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―――65―――

 目の前には大きな家。

 辺りを見渡すと、どうやらここは草原のようだ。

 草原の中央に大きな家か……。

 生産系の試練なのだし、生産設備がある建物なのだろうか?

 まあ、入ってみれば分かるのかな?

 

<第1の試練を開始する。準備はいいか?>

 

 そんなことを考えていると、西の森での試練と同じく、試練開始の確認をする声が聞こえてきた。

 レンさんを見ると、少し緊張しているようにも見える。

 やはり、先程の会話が不味かったのだろうか?

 せっかくイナバとルビーが緊張をほぐしてくれていたのに、申し訳ないことをした。

 

「私は大丈夫ですので、あなたの判断で始めてください」

 

「わ、分かりました。では、試練開始、お願いします」

 

<それでは第1の試練の内容を説明する。第1の試練はアイテム1個作成することだ。勿論質の悪いアイテムだった場合は失格とする。さらに、持参しているマジックポーチは封印させてもらう。荷物運び用のマジックポーチは、そこの家に入り、最初の部屋のテーブルの上に置いてあるものを使うと良い。これで説明を終了する。それでは第1の試練、開始!>

 

 アイテムの作成か。

 そして、質が悪ければ失格とするということは、悪くなければ大丈夫ということ。

 それならば彼には余裕だろう。

 ただ、問題はマジックポーチを封印されたということだろう。

 つまり、素材は現地調達ということだ。

 うん、彼1人では試練がクリアできない理由が分かった。

 

「ユウさん、頑張りましょう!」

 

「はい、頑張りましょう。それでは、一旦家に入りマジックポーチを確認しましょうか」

 

「はい!」

 

 まずは素材運び用にマジックポーチを確認しないとね。

 早速目の前の家へと入る。

 玄関を開けて入ってみると、そこは広い部屋だった。

 若干違和感を覚えるが、ここはゲーム内なのだ、問題は無い。

 それに、こういう間取りの家も僕が知らないだけで、現実には存在しているのだろう。

 

 真ん中にある木製のテーブルの上には、今自分が装備しているのと同じに見えるマジックポーチが数個置かれていた。

 外見は同じに見えるのだが、性能も同じなのだろうか?

 まあ、そこまで詰め込む必要は無いのだから問題は無いか。

 

 テーブルに近づき、マジックポーチを手に持ってみる。

 うん、やはり同じものに見えるな。

 何か入っていないかな?

 そう思い、手を入れてみるが、ウィンドウは出てくるものの、リストには何も表示はされていない。

 念の為、1つを除き全てに手を入れてみるが、同じ結果だった。

 1つ残しているのは、手を入れた人しか使用できなくなる可能性を考えてのことだ。

 もちろん最初に触った人しか使用できなくなる可能性も考えて、触ってもいない。

 

 さて、彼が来ないのだが?

 不安に思い、部屋を見渡してみると、彼は他の部屋への扉を調べていた。

 どうしたのだろうか?

 

「どうしたのですか?」

 

「いえ、念の為に確認をしておきたくて。やはり情報通り、まだ他の部屋へは入れませんね」

 

 他の部屋に入れないのか。

 あれ?

 生産道具は!?

 

「各部屋へのカギはこの部屋のどこかに隠されているようなので、私が探しておきます。ユウさんは西側へ向かい、ウッドパペットから木材を集めてきてください」

 

 どうやら他の部屋に生産道具があり、それを使用するために鍵を探すのだろうか?

 まあ、こちらは彼に任せておけばいいだろう。

 

「分かりました。それでは木材を集めてきますね。あと、念の為聞いておきたいのですが、この家は安全と考えていいでしょうか?」

 

「はい、そこは大丈夫の様です。掲示板情報ですが、最後まで一度も家が襲われたことは無かったようです」

 

 良かった。

 安全ではないようなら、イナバかルビー、あるいは2人ともを護衛として残して素材集めをしなければいけないところだったよ。

 

「それでは、カギ探し頑張ってください」

 

「はい、そちらも素材集め頑張ってください」

 

 

 

 家から出て、草原を見渡す。

 西に人形がいるということは、町からの方角と一致しているのだろうか?

 そうなると東には行きたくないな。

 いや、行ってもあまり意味が無いと言うべきか。

 まあ、今回は西の森なので問題は無いが。

 

 

 

 家から少し西へ進むと、森の入り口へと到着した。

 まあ、見えていたから分かっていたのだが、近いな。

 さて、ここからはルビーに感知してもらいながら進もう。

 

「ルビー、ここからは感知をお願い」

 

 そう言い、ルビーを見ると、頷いて返答をしてくれた。

 よし、それでは人形狩りの開始だ!

 

 

 

 人形がいっぱいで嬉しいよ!

 

 冗談はさておき、明らかに西の森よりも出現数が多い気がする。

 西の森と同じく、奇襲はしてくるようだけどウルフの前には問題ない。

 だが、一度に相手をする数が多いのはちょっと問題だろうか。

 基本が3体で多い時が5体で出現する。

 これだと奥に行けば10体とかで出てきそうで怖いよ。

 奥に行くのは止めようかな?

 

 

 

 光沢のある若干白が強い灰色の体。

 同色の槍。

 目の前に現れたのはそんな人形だった。

 

 <魔物>メタルパペット Lv3

 

 これは、ウッドパペットのレア種と見ていいかな。

 実はちょっと期待していたのだ。

 メタルゴーレムとウッドゴーレムがいるのなら、ウッドパペットの他にもメタルパペットがいてもいいではないかと。

 これは嬉しいな。

 

 そんなことを考えていると、突き出される槍。

 木人形よりも遅いその槍を横に少し動くことで回避し、同時に魔法銃を撃つ。

 弾は金属人形の胴体へと当たり、そのHPバーを削る。

 どうやら金属人形にはダメージが通るようだ。

 良かった。

 もしダメージが通らなかったら、どうにかして核を露出させるしかないわけだが、現在のこちらの攻撃ではとてもではないが、金属の体は破壊できないだろう。

 いや、装甲が薄ければ破壊できるのだろうか?

 まあ、仮に破壊できたとしてもホークによる石礫だけだろうけどね。

 

 再度突き出される槍を避け、試しに手へと攻撃を当ててみたが槍は落とさない。

 やはりこれでは無理か……。

 どうにか槍は落とさせたいのだけどね、どうしようか。

 

 今度は横に振り回される槍をしゃがんで回避する。

 木製の槍に比べて、金属製の槍は振り回しも脅威だな。

 木製ならば耐えられるだろうが、この金属製の槍は当たってしまうと1撃で死に戻りもありそうで怖い。

 

 

 

 それにしても、やはり金属人形は木人形に比べて動きが遅いようだ。

 やはり木の優位点は動きが速いことだろうか?

 いや、ウッドゴーレムよりもメタルゴーレムの方が速かったな。

 でも、あれはボスと通常の差があるからな……。

 うん、もうちょっと何かわかってから考えよう。

 今は金属人形を倒すことに集中しよう。

 

 

 

 核を狙えない分、木人形よりも時間がかかってしまったが、特に問題無く金属人形も倒すことができた。

 周りにいた木人形はイナバとルビーが相手をしてくれていたので1対1で戦えたのは良かった。

 そのおかげで、全身に魔法銃を当ててダメージ検証したり、槍を落とさせるのに色々と試すことができたのだ。

 まず、ダメージ検証だがどこに当ててもダメージが変わることは無かった。

 これは木人形と同じと見ていいかな。

 つまり、弱点は核であると。

 そうなると、弱点を狙って倒すのは今の火力では難しいので地道にダメージを重ねて倒すことになるだろう。

 次に槍を落とさせる方法だが、組み倒して関節部分を重点的に撃ったら関節が壊れたので何とかなりました。

 武器が本体から離れればいいので、これでも問題は無い。

 

 さて、お楽しみの剥ぎ取りと行きましょう。

 まずは槍に近づき、剥ぎ取りナイフを突き刺すと、後には金属が残った。

 おお!

 金属だ。

 これは持ち帰って鑑定してもらおうかな。

 

 次に本体へ剥ぎ取りナイフを突き刺す。

 そして、後に残ったものは……紫色の石でした。

 これは幸先がいい!

 

 それにしても、西の森では金属人形は出てこなかったから、この試練専用なのだろうか?

 いや、レア種ならば会えていないだけの可能性が高いな。

 そうなると、西の神殿への道のりも魔物を倒した方が良いのだろうか?

 いや、今は人が多くて難しいか。

 うん、とりあえずはゴーレムの体を作る為に金属集めを優先することにしよう。

 それに今は試練中だ。

 まずはこの試練をクリアしたからだね。

 さあ、まだまだ素材を集めないと。

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