網戸ばあさんその他
大きな何かと目が合った。明け方にふと机から目を上げると、大きな何かが網戸に張り付いていた。暑かったので、窓は開けて網戸だけにしていたのだが、その網戸一枚を挟んだその向こう側に老婆が張り付いていた。皺だらけの老婆が嬉しそうな表情で俺を見ながら網戸を舐めていた。
明け方に雨戸ががたがたと音を立てていたが、家の中の者は誰も気が付かなかった。その家の前を歩いていた酔っ払いは小柄な人影が雨戸に張り付いているのを見たが、気にしなかった。小柄な人影はやがてどこかへ去っていったが、他の家の雨戸に向かったようだった。




