―――82―――
イナバ:ラビット
ルビー:ホーク
ログレス:パペット
さて、残りの時間はどこで過ごそうか?
やはり、前回行けなかった東だろうか?
それとも、北で牛や羊、蝶や蜘蛛のレア種を探してみるのもいいかもしれない。
両方とも魅力的で、迷う。
いや、もっと大切なことがあった。
よく考えてみたら、ログレスは狼と戦ったことが無い。
これから狼だらけの南の試練に挑むというのに戦ったことが無いのは良くないだろう。
ならば、ログレスが慣れるまで南へ行き、その後にきたか東へと行こう。
どちらに行くかはそれまでに考えておくことにしよう。
そうと決まればさっそく出発だ。
森の入り口までログレスに狼の相手をしてもらっていたが、特に問題は無さそうだ。
2体を相手にしても回避や盾で防御しつつ、ランスで攻撃を行えている。
そして、その攻撃は外れていない。
これならば問題は無いだろうか?
いや、念の為に5体以上の狼と戦っておきたいな。
勿論ログレス1人に相手をさせる訳では無く、集団対集団を1度経験しておいてほしいだけだ。
まあ、ログレスなら大丈夫だろうけどね。
流石ログレス、余裕でした。
同時に5体出てきても、まずルビーが空からの奇襲で1体減らす。
突進してきた先頭の1体をログレスが盾で防御し、そこへイナバが体当たり。
2体目もログレスが盾で防御し、こちらはログレスがランスで反撃。
3体目と4体目は僕が一旦引きつけておいて、1体は自分で、1体はルビーが倒す。
それで終わりでした。
特に苦戦も危険もなかったです。
ただ、南の試練の狼は1人あたり最低3体は相手をしなければいけないと考えている。
イナバはまず大丈夫だろう。
ルビーは空を飛ぶので問題ない。
そうなると、問題は僕とログレスだろう。
うん、3体相手の練習をしておこうか。
ログレスは3体相手にしても余裕でした。
防御しつつ、機会を窺って反撃し、2体に減らした後はすぐでした。
問題は僕です。
倒せたのはいいのだけど、やはり攻撃を受けてしまう。
盾の防御がメインのログレスならば受けても問題は無い。
だが、回避がメインの僕が受けていてはダメだろう。
ここは完全に避けられるまで練習しておこう。
少し時間がかかってしまったが、どうにか回避できるようになった。
要は全ての相手が視界に収まっていればどうにかなるのだ。
少し攻撃の手が遅くなってしまうが、それは仕方が無い。
最初から上手くできるわけがないのだ。
経験を積んで改善していけば良い。
さて、3人に暇をさせてしまったね。
これで南の試練対策は終わりにして、北へ行こう。
東はもう少し時間があるときにゆっくりと行きたい。
多分苦戦するだろうからね。
「イナバ、ルビー、ログレス、お待たせ。北へ行こうか」
<魔物>マッスルバッファロー Lv3
マッスルだ!
北の草原に到着し、イナバに出会ったことのない魔物を探してもらっていたのだが、今視線の先にはバッファローよりも一回り大きい牛がいる。
だが、大きさ以外は特にバッファローとの違いは見られない。
そして、名前から筋力が高そうなバッファローだとは予想できる。
これは……同じ戦い方でいいかな。
そう思い、まずはルビーをホークで再召喚する。
そして、牛と同じく頭部を攻撃してもらおう。
「ルビー、頭を狙ってほしい。できれば後ろからね」
ルビーにそう指示を出し、自分はチャージを開始して少しづつ近づいていく。
そして、魔法銃の射程よりも少し離れた地点まで行ったところで、ルビーの奇襲が決まった。
その攻撃で起こったマッスル牛は、予想通りルビーを追いかけてくる。
その速度はどうだろうか?
牛とあまり変わらないように見える。
マッスル牛が魔法銃の射程に入ったところで、チャージしていた魔法銃を撃つ。
さらにマッスル牛が近づいてくるまでに、魔法銃を狙いを定めながら撃っていく。
どうやら防御力は牛より少し高いみたいだが、着実にダメージを重ねられている。
そして、牛相手に回避行動を取るよりも遠い距離で回避を開始する。
少し大きいこともありギリギリになってしまったが、十分回避できるようだ。
回避した後の軌道修正も牛とあまり変わらない。
そして、走り去ろうとするマッスル牛へログレスが横から槍を突き刺す。
その槍は見事に頭をとらえ、マッスル牛を地面へと倒した。
うん、物理防御力も牛よりも少し高いようだが、十分ダメージは与えられるようだ。
これならば連戦になったり、2体同時に相手をしても問題無く戦えるだろう。
さて、ここからは剥ぎ取りの時間だ!
さあ、何が出てくれるかな?
少し期待しつつ、剥ぎ取りナイフをマッスル牛へと突き刺す。
光の粒子の後に残ったのは皮だった。
外見は牛の物と同じに見えるが、少し大きい。
やはり体が大きいから皮も大きいのだろうか?
まあ、後で鑑定しておこう。
さて、幸先よくドロップもしたことだし、次の相手を探そう。
<魔物>キュアシープ Lv3
本当に、イナバが見つけてくれていなかったら気付けなかったよ。
視線の先にいるのは、普通の羊に囲まれたキュア羊。
だが、その外見は羊そのままだ。
まあ、外見は同じでも能力は全然違う可能性もある。
それに、名前から回復系の何かを使用してくることが予想できる。
用心していこう。
今回の戦法は羊の集団に挑む時と同じで、ルビーの奇襲から始まる各個撃破だ。
ただし、最後にキュア羊を残す以外は。
そして、1体になったキュア羊相手に色々と確認しておこうと思う。
本当に何が違うのだろうか?
色々と試してみたが、羊との差が分からない。
キュアとは何だったのか。
まあ、倒してしまおうか。
魔物カードを作成できれば何かわかるだろう。
残り時間も少なくなったので、家の玉から北の神殿へと戻って来た。
さて、初めて見るアイテムを鑑定しておこう。
<アイテム:素材>マッスルバッファローの皮
素材ランク2
マッスルバッファローがドロップした皮。
その力強い皮は筋力を増強する可能性を秘めている。
これは……近接職は欲しいだろうな。
まあ、僕には必要なさそうだけどね。
ギルドに売るのはもったいないので、誰かにあげようかな。
<アイテム:素材>キュアシープの羊毛
素材ランク2
キュアシープがドロップした羊毛。
そのふわふわした感触に心が癒される。
こちらはキュアシープからドロップした毛玉だが、まさかキュアの意味って、これじゃないよね?
ね?
他にお肉なども出たが、こちらはいつも通り売ってしまおう。
料理スキルも道具も無いからね!
さて、鑑定も終わったことだし、ログアウトしよう。
今日はマッスル牛やキュア羊のドロップアイテムもかなり入手できたし、かなり満足です。
明日はここでもう少し狩りを行ってから、試練に備えて南の森へ移動しよう。
20141007:修正
誤字を修正しました。