孤独
「・・・お前、自分が何したか分かってんのか、だと?」
紫乃は、ゆらりと言った。
「それはこっちのセリフだ。」
握られた拳から、血が滲んでいる。
「お前は分かるはずだ。ただの人間、普通の生き方をしていたなら。自分の勝手で他人を巻き込み、傷つけ、ねじ伏せる・・・最低なヤツとは違ってな。」
「お前に何が分かるんだよ!!俺はずっと孤独だった!!だから、入れ替わって[最高]を手に入れたんだ!!・・・そして・・・」
「でも孤独、でしょ?」
可憐は三浦の肩にそっと手を置き、正面から覗き込んだ。
「俺達も、そうだぜ?」
と、五十嵐。
続けて、悠樹。
「そうだった、かな?」
「いわゆる天才児ってだけだった。」
切なさそうに、巧が言った。
「でも今は、違う。こうして仲間と出会えて、最高って言うんだ。」
にっこり笑って、京介が言った。
若宮は、真理と共に三浦の前に歩み出て、手を差し伸べる。
「その、〔最高〕に出会えて初めて、罪を償えるんだよ。」
「ゆっくりでいい、まずは孤独と言う名の地獄から、抜け出すんだ。」
三浦はうつむいていたが、やがて顔を上げ、若宮の手を掴む。
「いいのかよ。俺は殺人者だぞ。それに、今まで散々酷いことをしてきたわけだし・・・鮎川だって!!」
「いいんだよ。自分のしたことを受け入れられるのだったら。」
「まぁ・・・」
若宮に、京介が付け足した。
「受け入れられないで、ただ暴走するんだったら、そんだけの器だったってことだ。・・・そんだけの器だったヤツもいるみたいだけどな。」