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―――69―――

「それでは、ここで解散にしましょうか」

 

 解散?

 なぜだろうか?

 町まで護衛していくつもりでいたのだけど。

 

「町まで送りますよ?」

 

「いえ、そうして頂きたいのはやまやまなのですが、残りログイン時間が20分を切っていまして……」

 

 そういえばログイン時間があったか。

 そう言えば、僕は残りどれくらいなのだろうか?

 そう思い、ログイン時間を確認してみるとこちらも10分を切っていた。

 

「どうやら私もログイン時間が残り少ないようです。わかりました、それではここで解散しましょうか。この後は死に戻りされるのですか?」

 

「え?」

 

「え?」

 

「私はそこの神殿でログアウトしようと思っているのですが」

 

 神殿?

 ログアウト?

 そうすると、マジックポーチの中身が危ないのではないだろうか?

 

「もしかして、東の試練で解放された内容をご存じないですか?」

 

「はい」

 

 東の試練がクリアされた事自体、今日初めて知ったからね。

 

「その内容の中に、安全地帯でのログアウトが可能になった旨がありまして。さらに友達から聞いたところによると、試練をクリアした際に、近くに出現する神殿は安全地帯の様なのです」

 

 そうか、わざわざ死に戻りしなくても大丈夫ということか。

 便利になったものだ。

 そうなると、西の神殿に籠れるね!

 

「そうだったのですか、教えて頂きありがとうございます。それでは、私も神殿でログアウトしたいと思います」

 

「いえいえ、私も教えてもらったことですからね。それに、こちらが手伝ってもらった訳ですので」

 

 あ……。

 そう言えばアイテムはどうなったのだろうか?

 そう思い、マジックポーチに手を入れてみると、試練の中で取得した素材が確認できた。

 どうやら試練の中で手に入れたアイテムは持参したマジックポーチに移されているようだ。

 どういう基準で移されたのか少し気になったが、まあ配分するのだからどうでもいいだろう。

 

「失礼だとは思いますが、明日は何時ログインされますか? よく考えてみたら、ドロップアイテムの配分をしていなかったですね。完全に忘れていました。申し訳ありません」

 

「確かにそうですね。こちらも忘れていました。そうですね、今日最初にフレンドチャットをした時間にログインしようと思います。大丈夫でしょうか?」

 

「はい、大丈夫です。それではまた明日会いましょう。おやすみなさい」

 

「はい、おやすみなさい」

 

<ログイン可能時間が残り5分を切りました。ご注意ください>

 

 おっと、急がないと。

 そう思い、ログアウトするために神殿へと向かう。

 遠目でもそうだったが、近寄って改めてみても西の神殿と瓜二つだ。

 そして、やはりと言うか、中央に台座と玉が置かれていた。

 時間は無いが、ログアウトする前に少し見ておこうかな?

 そう思い、玉へと近づき覗きこむ。

 その玉は海をそのまま閉じ込めたかのように錯覚してしまうほど、きれいな青色をしていた。

 いや、どちらかというと深海の方が近い感じがするが……これは西と同じ玉じゃないかな?

 

 いや、さすがに同じは……封印の神殿も宝玉も同じだったような気がするな。

 意図的に何かを示しているのだろうか?

 まあ、そのうち分かるだろうか?

 今は時間もないことだし、ログアウトしよう。

 

 

 

 さて、寝ようか……公式ページを確認しておこう。

 何が解放されたか気になるからね。

 

 やはりイベントのページが更新されているようだ。

 

 封印された力を解放せよ!

 

 何者かにより、町周辺の四方に4つの力が封印されてしまった。

 封印した者は不明。

 封印した理由は不明。

 だが、その力は冒険者にとって大切な物ばかりだ!

 勇気ある冒険者よ、試練を乗り越え、力を解放せよ!

 

 北.技術

  技術の解放により、技術が能力に影響を及ぼすようになりました。

  技術の解放により、能力が技術に影響を及ぼすようになりました。

 東.適応

  適応の解放により、安全地帯でのログアウトが可能になりました。

  適性の解放により、安全地帯でのスキル変更が可能になりました。

 西.情報(解放済み)

  情報の解放により、制限されていた公式ページの更新が可能になりました。

  情報の解放により、制限されていた外部との情報の共有が可能になりました。

  情報の解放により、制限されていた情報が閲覧可能になりました。

 南.力

 

 

 

 東の適応に関しては、一つは既に聞いていたが、さらにスキルも変更できるのか。

 便利になったな。

 これで今後、新エリアが追加されてもログアウトに困らないだろう。

 

 次に北の技術だけど、技術は単純にスキルと考えていいのだろうか?

 そうなると、能力はステータスが当てはまりそうかな。

 つまり、今までステータスを上げても意味が無かったのだろうか?

 いや、それは無いか。

 力が上がれば当然、剣を振る速度も上がるだろう。

 それだけで意味はある。

 そうなると、技能辺りにステータスが影響していなかったのだろうか?

 あとは……サブスキルの能力強化系は全て意味が無かったのかな。

 

 あれ?

 知力は完全に上げても意味が無かったのでは……。

 ま、まあ、今日からは意味があるのだ。

 問題無い。

 

 これは明日ログインしてから色々と確認しないといけないな。

 明日は忙しくなりそうだ。

 

 

 

 翌日、ログインしてみるとまだ彼はいないようだった。

 イナバ、ルビーと遊んでおこうかな?

 そう思い、イナバをラビットで、ルビーをウルフで召喚する。

 そして、撫でようとしたところで、目の前に彼が現れた。

 

「おはようございます」

 

「あ、おはようございます。もしかしてお待たせしましたか?」

 

「いえ、今来たところですよ。それでは配分しましょうか」

 

「はい」

 

 一旦素材を神殿の床へと取り出す。

 これは……微妙な量だな。

 一見多く見えるが、ゴーレム戦で集めた木材を見た後だと、少なく感じてしまう。

 

「さて、どうしましょうか? 何か希望はありますか?」

 

「え~と……できればこの金属が欲しいですね。ゴーレムの物とは違い物理適性が高いようなので、剣等を作ってみたいですね」

 

「……少し考えさせてください」

 

 ゴーレムの物とは違う金属か……ゴーレムの体用に欲しいのだけど、物理適性が高いとなると、魔法適性が低いのだろうか?

 あ、そういえばスキルが変更できるのだった。

 その事を思い出し、知力強化を外し、鑑定を装備する。

 そして、スキルを変更できたということはここは安全地帯で間違いないのか。

 良かった良かった。

 

 早速金属を鑑定してみる。

 

 <アイテム:素材>第2類1種金属

 ◇素材ランク2

 物理適性が高く、魔法適性が低い金属。

 

 これは……ゴーレムの体には使いたくないな。

 何か表示項目が増えているが、それは明日考えるとしよう。

 それよりも、魔法適性が低い点だ。

 

 確定ではないのだけど、ゴーレムの体は魔力で動かしていると思うのだ。

 だからMPを消費していると考えている。

 そこに魔力的性が低い金属を使用すれば、動きが遅くなるか、稼働時間がかなり短くなる可能性が高い。

 それは回避しておきたい。

 ならば、この金属は彼に配分しても問題ないだろう。

 

「お待たせいしました。私はこの金属は必要ないので大丈夫ですよ」

 

「そうですか? ありがとうございます! そうすると、ユウさんは何を希望されるのですか?」

 

「私は……やはり魔石が欲しいです」

 

 魔物カード作りたいです!

 

「では、魔石は全てユウさんが取ってください。今の私には魔石はあまり必要ありませんので」

 

「ありがとうございます!」

 

 これは嬉しい。

 よくて半々だと思っていたのだけど、思わぬ収穫だ。

 おっと、念の為に鑑定しておこう。

 色と形から魔石だとは思うけど、もしかしたら未知のアイテムかもしれないからね。

 そう思い、紫色の石の1つに鑑定を使用する。

 

 <アイテム:魔石>パペット2型の魔石

 メタルパペットから入手した魔石。

 

 よし問題ないな。

 これでただの綺麗な石です、とかだったら一気にテンションが下がってしまう。 

 

 さて、そうなると残りの素材だが、必要な物は無い。

 なので……。

 

「それでは、魔石は私が、残りはレンさんが受け取ってください。それでどうでしょうか?」

 

「私の配分が少し多くないですか?」

 

「私には使用できないものばかりですので問題ありません。それに、私が素材を貰っても売却するだけですから」

 

 そう、これが一番いい配分なのだ。

 どうせ僕に素材があっても、売るだけだからね!

 蜘蛛や蝶、羊の糸がもしかしたらローブに使用できるかもしれないが、欲しがっている彼の友達に渡すべきだろう。

 もし使用できるようならば、また取りに来ればいいからね。

 

「そうですか? それでは頂きます。ありがとうございます」

 

「それでは、これで配分は終わりますね」

 

 そして、各自自分のマジックポーチにアイテムをしまっていく。

 

 

 

 彼がアイテムをマジックポーチへしまい終えたところで、声を掛ける。

 

「さあ、町まで帰りましょうか?」

 

「はい。町まで護衛、お願いしますね」

 

 そう、町まで無事に送って行って、初めて依頼は完遂なのだ。

20141009:修正

消し忘れていた下記の文章を削除しました。

・それはメタルパペットの金属ですね。

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