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パーティ再編成

 宿屋にて今日の収穫の確認を含めて夕食をとる。


「えぇと……今日の収穫はゴブリンの肝10個とリザードマンの鱗が8個、それにゴブリンの棍棒とリザードマンの槍が数十本手に入れました。ゴールド換算すると7000ゴールド前後ですかね……」


 俺は今日のアイテムの勘定を報告する。


「今日もすごい収穫だね! これもみんなのおかげだよ!本当にありがとう!!」


 リアンが天真爛漫な笑顔でお礼をする。


「私からは他に言いたいことはないよ。ベグゼンは何かある?」


 リアンが尋ねると戦士の大男ベグゼンは口を開く。



「……俺からは特にはない。強いていうならもうこの辺りの魔物や依頼はやり尽くしたので別の拠点を見つけるべきだと思うが……」


「うーん……たしかにもう魔物は大分少なくなってるし他の場所に移動したほうがいいかな……意見ありがとねベグゼン!」



 次に口を開いたのは女魔法使いのエリザベス。


「……次の拠点に移るならまず話すべきことがありますね」


 神妙な顔つきで語る。



「話すことって?」


「率直に言うとパーティ再編成です」


「…………!」




 一瞬場が凍る。

 少し間が空くとリアンは尋ねる。



「えっ……別にいいんじゃないかな?今はバランスもいいし……」


「本当にそう思ってますか?」



 冷たい眼で見つめる。


「……ずばりカムイ君、貴方です。貴方はこのパーティにいる必要性が薄い。私達のような戦闘のエキスパート集団に貴方のようなアイテムを漁るだけの人は必要ありません」


 エリザベスが喋り終えるとリアンは高ぶったように怒る。



「ちょっと!! カムイ君が要らないってどういうこと!? 今日のアイテムが獲得できたのもカムイ君のおかげなんだよ!?」


「アイテム獲得など我々が片手間でできること。それに戦闘面でも最近は棒立ちでしょう?別にサボってると言いたいわけではありません。我々が優秀過ぎるだけなのですから。彼が今後パーティで貢献できることは日に日に少なくなっていくでしょう。彼に片身が狭い思いをさせるぐらいならばいっそパーティから抜けて貰うのが彼の為であるのでは?」



 さらにリアンは怒る。



「いくらなんでも酷すぎるよ!! カムイ君も何か言ってよ!! カムイ君はみんなの役にたってるって……」


「お、俺は……」



 言い淀んでしまう。

 長らくの間触れられなかった暗黙のタブーが触れられたのだ。

 俺自身も自覚してたことだった。


「彼もわかっているではありませんか。我々も彼も今後のことを考える上で一番有益な選択はわかっているはずです」


 しばらく黙りこんだ後、俺は震えながら喋り出す。



「俺は……このパーティに居たい。今までずっとリアンに守られてきた。なのに俺はリアンに冒険者としてできることが十分に果たされていない……! 俺は彼女の恩を返す為にも今パーティを抜けるわけにはいかないんだ……自分が大した能力もないこともわかってる……! でも俺は自分ができることがしたい!」


「カムイ君……!」



 エリザベスは少し笑った後話し出した。


「ふふっ、ごめんなさい。私が間違っていたわ。さっきのことは忘れて頂戴。私も少し酔いが回ってたみたいだわ……お休みなさいね」


 エリザベスは席から立ち部屋に戻る。


「うむ、よい啖呵だったぞ」


 ベグゼンも席を立つ。


「はぁ……一時はどうなるかと思ったよ。さっきはハッキリと言ってくれてありがとう! ちょっとカッコ良かったよ!!」


 手を握りながら笑顔で話す。

 突然手を握られて俺は少し顔が赤くなってしまう。


「じゃあ、そろそろ寝るね。お休み!」


 手をふるリアンを見送り、明日の予定を見直す。

 眠気が襲ってきた、早く仕事を済ませないと――


   ◇


  俺はいつの間に眠っていたようでふと微睡んだ瞳を開く。

 気がつくと暗い馬車の中に閉じ込められていた。


「……乗せたか。ではなるべく遠くへ頼む」


 外から話し声が聞こえてくる……この声はエリザベス!?

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