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鏡館殺人事件  作者: 東堂柳
インターローグ
35/63

3

 鏡館の二階に、影が佇んでいた。

 影の前には一枚の扉。影はやんわりとその扉を叩いた。

 部屋の中にいるであろうその人物に向かって、優しく声をかける。


「はい、ちょっと待ってください」


 扉越しに返事が聞こえてきた。

 影は右手に持ったロープに力を込める。左手に携えた原稿を今一度一瞥した。

 影の書き上げた原稿。鏡館殺人事件、第三の殺人である。


 ――夜熊も死んだ。ここからが正念場だ――


 扉の向こうでぱたぱたと急ぐ足音が聞こえ、それから鍵の開く小気味の良い音。

 影は後ろ手にロープと原稿を隠した。殺意もまた、その笑顔の仮面の下に巧妙に隠す。


「すみません、お待たせしてしました。どうぞお入りください」


 彼女に促されて、影は室内に足を踏み入れる。

 彼女の背後に続いて奥へと進む影。笑顔はすうと剥がれ落ち、その表情はどんどんと険しくなる。さながら鬼の形相だ。


 ――殺す、殺す、殺す――


 影は彼女に気付かれない様に、ゆっくりとロープを首に回し込んだ。

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