なかなか本題が始まらない
「ねーねー、何で世良達のこと嫌いなのよー?」
八人は只今下校中。と言っても自分達の本部へ帰るところ。
可憐は既に岡崎世良と仲良くなっている。
そのため、なぜ巧と京介と紫乃が、気の良い三浦達を嫌うのかが気になって仕方がないのだ。
「そうそう、和正君も世良ちゃんもいい人なのに、なんでー?」
真理も気になる様子。
そして、女子二人(時々その他男子三名)の猛攻撃にしびれを切らしたのか、京介が、
「あーもう分かった分かった。本部へ帰ってから話す!」
「ここじゃ、誰かに聞かれそうだしな。」
と、巧。
「ざっと十人か。・・・走る?」
紫乃は鏡を持ちながら言った。その鏡に写るのは、自分達を尾行する、十数名の・・・小学生。
そして八人は同時に駆け出す。さすが天才児、運動力も抜群で、あっという間に尾行軍を巻いてしまい、後に残ったのは唖然とする尾行軍であった。
じゅー。
とストローでパックのミルクティーをすすっているのは、紫乃。
ちなみに本部へ帰ってきた時丁度、田辺司令官が笑顔で迎えてくれた。
のに京介が、独身の田辺に、いい女の人紹介するからと言って、一人一本120×8=960円ジュースをおごらせてしまった。
かわいそうに、田辺は
「夕飯が・・・」
と嘆くのだった。天才児京介&男の欲望、恐るべし。
「で、何で三浦と岡崎を嫌うんだ?」
そうでした、班長。本題はそっちでした。
すると京介は後ろ手にポイッと紙パックをゴミ箱へ投げ捨てた。いつもだったら絶対に入るという微妙な特技を持っている京介だが、ゴミ箱のそばにいた巧に、
コンッ
といい音を立ててあたった(しかも頭に・・・)。
「京介テンメェ・・・」
「あ、ごめんなちゃい、あたっちゃいまちたか。許して下ちゃい巧ちゃん。」
「さっさと教えろぉぉお!!!!」
五十嵐とうとう切れたのだった。