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―――66―――

 う~ん……レア種が出やすいのだろうか?

 森に来てから1時間程人形狩りをしているが、メタルパペットが5体以上は出てきている。

 嬉しいのは嬉しいのだが、気になってしまうのだ。

 西の森では全く見なかったメタルパペットが、この試練の森では圧倒的に出現する。

 これはこの試練ではレア種が出やすいのか、西の森ではそもそもメタルパペットが出ないのか、一体どちらなのだろう?

 後者ならば問題は無いのだが、前者の場合は問題だ。

 何せ、この試練は1度しかクリアできないのだ。

 勿論失敗する気は無いが、この美味しいフィールドに来れないと思うと微妙な気持ちだな。

 今まで一度もレア種と出会っていないことを考えると、1時間でレア種が5体以上はかなり嬉しい。

 そう、1時間で……。

 

「イナバ、ルビー、急いで帰ろう!」

 

 2人にそう言い、急いで家へと向かう。

 

 

 

「お帰りなさい。ちょうど鍵をすべて集め終わったところです。木材は取れましたか?」

 

「はい、結構取れましたよ。さらに金属まで取れました」

 

 そう言いつつ、部屋の隅へ行き、素材を取り出していく。

 この辺なら邪魔にはならないだろう。

 それにしても、危なかった。

 危うくいつもの調子で狩り続けるところだった。

 このゲームは生産がスキルを使用して一瞬で完了する訳では無く、多くを手作業で行わなければならないのらしいのだ。

 ならばスキルは何をするかというと、その作業の補助をする。

 熱した金属の温度を下げづらくしたりとかね。

 まあ、図書館で入門書を流し読みした程度だから、詳しくは知らないけどね。

 

「おお、結構取れましたね。これなら余裕で第1の試練はクリアできそうです」

 

「それは良かったです。次はどこで何を採取してくればいいですか?」

 

「南の森で回復草を採取してきてください。20個もあれば足りると思います」

 

 南の森で回復草か。

 やはり町をこの家に置き換えた見ていいのだろうか?

 ただ、そうなると往復だけで1時間はかかるのかな。

 これは急がないといけないな。

 

「分かりました、行ってきます。生産頑張ってください」

 

「はい、頑張ります」

 

 

 

「イナバ、ルビーお待たせ。次へ行こうか」

 

 早速家を出て、駆け回っていた2人を呼び、南を森を目指す。

 布陣はラビットとウルフでいいだろうか?

 いや、ルビーはホークで再召喚しよう。

 森にはホークが出現するのだ。

 ならば空の対策は必須だろう。

 そう思い、ルビーを送還し、ホークで召喚する。

 さあ、出発だ。

 

 

 草原を駆けて10分、目の前に森が見える。

 予想外に近かった。

 おかしいな、結構遠くに見えてたと思ったのだけど……。

 まあ、近い分には嬉しいので問題は無い。

 

 そんなことよりも、道中でラッキーラビットが出現したのだ。

 そう、10分を一直線で走った道中に、チュートリアルでレア認定されたラッキーラビットがだ。

 これはこのフィールドはレア種が出やすいと見ていいのだろうか?

 いや、まだ早いかな。

 たまたま1体だけ出てきたかもしれないのだ。

 

「イナバ、回復草を探してほしいのだけど、いけそう?」

 

 そう言い、イナバを見る。

 イナバはこちらを少し向いた後、森へと走って行った。

 どうやら大丈夫のようだ。

 流石イナバ!

 

 

 

 まさか1か所で集まるとは思わなかったよ。

 イナバに案内された場所には大量の回復草が生えていた。

 そう、大量のだ。

 一応半分ほど残して採取したのだが、それでも30個は採取できた。

 どうしよう、もう少し集めるべきだろうか?

 いや、彼が20個で十分と言ったのだ。

 ならば20個を早く届けることを優先しよう。

 

 そう思い、森の外へと向かおうとすると、突然イナバが警戒を始めた。

 空を見上げると、ルビーが見えない。

 ホークが出現したのだろうか?

 いや、イナバは地上を向いている。

 ならば同時に出現したのだろう。

 空はルビーに任せておけばいいので、僕達は地上の魔物を倒してしまおう。

 

 

 

 目の前に現れた狼を魔法銃で迎え撃つ。

 そして、体勢を崩したところへイナバが体当たりを当てる。

 さらに後ろから2体の狼が現れる。

 右の狼へ向けて魔法銃を撃ち、左の狼が飛び掛かってくるのを右に少し動いて避ける。

 そして、さらに出現した狼2体の内、1体を魔法銃で撃ち、すぐに後ろを向く。

 体当たり直前の狼が視界に入り、それを右に避ける。

 そして、着地地点を予想して後頭部へと魔法銃を撃つ。

 予想は当たり、無事真っ直ぐに飛んだ弾が狼の後頭部に当たる。

 さらに追撃しようと思ったが、先程攻撃した狼が体勢を立て直し、こちらへと飛び掛かろうとしているのを見て急いで避ける。

 そして、狼が着地するであろう位置を予測し、後ろに向けて魔法銃を撃つ。

 まあ、これは当たらなくてもいい。

 

 そして、先程後頭部へ攻撃を当てた狼へ接近し、足へ向けて魔法銃を撃つ。

 体勢を整えた狼はそれを余裕で回避するが、そこをルビーが空中から強襲する。

 

 近づく際にイナバの方も見えたが、狼が1体地面に倒れ、さらに2体を相手取っていた。

 あれならばイナバなら余裕だろう。

 そう思い後ろを振り向くと、こちらに近づいてきている狼が見えた。

 狼が止まり、飛び掛かるのに合わせて、右へ避ける。

 そして、着地地点を予測して魔法銃を撃つ。

 弾は後頭部へ当たり、狼は体勢を崩した。

 そこへ魔法銃で追撃し、狼のHPバーは空になる。

 

 こちらの相手はすべて倒せたため、イナバの方を確認すると、最後の1体へイナバが体当たりしているところだった。

 多分あと1体はルビーが倒したのだろう。

 体当たりに当たった狼は少し吹き飛ばされ、何とか着地はできたが体勢を崩している。

 そこへ魔法銃を撃ち、さらにイナバの追撃の体当たりも当たり、狼は地面へと倒れた。

 

 やはり5体相手は楽じゃないな。

 もし、途中でイナバから僕へと目標を変えられて、3体以上になれば回避しながら攻撃をすることは難しいだろう。

 これも何とかしないといけないな。

 まあ、それは追々でいい。

 今は彼の試練だ。

 早く回復草を持って帰ろう。

 

 

 やっと家に着いた。

 まさか森を出るまでに4回も戦闘になるとは思わなかったよ。

 しかも、その内1回はゲイルウルフが混じっていたのだ。

 2体も。

 もうこれはレア種が出やすいと見ていいと思うのだ。

 それだけに、勿体ないな。

 この試練が1回しかクリアできないというのは。

 まあ、クリア後に西の神殿のようなものが現れる可能性もあるのだから、それに期待しよう。

 

 

 

 玄関を開け、家に入るが、誰もいない。

 多分どこかの部屋で作業をしているのだろう。

 さて、どうしようか。

 声を掛けて邪魔をするのも悪いからね。

 うん、ここは待っていよう。

 どうせ彼から次に必要な素材を聞かなければならないのだ。

 ならば、この時間は休憩に当てるべきだろう。

 頑張っている彼には悪いが、休憩も必要だ。

 それに、そろそろイナバ達にも休憩を取ってほしいからね。

 

「イナバ、ルビー、少し休憩にしよう」

 

 おっと、その前に薬草をテーブルの上に置いておこう。

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