とある女の転生小話
私こと林飯 美紀は、どこにでもいる女子大生。華々しく大学デビューを決めた私はオタクである。
それも、世間一般では敬遠される腐女子と呼ばれる部類のオタクであり、中学高校生代はカースト下位の目立たない存在であった。
しかし、私はついにやったのだ! 底辺大学ではあるが、過去の自分を知る人間は誰も居ないこの環境ならば、私でもリア充ライフを満喫する事が可能だろう。
だが、花のキャンパスライフにはお金が必要である。という理由で、私は嫌々ながらもおっぱいパブなどという見入りのいいバイトで金を稼いでいたのだが……
あれは、常連のキモジジイにおっぱいをまさぐらせていた時の事だった…… 私は謎の光に包まれたかと思うと、高校生時代にハマっていた乙女ゲーの世界に転生していたのだ。
しかも何故か悪役令嬢として……
当然だが最初はワケがわからなかった。が、これはあの都合の良過ぎる異世界転生では? と認識した私は、自身の知識を生かして見事に逆ハーレムを作る事に成功した。花のキャンパスライフは無理だったが元来リア充とは程遠い日陰者の私にとっては、むしろこっちの方が幸せであると今は満足している。
さて、この世界は一つだけゲームと違う所がある。
それは勇者召喚という毎年行われる恒例行事だ。私は正直マズいと思った。私みたいにゲームの知識を持った人間が来たら私の正体がバレてしまうからだ。
しかし、私の立場では廃止にまで持っていけない為に、私は一大決心をし見事に女王を引きずり降ろした。そして新女王となった訳だが、流石に勇者召喚を今年直ぐに廃止に持っていくのは不可能だったのだ。
勇者召喚は国民感情で言えば宝くじの勇者バージョンと化しており、当たりハズレの賭けまで行われている始末である。十年…… いや二十年程かけなければ、廃止にまで持っていけないだろう。
そして、今日は勇者召喚の日だったのだが…… どうやら勇者の召喚位置がズレたらしい……
全く…… しっかりやってほしいわね……