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92/202

―――92―――

イナバ:ラビット

ルビー:ホーク

ログレス:ゴーレム

「さて、どうしましょうか?」

 

「そうは言ってもな、俺は思いつかんぞ」

 

「私もだ」

 

「僕も」

 

「それは私もです。なので、皆で考えましょう」

 

 自分が欲しい物ならまだしも、皆が納得するようなものはね。

 

「では、まずは自分が欲しい物を挙げてみませんか? その中からアイデアか何か見つけられるかもしれませんよ?」

 

「そうだな。俺は……あれ? 特にねえぞ」

 

「私も無いな。スキルも、武器も、素材も特に不足していない」

 

「僕も無いですね」

 

 欲しいものと言えば魔石だが、どうせ最低1つは自分で入手する必要があるのだ。

 それに、条件が分かってない以上、何度も戦う方が良いだろう。

 ならばここで貰うのは勿体ないと考えてしまう。

 

「私は……無いですね」

 

「皆無いじゃないか。そういえば、外に聞いてみることはできないのか?」

 

「それがありましたね」

 

 それは思いつかなかった。

 だけど、無理な気がするな。

 

 

 

「フレンドチャットも、レギオンチャットも繋がりませんね」

 

「こっちもだ」

 

「私もだ」

 

「僕もですね」

 

 無理でした。

 あの女性に聞こうかな?

 いや、多分質問に入るのだろうな。

 

「聞いてきますね」

 

「いってらっしゃい」

 

 

 

「質問は受け付けないそうです」

 

 やはり?

 まあ、4人だけを転送した理由がありそうだからね。

 仕方が無いだろう。

 

「どうする? 素材でも貰うか? 貰って困る物でも無いだろう?」

 

「確かにそうですね」

 

「では、ボスの素材を全員分と言うのはどうだろうか?」

 

「そうですね、流石に上限は有りそうですが、それならば何とかいけそうですね」

 

 ボスの素材?

 そういえば、誰も剥ぎ取ってないような。

 まあ、今考えても遅いか。

 

「僕もそれに賛成です」

 

「分かりました。それでは伝えてきますね」

 

 そう言えば、なぜ隅っこで話し合っているのだろうか?

 まあ、違和感なく移動した僕が言うのもあれだけど。

 

 

 

 サツキさんが戻って来た。

 そして、あの女性も。

 

「すみませんでした。伝え方が悪かったですね。報酬に関しては試練に参加した皆さんの物とは別に、特に活躍したあなた方に1個あるのですよ。なので、考えて頂くのはあなた方の報酬です」

 

 参加者全員に報酬か。

 もしかして、それがボスウルフの素材なのだろうか?

 そうだとすれば、剥ぎ取る時間を貰えなかったのも分かる気がする。

 

 もし素材で決定しているのなら、僕は魔石でお願いしますね!

 

 

 

「さて、皆さんどうしますか?」

 

「う~ん……まず、どうやって決めるんだ? 誰か1人の欲しい物か? 全員で欲しい物を挙げて決めるのか? 話し合って、全員で決めるのか?」

 

「まずはそれからですね。1人1つ案を挙げてください」

 

「俺はじゃんけんで良いと思うんだが」

 

「私もそれで良い」

 

「では、僕も」

 

「決定じゃないですか。まあ、私もそれでいいですが」

 

 もう皆、面倒くさいだけじゃないかな?

 さて、誰か1人が報酬を貰うと言うのならば、僕は……。

 

「それでは、僕は辞退しますね。以前に一度報酬を貰っていますので」

 

 正直なところ、勝っても欲しい報酬を思いつかない。

 それならば他の人の望む報酬を聞いてみたい。

 それに、2か所で貰うと色々と面倒そうなのもある。

 

「私も辞退しよう」

 

 何だと。

 一番聞いてみたい人が辞退とは……。

 

「俺も辞退するわ」

 

 やっぱり皆面倒くさいだけじゃないかな?

 さて、このままだと最初に戻りそうだな。

 対策をしておこう。

 

「それでは、サツキさんに決定ですね。報酬何にするのですか?」

 

 これで良い。

 

「う……それでは、私が報酬を貰いますね? 本当にいいのですか? 辞退を取り消すなら今ですよ?」

 

 

 

「最後のチャンスですよ!? 辞退を取り消すなら今ですよ!」

 

 

 

「分かりました。頂きますね」

 

 諦めたか。

 まあ、ここで辞退を取り消すならば最初から辞退しないだろう。

 

 

 

「リンカさん、欲しい物なかったの?」

 

 少し気になるので聞いてみた。

 

「今回は楽しめたから、特に無いな。君はどうなんだい?」

 

「僕は1度貰っているからね。2度目を貰うと色々と面倒くさそう。まあ、どうしても欲しいものがあったなら2度目でも貰っていたかもしれないけどね」

 

「その通りだろうな。だが、ばれるとは思えないが? 実際に1度目すら私も知らなかったのだよ?」

 

「公式イベントだからね。試練の突破者を発表しても不思議はない」

 

「それもそうか」

 

「それと、リンカさんと同じで今回は楽しめたからいいかなって思ったのもあるかな」

 

 そう、楽しかったのだ。

 僕にとってはそれが一番の報酬なのかもしれないな。

 

「そうか。それは気が合いそうだ」

 

 そう言い、リンカさんは微笑だ。

 

「そうだね。僕もそう思うよ」

 

 

 

「決まりました。伝えてきますね」

 

「いってらっしゃい」

 

 どうやら決まったようだ。

 ついでに玉も壊してきてほしい。

 

 おお、良い報酬だ。

 やはり彼女に任せて良かった。

 

 

 

「皆さん、黒色の宝玉を壊しに行きましょう」

 

「お願いします」

 

「頼むよ」

 

「頼む」

 

「……皆さん、いきましょう?」

 

「はい」

 

「分かった」

 

「おう」

 

 怖い。

 ボスウルフに迫るレベルかもしれない。

 なんで笑顔ってこんなに怖いのだろうか?

 あれ、何か引っかかるな。

 まあ、今はいいか。

 

 

 

 <ある冒険者により力が封印から解放されました。これにより、封印されていた力が解放されます>

 

 結局玉はは槍の人が壊した。

 ジャンケンが弱かったのがいけないんだよ!

 

「力を解放して頂き、ありがとうございます。これで、4つの力は解放されました」

 

 引っかかる言い方だな。

 なぜ、全てと言わないのだろう?

 まあ、別に間違っていないからいいのだけどね。

 

「封印されていた力が解放されたことにより、この空間は崩壊を始めます」

 

 いつも通りの展開である。

 

「ですがご安心ください。貴方は私が元の場所へとお送りします」

 

 はい。

 

「それでは転送を開始します。またお会いしましょうね」

 

 また?

 イベント限定キャラクターかと思っていたが、そうでも無いようだ。

 

「貴方にはお礼を。試練に挑戦、突破して頂きありがとうございました」

 

 転送……。

 周りを見渡すと、僕と目の前の女性しかいない。

 そう、イナバ、ルビー、ログレスもいない。

 特殊イベント?

 

「いえいえ、こちらも楽しめましたので」

 

「それは良かったです。それでは、貴方の転送を開始します。また会える日を楽しみにしておきますね」

 

 お礼イベントでした。

 

「そして、私と同じ間違いを犯さないよう願っています」

 

 そう言った女性の顔はひどく悲しそうな笑顔だった。

 そして、その言葉を聞き終えた瞬間、視界は暗くなり、すぐに森が映し出される。

 

 これは、再度あの女性を見つけ出す必要がありそうだ。

 まあ、今は置いておこう。

 今は、楽しむ時だからね?

 

「ユウ君、お帰り!」

 

「ただいま、姉さん」

 

 喧騒の中、周りを見渡すと多くの人が新たに出現したらしい神殿の近くで盛り上がっている。

 勿論、姉さん達も。

 そして、転送してすぐに近寄ってきてくれたイナバ達も気持ちが昂っているように感じる。

 まあ、あの試練を突破したのだ。

 盛り上がりたい気持ちは分かる。

 

 さあ、僕も参加しよう!

ご覧頂きありがとうございます。


第3章は1~2週間後に開始したいと考えています。


20141009:修正

一部セリフを修正しました。

・<ある冒険者により情報が封印から解放されました。これにより、封印されていた力が解放されます>

・<ある冒険者により力が封印から解放されました。これにより、封印されていた力が解放されます>

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