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―――61―――

 そろそろもう1体の魔物も出てきてくれないだろうか?

 目の前に見える牛2頭を見ながらそう思う。

 掲示板情報によると、このエリアにはもう1体いるはずなのだ。

 だが、いまだに見かけていない。

 もしかして、倒しやすいか、良いアイテムがドロップするので、優先的に倒されてしまっているのだろうか?

 まあ、その内会えるかな。

 それよりも、今は前の魔物に集中だ。

 

「イナバ、ルビー、右の牛をお願い」

 

 2人にそう指示を出し、自分は左の牛へと向かう。

 牛に気づかれないように、慎重に近づいて、少し離れた場所で止まる。

 ここまで近づけば、十分に魔法銃の射程範囲だろう。

 あとは、チャージを使用しておき、ルビーの攻撃に合わせて攻撃を開始するだけだ。

 

 こちらが位置に着いたのを確認したのか、ルビーが空から攻撃を始める。

 先程2体出てきたときに、もう作戦は伝えてあるので今回はそれを繰り返すだけだ。

 僕が近づき、止まるか、相手がこちらに気づいたら攻撃を開始する。

 あとは回避しつつ、方向転換などで発生する速度が低下した時を狙い、攻撃を行う。

 これだけだ。

 

 ルビーの攻撃が攻撃を開始したのに合わせて、こちらも魔法銃を撃つ。

 チャージされた弾は牛の尻に当たり、その攻撃でこちらの存在に気づいた牛がこちらを振り返る。

 そこへさらに魔法銃を撃つ。

 

 迫ってくる牛へと、魔法銃をできるだけ撃ちこみ、近づいてきたところで攻撃をやめ、回避行動に移る。

 回避中に攻撃してもいいのだが、別に無理をする場面でも無いので安全を優先している。

 

 牛の突進をギリギリのタイミングで回避し、体勢を安定させた後、攻撃を再開する。

 牛の1度目の攻撃後はこちらから逃げない限りは牛は遠く離れることはないので、あとはこれの繰り返しだ。

 うん、あまり楽しくは無い。

 だが、回避の練習にはなるのだ。

 この牛、ギリギリで避けても若干進行方向を修正してくるのだよね。

 今度従魔が増えたらここで回避の練習もいいかもしれないな。

 いや、さすがにこの攻撃力を持つ相手に練習させるのはダメか。

 やはりラビットから始めるのがいいのだろうか?

 

 そんなことを考えつつ、牛に攻撃を加えていく。

 そして、近づいてきたところで回避する。

 

 牛が方向転換の為、速度を落としたところで、牛の頭を何かが通り過ぎていく。

 相変わらず早いな。

 もう倒してしまったのか。

 

 魔法銃を撃ちつつ空を見てみると、ルビーが次の攻撃の機会を待ち、滑空していた。

 ということは、次の攻撃にはイナバも加わるのかな。

 

 さらに突進してきた牛を避け、尻に攻撃を行っていく。

 そして、方向転換で速度を落としたところに、イナバの突進、ルビーの強襲と攻撃を受けて牛は地面へと倒れた。

 やはりホークの一撃は良い威力をしている。

 魔法銃何発分のダメージなのだろうか?

 まあ、あれは加速してからの一撃なので、相手や場所によっては攻撃をすることが困難な場合もあるけどね。

 

「お疲れ様です。もう片方は剥ぎ取っておきました」

 

 おお!

 流石分かってますね。

 そして、近づいてきた彼は先程倒した牛へと近づいていき、剥ぎ取りナイフを突き刺す。

 お肉だ。

 欲を言うと皮が欲しいところだけど、何も出ないよりは遥かに良い。

 

「お肉が多いですね。私としては、もう少し皮が欲しいのですが……」

 

「そうですね。まあ、良い物だからドロップ率が低いのだとは思いますけど」

 

 どうやら、同じ気持ちのようだ。

 ということは、彼は料理スキルを持っていないのだろう。

 料理スキルを持っていない人がお肉を持っていても、腐らせるだけだからね。

 ……もしかして、他に使い方があったりしないだろうか?

 う~ん……思いつかない。

 まあ、いいか。

 

「まあ、私は皮革加工のスキルを持っていないのでいいのですが、友達が欲しがっていたようなので多いほうが嬉しいな、と思いまして」

 

 皮革加工か……。

 東は無いだろうから、入手できるのはもしかしてここだけだろうか?

 あとは、町で購入するくらいかな。

 そうなれば、確かに欲しいだろうね。

 職人は大変だな。

 

「そうでしたか。お優しいのですね」

 

「そんなことありませんよ。物々交換です!」

 

 交換するものにもよるけど、友達が欲しがっているものを多く望むことが優しいと思うのだけどね。

 まあ、人それぞれだろうか?

 

「さあ、たくさん集める為に進みましょう!

 

 目的を間違えないでくださいね?

 

 

 

 あの白に包まれたた体から足と顔が見えている存在は、間違いなく羊!

 いや、まだ分からない。

 実はレア種の牛でしたとかだったら嫌だからね。

 あれ?

 いや、それでも嬉しいな。

 とりあえず、1体しかいないようなので、後ろから近づいてみよう。

 

 

 

 <魔物>シープ Lv1

 

 少し近づいたところで識別できたが、これは間違いなく羊だ。

 こちらに気づいた様子は無く、草を食べている。

 ……牛も食べていたが、ここの草は美味しいのだろうか?

 いやいや、今はそれはどうでも良い。

 攻撃力はあまりなさそうに見えるが、油断は禁物だ。

 

「ルビー、牛の時と同じ方法でいこう。まずは空から奇襲をお願い。攻撃後は一度戻ってきて。イナバは一旦ここで待っていて。そして、羊が近づいてきたら、2人とも回避優先で行動をして」

 

 2人に指示を出し、その場で待つ。

 

 ルビーが空高く舞い上がり、急降下して羊の頭へと攻撃を行った。

 そして、地面へと倒れる羊。

 ……え?

 もしかして、牛に比べて防御力が低いのだろうか?

 少し失敗しただろうか?

 できるなら1体で出現した時に色々と確認しておきたかったのだけど……。

 まあ、できる限りの行動をした結果なのだ。

 次で確認できればいい。

 

「何をしているのですか?早く剥ぎ取りに行きましょう!」

 

 おっと、そうだった。

 剥ぎ取らないといけなかったのだった。

 

 近づいてみると、予想以上にモフモフしていそうな毛玉が、いや、羊がいた。

 これは、羊毛が取れたりするのだろうか?

 

 剥ぎ取りナイフが刺された後に残ったのは、予想通り毛玉でした。

 もしかして、この毛玉でローブを作成できるのだろうか?

 いや、素材のランクが分からない以上、今装備しているものと同等の物しかできないかもしれない。

 それでも、集めて依頼した方がいいだろうか?

 う~ん……聞いてみよう。

 

「少しお聞きしてもいいですか?」

 

「いいですよ」

 

「その毛玉を使用したら、このローブ以上の防具はできるでしょうか?」

 

「すいません、私では分からないです。繊維加工を持っていたら分かったかもしれませんが、そこまで取る余裕が無くて……。友達に防具と素材を見せられれば教えてもらえると思いますが」

 

 そうか、いくら生産職とはいえ、自分の分野以外は分からないのが普通か。

 僕も剣の事を聞かれても、火魔法の事を聞かれても分からないからね。

 

「いえ、そこまでご迷惑は掛けられません。ありがとうございます」

 

 流石に知り合いでも無い彼の友達にまでお願いするのは気が引けるので、今度調べてみることにしよう。

 まあ、調べてみて分からなかったら、頼らせてもらうかもしれないけどね。

 その時は手土産に羊毛を持っていかないといけないな。

ご覧頂きありがとうござます。


もしかしたらタイトルの変更に失敗していたかもしれません。

少し考えてみます。

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