―――59―――
<ログイン可能時間が残り5分を切りました。ご注意ください>
神殿に戻ると、すぐにシステムコールが迎えてくれた。
これは……。
ゴーレム先生、お願いします。
昨日は危なかったな……。
落ち着いてドロップアイテムの鑑定もできなかったよ。
まあ、僕のせいなんだけどね。
さて、じゃあ今日は鑑定をしてからゴーレム対戦に……おや、フレンドコールか。
珍しいな。
『はい、もしもし』
『ユウさん。助けてください!』
なんだろう?
フレンドコールは切れた。
とりあえず、あそこに行けばいいのだろうか?
鍛冶屋で待つこと20分、彼が出てきた。
一体何が起こったのだろうか?
あの後もフレンドコールを掛けるも、結局鍛冶屋に到着するまでは繋がらなかった。
そして、繋がってもすぐに掛け直しますと……。
それで鍛冶屋の中で商品を見て待っていたら、なぜかフレンドコールでは無く、直接出てきたと。
うん、意味が分からない。
「おはようございます。どうしました?」
「助けてください~」
何をそんな……まさか、素材が足りないのだろうか?
木材なら全てあげてもいいのだが、金属は今はちょっと……。
「落ち着いてください」
「あ、失礼しました。実は北の試練に行きたいのですが、1人で行けないのです……」
北の試練?
つまりは護衛をすればいいのだろうか?
それならば、友達かギルド辺りで募集すればパーティも組めるのではないだろうか?
「友達は皆、なぜか生産職になってしまって、頼めないのですよ……。そこで、ユウさんに護衛をお願いしたいのです」
「ギルド等でパーティを募集したほうが早かったのではないですか?」
「……し、知っている人の方が良かったのです!」
気付いていなかったのか。
まあ、お世話になっているわけだし、護衛くらいいいのだがそんな状態でなぜ試練を受けるのだろうか?
「ちなみに、なぜ試練を?」
気になる!
「えっとですね……。昨日、東の試練が突破されたのはご存知ですか?」
「知りませんでした」
そうだったのか。
……よく考えてみたら、ログインしていない状態ではあのシステムコールは聞けないのか。
定期的に掲示板で確認した方が良いのだろうか?
「そうでしたか。それで、それを聞いた親方が修業ついでに北の試練を突破してこいと……」
親方……。
でも、あの人らしいとも思えるな。
あれ、そうなると親方に指導をお願いした僕のせいで彼は試練を受けることに……。
うん、手伝ってあげなくては!
「お話頂きありがとうございます。護衛は引き受けさせていただきますね。そうなると、出発はいつ頃にします?」
「ありがとうございます!今から行きましょう!そうしないと、親方が鍛冶を教えてくれないのですよ……」
そこまでするか、親方。
「分かりました。それでは行きましょうか」
準備の時間は良いよね?
どうせマジックポーチに全て入っているのだろうから。
「はい。あ、途中で生産職ギルドに寄ってもらってもいいですか?試練用に色々と買っておいた方が良いと思うので」
「分かりました。私も買いたいものがあったので丁度良かったです」
あったあった。
やはり生産職ギルドにあったのか。
この前から気づいていたのだけど、ゴーレム対戦が忙しくてくる暇が無かったからね。
……よく考えてみたら、冒険者ギルドや魔法職ギルドにアイテムを売買に来た時に寄ればよかった気がするな。
まあ、気づかなかったからしょうがない。
さて、買っていこうかな。
あ、携帯食料も買っておこう。
……ここなら、おいしい携帯食料って売っていないかな?
売っていませんでした。
そして、高かったです。
生産道具とはこれ程に高い物なのだろうか?
鍛冶道具とかはいくらくらいするのだろうか?
「お待たせしました。では行きましょう」
少し気になり、冊子で調べようとしたところで出発の時間でした。
まあ、そこまで気になるわけでも、必要なわけでも無いからいいか。
北門へ向かっている最中に、大事なことを聞き忘れていたのを思い出した。
よく考えてみたら、北の魔物については名前しか知らないのだ。
どうせ今は良く時間が無いと思っていたからね……。
よし、聞いてみようか。
今から行く場所なのだから、知っているだろう。
「すいません、北に出てくる魔物について教えてもらえませんか? 実はまだ行ったことが無くて」
「え、私も知らないです。……まあ、どうにかなりますよ!」
何てことだ……。
まさかの知らない。
さらに、調べる時間は貰え無いようだ。
護衛って大変ですね……。
北門をでると、そこは見渡す限り草原だった。
遠くには森も見える。
これは、南エリアと同じ感じなのだろうか?
「それでは、護衛お願いします」
「はい、任せてください」
イナバとルビーはラビットとウルフのままでいいだろうか?
草原なので、久しぶりにルビーにはホークで戦ってもらってもいいかもしれないな。
うん、遮蔽物もあまりないことだし、ホークでいこう。
早速ルビーを一度送還し、ホークで召喚する。
「ホークまで持っているのですね」
「ゴーレムもありますよ。核だけ……」
そう、核だけだ。
早く体が欲しいものです。
「核だけ?」
「召喚できるのはゴーレムの核の部分だけなのです。体は自分で作らないといけないようで……」
「そうなのですか。体は作らないのですか?」
「金属が足りません」
「……お返しした方が良いですか?」
「いえ、それは依頼に必要な物です。その必要はありません。それに、ゴーレムにはまだ用事があるのでそのうち集まりますよ」
そう、そのうち集まるのだ。
どうせ鎧騎士の為にゴーレム連戦は決定しているのだ。
「そうですか、分かりました」
「それでは出発しましょうか。まずはどこを目指せばいいでしょうか?」
「まずは真っ直ぐ北へ進み、遠くに見える森へお願いします。森に入った後も真っ直ぐ奥へ進んでいけば、黒い壁が遮る場所に辿り着くようなので、そこを目指します」
「分かりました」
南や西と同じ感じで暗闇の壁があると考えていいのだろうか?
まあ、行ってみれば分かるかな。
さて、北の魔物はどんな感じだろうか?
名前からある程度は予想はできるのだけど、実際に見ると予想と全く違う事もあるからね。
少し時期が早まったけど、良さそうなら次の魔物カード集めはここにしよう。
さあ、出発だ!