―――83―――
ログインすると、運営からメールが来ていた。
タイトルを見ると、どうやらアップデートに関するお知らせのようだ。
一番気になるのはログイン時間の増加だが、どうなったのだろうか?
内容を全て読んでみたが、かなり良いと思う。
まず、プレイ可能時間が1.5倍になっていた。
正確にはログイン可能時間は変更されず、1時間当たり3時間プレイできるようになったようだ。
これはありがたい。
魔物カード作成や各地の探索にほとんどの時間を使っているから、折角取得した付加術を全然試せていないからね。
それに、他にも図書館で色々と読んでみたい。
うん、期待に胸が躍るよ!
次にアバター関連だが、予告通りにベースアバターの追加、名前に漢字とひらがな、英数字を使用できるようになったようだ。
そしてメールを開いた瞬間に出現した、アバター変更チケットを受け取りますか? と表示されているウィンドウでチケットを受け取れるのだろう。
受け取っても邪魔なだけの気もするが、どうやらログイン後3日でチケットの使用権が消滅するらしいので受け取っておくことにした。
それに、ウィンドウも邪魔だからね。
ウィンドウで受け取りを選択すると、目の前に白い紙切れが出現し、浮かんだままでいる。
一瞬取らなかった場合はどうなるのか試したくもなったが、時間が勿体ないのでやめておいた。
白い紙きれを取り、見てみるとアバター変更チケットと記載されていた。
それだけだ。
とりあえず、マジックポーチに入れておいたが、多分期限切れで使用権が消滅するだけだと思う。
まあ、使用するのはプレイヤーの自由なので問題ない。
ところで、追加されたアバターが記載されていないのはチケットを使用して確認してみてね、と言うことだろうか?
……そうか、アバターを見る為に使用するのもありなのか。
考えておこう。
次は新規プレイヤーの参入だけど、これはそのままなのでいいかな。
次に各種調整だが、バランスを調整しましたとしか記載が無い。
出来れば内容も記載してほしかったです。
本当に。
最後にアップデートとは関係ないが、イベント開催のお知らせだ。
15日後の午後2時から開催予定で、参加条件はその時点で町の中にいること。
そして、気になるイベントの内容だが、当日お知らせしますと言うことだ。
これは、勿論参加するつもりだ。
基本的にこのゲームではイベントには参加して楽しむつもりでいる。
今回のイベントも、最初にたまたま西の試練をクリアしてしまったので他の試練には積極的に挑戦していないが、試練を1つもクリアしていなければ積極的に挑戦していたと思う。
まあ、イベントは後回しで魔物カードを集めていた可能性も否定はできないけどね!
いや、今がその状態ともいえるか。
だが、幸いなことに魔物カードの方も北の神殿を利用すれば15日もあれば集めきれるだろう。
ならば参加しない理由は無い。
さて、お知らせも読み終わったことだしマッスル牛とキュア羊を倒しに行こう!
昨日はドロップは良かったのだが、時間が短かったこともあり魔石を集め終わっていないのだ。
できれば今日中に集まってくれると嬉しいのだけど、どうなるかな?
まあ、昨日の調子でドロップしてくれれば十分集まるとは思っている。
さあ、待っていてね、マッスル牛にキュア羊よ!
おお、キュアが2体同時に出現した。
珍しい。
そして、ありがたい。
マッスルさん3体同時とは。
いけるだろうか?
うん、死に戻りしたら南の森へ行ってログアウトすればいいことだし行ってみよう。
今の実力ならば大丈夫なはずだ。
3体相手でも結構余裕でした。
まず2体を僕が相手取って、残り1体をルビーの奇襲から3人で倒して貰う。
次に僕が相手取っている内の1体を3人が引きつけて倒す。
最後に残りの1体を皆で攻撃して倒す。
これならば5体くらいは行けるだろうか?
その場合は僕とイナバが2体、ルビーとログレスで1体ずつ倒していってもらう形になるけどね。
まあ、それは実際に出会ったときに確認できるだろう。
さて、次だ。
さて、そろそろ終わりにしておこう。
今日は昨日に引き続きドロップが良かったので満足です。
それに、運が良かったのかレア種をすぐに見つけられていた。
昨日が少なかったのか、今日が多かったのかは分からないけど、嬉しい事に変わりはない。
そして、魔石もかなり集まりました。
早速牛と羊の魔物カードを作成しよう。
昨日の物も合わせて、かなりの数があるので必要数には足りているはずだ。
2枚とも5個で作成できた。
だが、問題が発生した。
この魔物カードは登録するべきだろうか?
よく考えてみたら、魔物カードの登録数がギリギリなのだ。
正確には空いているのだが、東の為に最低3枠は残しておきたい。
さらに、ボスウルフ用に1枠欲しいし、新しいエリアがいつ解放されるかも分からない。
そうなるとこの2枚のカードを登録するのは待った方が良い気がしてきた。
だが、従魔魔法のレベルが上がれば解決する問題でもある。
どうしたものか……。
うん、どうせ南の試練で使用するつもりは無いことだし登録はやめておこう。
それに、いずれは従魔魔法のレベルが上がっても魔物カードをすべて登録するのは無理になるだろう。
ならば今の内から必要ない魔物カードの登録は止めておくべきだろう。
できる限り解放はしたくないからね。
まあ、必要な時にすぐ登録できるように魔物カードは作っておくけどね!
さあ、そう決まったところで、魔物カードのスキルだけ確認しておこうかな。
そう思い、カードを取り外して裏面を見た。
……何も表示されていない?
これは……いや、よく考えてみたら登録前に魔物カードの裏面を見たことは無かった。
そうなると、魔物カードは登録しなければ裏面の情報が見えないということだろうか?
確認の為にもう1枚の未登録魔物カードの裏面も確認したが、同じように何も表示されていなかった。
うん、これはそう考えてもいいだろう。
キュア羊のスキルは興味があったが、仕方が無い、諦めよう。
さて、この2枚はどうしようか?
登録していないカードを魔物カードに入れたままでも問題ないのだろうか?
……町に寄って聞いてみよう。
そうと決まればさっそく移動だ。
町に寄ってから南の森の暗闇の壁まで移動して、そこで今日はログアウト……。
そう言えばあそこは安全地帯じゃなかったね。
うん、町でログアウトしよう。
さあ、移動開始だ。
「大丈夫です。登録していない魔物カードを従魔の書に入れていても問題ありません。ただし、登録を使用する際に間違えて選択しないように気を付けてくださいね」
「教えて頂きありがとうございました」
と言うことらしい。
今少し気になる発言があったが、まあ予想の範囲内だから問題無い。
それは置いておいて、選択を間違える可能性があるのか。
注意されたということは、過去に誰かがしたのだろうね。
そうなるとマジックポーチに入れておいた方がいいだろうか?
うん、今はそうしておこう。
ああ、どこかにバインダーとか売っていないかな?
魔法職ギルドから出て広場のベンチへと腰かけた。
さあ、今日はここでログアウトしておこう。
そして、明日は少し早目にログインして南の森の暗闇の壁に移動しよう。