1話・プロローグ
昔々、地球とは別の世界の物語。
その世界には、神がいて、魔物がいて、剣があって、魔法がありました。
あるとき、雲の上の神様たちの国で、1匹の小さな狐が生まれました。その狐は、まるで雪のように真っ白で、綿のようにふわふわでした。狐は、ほかの神様たちから、大事に、大事に育てられました。
それから10年たったある日のこと。月の女神様がやってきて、
「あなたは、神としてはまだまだ子供ですが、十分成長しました。神の仲間として、役割を差し上げましょう。何かやってみたいことはありますか?」
と、言いました。狐は尻尾を振りながら、少し考えました。しかし、自分がやってみたいと思えることは見つかりませんでした。神様は、いつも地上の世界に関わるような役割を持っていました。しかし、狐はずっと神様の国にいたので、地上のことをあまり知らなかったのです。狐は、悩んだ末にこう言いました。
「一度地上に行って、いろいろなことを知ってから何をするか決めたいです!」
それを聞いた女神様は、優しく微笑みながら狐を片手で抱き上げ、もう片手で足元の雲を押し広げ、地上の見えるほどの穴を作りました。
「地上に行けば、ここに帰ってくることは簡単ではありませんよ。それに、地上には神の国より危険が満ち溢れているのです。それはあなたもここから見ていて学んだはず。本当に、良いのですか?」
狐の気持ちはそれでも変わりませんでした。狐はどうしても地上のことを知りたかったのです。
「・・・・・・わかりました。それでは、これからあなたを地上に降ろします。無事にここに戻って来られるよう、そしてたくさんのことを知ることができるよう祈っていますよ・・・」
女神様は抱きかかえていた腕を放し、狐は雲に開いた穴、その下へと落ちてゆきました。
初めて書く作品なのでいろいろ問題があるかも知れませんが、何かお気づきの場合は感想欄にてご意見をいただければ幸いです。