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うんうん、慣れてきたみたいかな。
それにしても、弱点を攻撃できれば1発というのは大きいな。
メンバーに欠けていた一撃の火力が補えている。
そろそろ、ゴーレム戦に挑もうかな?
まあ、とりあえず神殿に戻って休憩しよう。
ああ、楽しそうだ。
駆け回るイナバとルビーとログレス。
あれは鬼ごっこだろうか?
触られたら追いかける側が交代している。
一見パペットのログレス不利に見えたが、そこは調整しているようだ。
多分範囲を決めているのだろう。
そうなると、速度面での有利が無くなった分、手足が長いログレスが有利かと思えばそうでもない。
ラビットのイナバもウルフのルビーも素早く、小回りが利くのだ。
そうなるとイナバがやばい。
最初の1回以外、追いかける側になっていない。
ログレスが惜しいところまでいくのだが、触れない。
ルビーは堅実に追い詰めようとするのだが、最後に逃げられる。
そして、一定時間イナバを狙って無理だったらあと1人に切り替える。
ルビー対ログレスだと、追いかける側が入れ替わる。
ああ、楽しそうだ。
だけどね。
今は休憩のはずなのだけど?
さて、そろそろ休憩を終えるとして、どうしようか?
ログレスを見る限り、人形相手ならば大丈夫そうだとは思う。
まあ、一緒に行動すれば問題ないだろう。
そして、今回の動きを見て、次に挑むかを決めればいい。
うん、そうしよう。
では、早速挑戦だ!
「イナバ、ルビー、ログレス。そろそろ休憩を終わりにして、ゴーレムに挑もう」
もうちょっと避けきれていないな。
だが、確実に槍は弱点を貫いている。
まあ、相手の攻撃が掠ってもダメージは大したことが無いので問題は無いのだけど、これは相手が人形だからだろう。
もし相手がゴーレムのような、一撃で大ダメージを与えてくる敵ならばこれではダメだろう。
さて、どうしようか?
やはり、牛に頼ろうか。
ゴーレムの攻撃は訓練には危ないが、牛ならばなんとか耐えられないだろうか?
そして、牛の攻撃を完全に避けられるようになってからゴーレムに挑んでもらうかな。
いや、そもそも魔物カードの選択が悪いのではないだろうか?
パペットは金属の体を持っているのだ。
ならば、回避よりも多少受けても攻撃する方向性は間違っていない。
そうなると、回避よりも防御や受け流しの方向で行った方が良いのだろうか?
う~ん……そうなると、盾が無いのが問題かな。
受け流しはともかく、体や腕で防御は、ね……。
盾、作れないのだろうか?
槍が作れたのなら、いけそうなものなのだけど。
今回のゴーレムを倒したら試してみようかな。
うん、そうしよう。
ゴーレムは無事に倒し、神殿に戻って来た。
とりあえず、皆に休憩を取ってもらおう。
さて、先程ドロップした物を合わせて、第2類3種金属は3つだ。
これで盾を作れるだろうか?
まあ、それ以前に材料があっても盾が作れるかどうかも分からないのだ。
試してもらうしかないだろう。
いや、よく考えてみたら、ログレスは盾を見たことが無いのではないだろうか?
槍は金属人形が持っていたのでいいとしても、盾は持っていなかった。
ならば、作成できないのではないだろうか?
あるいは作成できても微妙なものになる可能性もあるのか。
丁度次は鎧騎士との戦闘だ。
見てもらってからでも遅くは無いだろう。
うん、そうしよう。
「ログレス、次の戦闘では、鎧騎士が出てくると思う。そこで、その鎧騎士をよく観察しておいてほしい。特に途中から出現させる盾を。それで、できれば帰ってきたら盾を作ってもらいたい。勿論盾を作るのが無理でも、動作が似た鎧騎士の動きを見ておくのは今後の為になるはずだ」
そう言い、ログレスを見ると、頷いている。
よし、やってくれるか!
「それでは、移動したらすぐに鎧騎士が出てくると思うので、少し離れてみていてほしい。もしそちらに攻撃が行く様ならば、逃げてもいいし、戦ってもいい。だけど、戦う場合は今回の鎧騎士は少なくともレベル上は格上だから、回避を優先して相手の動きを良く見てほしい。あと、別に逃げることは悪いことではないよ。今回の場合、僕が倒せるのだから無理をする場面ではないからね。君の場合は、いずれ勝てるようになればいい。だから逃げることは悪いことではないよ」
再度頷くログレス。
よし、これで大丈夫なはずだ。
できるなら、鎧騎士に動きも学んでほしいかな。
まあ、メインは盾の形状や使い方を覚えることだけどね。
「イナバとルビーはいつも通りでお願い。それでは挑戦しようか」
相手は予想通り鎧騎士でした。
とりあえず、いつも通り開幕の鎧騎士の攻撃を避ける。
「ログレス、よく観察しておいてね」
そして、ログレスにこの相手で合っていることを告げておく。
さあ、どうなるだろうか?
ここでログレスはどうするだろうか?
やはりと言うか、位置が近かった為か鎧騎士は途中でログレスへと向かっていった。
別にここで逃げていい。
レベル差がある上に、相手はボスなのだ。
何か補正があっても不思議ではない。
だが、戦ってもいい。
ログレスならば少しの時間なら耐えられるだろうが、長時間は無理だろう。
さあ、どうする?
やはり、向かっていくのか。
理由は分からない。
だが、僕としては嬉しい!
僕も同じ状況だったら向かっていくからね!
でも、回避優先でね?
さて、少ししたら攻撃を再開しよう。
少し攻撃が掠っているようだが、問題なさそうだ。
できれば従魔手当てで回復させたいところだけど、無理かな?
まあ、そろそろ攻撃を開始しよう。
さあ、盾を出しました。
ログレス、よく見ておいてね。
やはり、盾持ち相手には攻撃が難しいのだろうか?
僕も難しいので、その気持ちはよく分かる。
だから、君も使えばいいのだ。
「ログレス、そろそろもう少し離れていてほしい。流石にこの後の鎧騎士の相手は危ないからね」
そう、そろそろ1割を切りそうなのだ。
流石にダメージを負った状態で、あの鎧騎士の相手は危ないだろう。
鎧騎士と戦いながら学ぶのは今では無い。
今回はその時の為に見ておいてほしい。
勿論、いずれは完勝してもらいます!
「皆、お疲れ様。特にログレスは鎧騎士と戦闘までしたからね。ゆっくり休憩してほしい」
少しログレスに過保護だろうか?
いや、召喚初日に鎧騎士と戦闘をしたのだ。
例えその時間が短いとしても、決して楽では無かったはずだ。
だから、これくらいは、ね?
うん、休憩も少し長めにとっておこう。
休憩中、ログレスの元へと足を向けた。
「ログレス、召喚初日に色々させてしまってごめんね。だけど、よくあそこで鎧騎士に挑んでくれた。嬉しいよ」
そう言い、座っているログレスの頭を撫でる。
少し恥ずかしかっただろうか?
だが、嫌そうではないかな。
良かった良かった。
それにしても、召喚初日に色々させ過ぎた気がするな。
やはり、イナバ達と同じく徐々に戦闘に慣れて行ってもらおうべきだっただろうか?
いや、この結果を見た後に、徐々になんて思うのは失礼かもしれないね。
ログレスは無事にやってのけてくれたのだから。
20141007:修正
誤字を修正しました。