賢者の娘
◇
「あら~やっぱり可愛いじゃない! 獣人の娘はやっぱり最高ね! お名前はルミンちゃんっていうのかしら?」
「ふにゃ……耳とか尻尾を触られまくられるのだ……」
紫髪の魔法使いの少女に家を招かれたのはいいのだが……。
どうやらルミンのことを大層気に入るようだった。
「あー……ちょっといいか……? 俺はここが何処なのかと目的地までの移動手段を教えてもらいにきた気がするんだが……」
「ん? あぁ、そうだったわね……えぇとその前に……」
ルミンを撫でるのを一旦止め、胸を張り得意気な表情をする。
「あたしは大賢者のシャルロットよ! ここの森の支配者とでも言うべきかしら?」
ルミンは少しきょとんとした顔になる。
「あれ……? いい魔法使いさんはお爺さんだった気がするんだけど……」
「何……!? じゃあこいつは偽物……」
「偽物じゃないわよ!! ちゃんと継承できてないだけで……ルミンちゃんが言ってるのは師匠様のほうね……」
魔法使いのじいさんは今はいないのか。
まぁ、多分この子も悪人ではなさそうだし信用していいか……。
「自己紹介終えたから本題話すわね。この森から出ていきたければ一人50000ゴールド出しなさい。……ルミンちゃんの分はまけといてあげるからそこの男はさっさと自分の分出しなさい」
「ご、50000ゴールド!? 高過ぎんだろ!!」
手持ちを確認する。
アイテムは大量にあるが金はほとんどない。
「金はないが……ここのアイテムで交換ってのは……」
かき集めたソーマなどを見せる。
「…………はぁ。このあたしが粗悪品のポーションなんかと交換すると思ってるの?それに売り物ならもっとマシな入れ物に入れなさい」
「いや、違うんだ! これは神秘のソーマなんだ!! 伝説級のアイテムだぞ!? 50000ゴールド分の価値は十分……」
「いやいや……嘘ならもっとマシな嘘考えたら? 伝説級のアイテムがあんたみたいな奴にそんな袋一杯に集められるわけないでしょ? しかも何かこれ発光してるしヤバいでしょ」
どうやら信じてもらえないみたいだ。
クソッ……どうしたら……。
「全く……詐欺師なんかが迷い来んじゃって……仕方ないわ。じゃあ仕事をあげるわ。それ達成できたらこの森の出口とついでにあんたの行きたい行き先まで教えてあげる」
「し、仕事……?」
「そう、お仕事よ。50000ゴールド分のね……」
俺は息を飲む。
どんなキツイ仕事だろうとやらねば進めない。
「さっさあたしが倒したクリスタルタートルいたでしょ? あいつらからとれる高純度のマジッククリスタルを五頭分採ってきたらいいわ。足りなきゃまた行ってもらうからね」
さっきの怪物を倒してドロップアイテムを渡せばいいのか。
高純度のクリスタルは俺の“奇跡”で大丈夫だとしてもアレをどう倒すか……。
「……あぁ、引き受けるよ。ただし量や純度を誤魔化したりするなよ」
「ふふっ……そんな小物染みたことはしないわ。大賢者の名に懸けてね」
話終えるとルミンが興奮して身体を動かす。
「よーし! 早速亀退治に行くのだ!! ルミンは無敵なのだ!!」
「ちょっ……ルミンちゃんはお姉ちゃんと一緒にお留守番しとけばいいのよ?」
「ルミンは戦ってカムイお兄ちゃんの役に立ちたいのだ! 善は急げなのだ!」
「あぁ、ちょっと待って……」
扉を開け飛び出すルミンを俺は追いかけながらクリスタルタートルを探しに行くのだった。




