁る。

 火薬の原料や毛皮、固くて臭いが太い肉などを回収していく。

 ルミンがいつの間にか家から薪が大量に詰まっている袋を持ち出してきた。

 全部その場で丸焼きにしようとしてたらしい。


 薪を出し火を起こすとルミンは手当たり次第食べれそうな部位の肉を焼いていく。

 俺は空いた大きな袋に使えそうなアイテムを入れていく。





「さて……残りは俺が仕留めたコイツか……どれどれ……」


 アイテムを漁ろうとした時俺はあることに気づく。


「コイツ……鼻先が収縮していない……!?」


 死んだボムモールは鼻先の爆弾に貯める火薬などの成分は残らずそのまま縮んでしまう。

 が、ごく稀に火薬が詰まり爆弾の形そのままに留まり希少なブラストボムというアイテムとして手に入る場合がある。


「これはラッキーだったな。じゃあ早速回収……ッ!?」


 俺は驚いた。

 手にしたブラストボムが紅く輝いていたのだ。

 これは……もしかしてスライムの時と同じパターンではないか?

 紅く耀くブラストボムだなんて聞いたことがない。

 もしや、神秘のソーマと同じように伝説級のアイテム……?



 俺は試しに肉を頬張ってるルミンに聞いてみた。



「なあ、ルミン。ここら辺のスライムで取れるモノってゼリー以外取れるのか?」


「ハグハグ……ぅん? スライムからは……ムシャムシャ……青くてプルプルのゼリーしか取れないんじゃないのだ?」





 ルミンの返答を聞いて一つの仮説を思い浮かぶ。

 俺は戦闘経験はあってもモンスターに止めを指したことはなかった

 リアン達が戦闘の中心だったからだ。


 そして……俺は追放されて初めてスライムを単独で狩り、伝説とされてきた神秘のソーマを倒した全ての個体から得た。


 このボムモールは俺が額にナイフを突き立ててて絶命した個体。

 それ以外は全てルミンが仕留めたものだ。

 一匹を除いて全て通常の獲得できるアイテム。

 そしてこのボムモールから得られたのは希少なブラストボムを上回る伝承されていない紅い輝きを放つブラストボム。



 俺は……もしかしてとんでもなく特異な能力を持ってるのではないか……?




 “最高レアアイテム獲得能力”


 安直な能力名だがそれしか思い付かない。

 が、そんなことはどうでもいい。

 これは俗に言う“奇跡”というやつではないか……?



 “奇跡”とは天啓や儀式によって神によって選ばれた存在……分かりやすい例だと“勇者”などが獲得できるモノ。

 そいつが選ばれし者であることの証明であり魔法などでは再現できないモノであるとされている。


 が、俺はそんな天啓や儀式は受けた覚えはないし今まで自分が選ばれし者だとも思ったこともない。

 だが、ごく稀に……生まれつき“奇跡”が宿る者がいるらしい。

 奇跡の才能を一切気づかないまま生涯を終えたりすることもあるらしいのだ。



 俺が……こんな俺がホントに“奇跡”の選ばれし者なのか……?

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