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親方の指導は思ったより厳しくなかったよ!
ただ、今はだけどね。
まだ武器を加工できるレベルまで達してないから、今までとあまり変わらない内容だよ。
違う点は、親方が長い時間、傍で指導してくれることかな。
今までもたまに指導があったんだけど、それが長くなった感じだよ。
今日も金属加工練習だよ!
同期の人達からは少し羨ましがられてるよ。
まあ、そうだよね。
棚ぼた的展開で親方から直接指導を受けられるんだから。
今日は初めて剣を作らせてもらったよ!
嬉しい。
でも、剣って難しいんだね。
何回かして全て失敗しちゃったよ。
そこで、先駆者の少女に聞きに行ったら、休憩中にもかかわらず、少女は嫌そうな顔をせずに丁寧に教えてくれたよ!
そして、フレンド登録までしてもらった!
よし、これで明日は成功させるぞ!
剣ができたよ!
ただ、品質はお察しだよ!
でも、できたんだ。
嬉しい。
先駆者の少女にお礼を言ったら、一緒に喜んでくれたよ!
いい人だ。
疲れたよ。
休憩が無いよ……。
親方、普段はその辺を気遣ってくれるのに、指導に熱が入ると一直線だよ!
まあ、その分上達できてるからいいのだけどね。
さあ、明日も頑張ろう。
あと、白い彼女が追加の素材を持ってきてくれたよ!
さらに、別の第2類でランク2の金属も貰ったよ!
これで腕を上げないとね!
そして、私のマジックポーチが森になりそうだよ!
あれは本当に手土産なんだろうか?
まあ、いいんだよ!
明日からはもう少し水を持ってきておこう。
そうしよう。
もう少しで剣をお店に出せる最低の品質で作れそうだよ!
でも、魔法銃にはまだまだみたい。
頑張るぞ!
そして、最初は羨ましがってた同期の人達が慰めてくれるよ!
不思議だね!
剣をクリアだよ!
私の作った剣がお店に並ぶんだって。
1本だけどね。
でも、嬉しいよ!
今日も剣を作ったよ!
今日は全ての剣がお店に並べられる品質だったよ!
そして、親方が明日からは魔法銃を教えるって言ってくれた。
嬉しいよ!
あれ?
細工はそんなに難しくないよ!
それよりも、魔法適性の高い金属を加工する方が難しかったよ……。
しかも、これでも一番簡単なところなんだって。
でも、頑張るよ!
なぜか細工は合格を貰ったよ!
それよりも、金属加工が問題だよ……。
最初すら上手くいかない……。
でも、頑張らないと!
魔法金属の加工が一気に進んだよ!
最初ができれば一気に進む人が多いんだって!
そして、初の魔法銃を作ってみたよ!
素材が多くて助かります。
でも、品質は微妙だったよ……。
親方は最初でそれだけできれば十分って言ってくれたけど、細工が十分以上で、金属加工が十分以下じゃあ……。
魔法銃の大量生産だよ!
作っては溶かしてを繰り返してるよ!
親方にはもう店に並べられるって言われたけど、それじゃあ足りないんだよ!
先駆者の少女に見せてもらった刀は遥か先を行っているんだから、まだまだ足りないんだよ!
親方から強制的に休憩をさせられたよ。
刀と魔法銃は違う、そんなことは分かってる。
でも、目に見えてあそこまで差があると厳しいものがあるんだ……。
え、白い少女がそんなことを……。
うん、一歩一歩前進だね!
東の試練のクリアを知った親方から、俺の弟子なら北の試練をクリアして来いって言われたよ!
ついでに修業にもなるだろうって。
そして、最後の段階で依頼の魔法銃を作って来いって。
そうだね!
試練を突破できるだけの品質なら、白い少女も満足してくれるかな?
突破できなかったら修業の続きだよ!
そうと決まれば情報収集だよ!
……友達に頼るよ!
どうも掲示板で情報を集めるのがいいみたい。
掲示板は初めてで緊張するけど、頑張るよ!
うん、作品の方は私にもできそうだよ!
ただ、試練の開始場所まで行くのと、試練中の素材集めはできないよ!
友達は皆生産系だし、ど、どうしようか!?
早く試練に挑戦しないと、誰かがクリアしてしまう……。
そ、そうだ。
彼女ならば十分に倒せるのではないだろうか?
う、うん、私の知り合いで戦えそうな人は彼女しかいない。
よし、頼もう!
「おはようございます。どうしました?」
「助けてください~」
「落ち着いてください」
お、落ち着け私。
「あ、失礼しました。実は北の試練に行きたいのですが、1人で行けないのです……。友達は皆、なぜか生産職になってしまって、頼めないのですよ……。そこで、ユウさんに護衛をお願いしたいのです」
「ギルド等でパーティを募集したほうが早かったのではないですか?」
ギルド……。
募集……。
「……し、知っている人の方が良かったのです!」
気付かなかったよ!
でも、知っている人の方が良いのは本当だよ!
「ちなみに、なぜ試練を?」
そうだよね。
目的を説明せずに手伝ってくださいなんて……。
「えっとですね……。昨日、東の試練が突破されたのはご存知ですか?」
「知りませんでした」
え、掲示板であれだけ話題になっていたのに……。
もしかして、私と同じで掲示板の存在を知らない!?
……無いよね。
「そうでしたか。それで、それを聞いた親方が修業ついでに北の試練を突破してこいと……」
「お話頂きありがとうございます。護衛は引き受けさせていただきますね。そうなると、出発はいつ頃にします?」
やった!
引き受けてもらえたよ!
だったら、急がないと!
「ありがとうございます! 今から行きましょう!そうしないと、親方が鍛冶を教えてくれないのですよ……」
そう、親方がさっきついでとばかりに言ったんだよね。
私としてはかなり重要なことなのに!
「分かりました。それでは行きましょうか」
良かった!
あ、でも準備していかないと。
普段は工房から出ないから、水に食料、HP回復ポーションも持ってないや!
「はい。あ、途中で生産職ギルドに寄ってもらってもいいですか? 試練用に色々と買っておいた方が良いと思うので」
「分かりました。私も買いたいものがあったので丁度良かったです」
丁度良かったよ!
彼女も買いたいものがあったみたい。
あったあった。
生産職ギルドに来るのも久しぶりだな~。
工房に弟子入りしてからは、ずっと籠ってたからね!
水やご飯は工房で出してもらっていたし、道具も工房にあったから外に出る理由が無かったんだ!
それにしても、色々売ってるな~。
あ、この道具良いな~。
携帯用の道具は工房から借りてきたけど、自分用のも欲しいな~。
まあ、サカフィ足りないけどね!
おっと、それよりも水と携帯食料とポーションっと。
何個いるのかな?
う~ん……まあ、5個ずつでいっか。
「お待たせしました。では行きましょう」
お待たせしてしまったよ!
さあ、行きましょう!
「すいません、北に出てくる魔物について教えてもらえませんか? 実はまだ行ったことが無くて」
え?
チュートリアル以外で町の外に出たことが無い私が知っているわけないじゃないですか~。
「え、私も知らないです。……まあ、どうにかなりますよ!」
兎さんに狼さんも付いていることだし、何とかなるよね!
狼さんの方は分からないけど、チュートリアルであれだけ強かった兎さんがいるのなら大丈夫!
さあ、行きましょう!