入れ違いの二人
「何だ、もうやられちまったか。」
中学生、高校生をあっという間に転がした六人を見、三浦和正・・・もとい、遠藤司は面白くなさそうに言った。
「・・・降りて来い。」
「はい、はい。」
若宮が、低い声で言うと、悠々と主犯は降りてくる。
「もう、つまんないな。メインイベントはこれからだったのに。」
「てめ・・・」
「止めろ、五十嵐。」
殴りかかろうとした五十嵐を、巧が止める。
「さて、聞かせてもらおうか。・・・遠藤司。」
「俺な、従兄弟がいたんだよ。そっくりの。しかも、超金持ち。親からも、誰からもちやほやされてさ、ぬくぬくと生きてやがった・・・。」
「お前と同じだな。」
「あいつは、俺の従兄弟で、血も繋がってた。だけどな、あいつ言ったんだよ。お前なんか、生きている価値がないって。」
「ちょっと待て、なんでそんなこと言われないといけないんだ?お前が。お前はそんなこと言われなくてもいいはず・・・っ!まさか!!」
「そ、俺は金持ちでもなんでもない、普通の貧乏人だった。あいつは、俺のこと要らないって言ったんだ。そして、俺は思った。なんで普通だったら要らないのかってね。
俺の本当の名は
三浦 和正だ。」
「簡単だったよ。そっくりだしさ、入れ替わればいいんだから。」
「そ、それで、あんた、もしかして・・・」
「理解が遅いな。だから、」
殺したんだよ
ガンッ
鈍い音がしたかと思うと、三浦は紫乃に胸倉をつかまれ、壁に押し付けられていた。
「っ何しやがる!!」
ドカッ
「やめろ!紫乃!!」
紫乃は三浦を殴ると、胸倉から手を離した。
「お前、俺に何したかわかってんのか?!」