8+1 &ゴキブリ
休み時間。
今回は屋上ではなく、教室からお届けしよう。
・・・それが裏目にでたのだが。
ソイツは丁度、可憐の足元に現れた。
カサコソ×2
「ぎゃ――――――――――――????!!!!」
13歳の乙女らしからぬ悲鳴をあげて、机の上に飛び乗った。
わずか1秒。
さすが天才児・・・と言っていいのだろうか。
ちなみに可憐は、メンバーの中で一番運動神経の良い、五十嵐と並ぶほどなのだ。
「ああ、なんだゴキ「悠樹、ストーーーーーーップ!!!!!」ほんと虫嫌いだね、可憐。」「さっさと潰そうぜ。」
スパン
五十嵐の出番より先に、ゴ・・・その物体に新聞を直撃させた者がいた。
「誰だ!久しぶりの俺の出番取ったヤツ!!」
「え・・・えと、ご、ごめんなさい。ついつい・・・」
顔をおおった長い前髪。中途半端に切られた髪の毛。
その子は、班長の隣の席の・・・
「お前、鮎川?」
「え・・・?そうですけど・・・。」
クラスの中で一番浮いている、と言ってもいいこの少女は、鮎川小百合。
小百合は新聞を手に、ゴ・・・じゃなかった。もう、めんどいなぁ。
普通に言えば?by巧
ありがとう巧!!
ゴキブリを叩き潰したのだった。
「ありがと!!!助かった!!!」
「え、いや、私は・・・」
「ま、あのままじゃ可憐、気絶してたかもね。」
「俺の出番・・・」
「よろしく、小百合!!」
「えっと、よろしく・・・?」
かくして、八人は知り合ったのである。
ゴキブリ退治で?とはつっこまないであげて下さい。
小百合はなにも、遠藤司の気に障るようなことはしていなかった。
明るくて、前向きで、それに・・・すごく可愛かった。
本人に自覚はなかったが、すごくモテたし、友達も沢山いた。
そんな日常で、それは始まった。
「モテるからって調子乗ってんじゃないわよ!!!」
「目障りなんだよ!!!」
「死ね、ばぁか。」
「その髪、見られないようにしてあげる。」
「やめて!!!!私はなにもしてない!!!!いやあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ジャキン ハラ・・・
「いい気味。これからまた出しゃばったらもっとやってやるんだからね。」
「わかったら消えろ。」
「そう、辛かったんだね。」
「私は何もしてないはずなの。もしも悪い所があるなら直すし、誤りたいけど・・・。
このこと人に話すの初めてなの。聞いてくれてありがとう、みなさん・・・。」
屋上。小百合と仲良くなった八人は、彼女の話を聞いていた。小百合はずっと黙っていたことを、我慢できなくなったように喋った。
ぎゅっとスカートの端を掴む小百合はすごく辛そうで。
八人も、心が痛んだ。
「・・・ッ・・・っく・・・」
可憐はそっと小百合を抱きしめる。
「泣いて・・・いいよ。私達は、あなたの見方だから・・・。」
「・・・ぅ、うあぁぁぁぁぁ!!!!!」
夕焼けだけが、それを見つめていた。