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木工屋は看板も出ていたのですぐに分かった。
こちらは普通の店舗のような感じで、薬屋よりもかなり大きい。
いや、扱っている商品の大きさの違いを考えたら規模は同じなのだろうか?
まあ、規模はどうでもいいか。
早速扉を開けて中へと入る。
店内を見渡すと、木製の商品が所狭しと並んでいた。
驚いたことに木刀まで販売されたいた。
木刀は武器として使えるのだろうか?
軽さを生かした連続攻撃?
受け流し専用?
それとも練習用だろうか?
少し欲しいな……今度買いに来ようかな……。
おっと、木刀ばかりに目が行ってしまったが、やはり武器の中で多いのは弓と杖のようだ。
う~ん……弓もかっこいいな。
スキルを取る気はないのだが、こちらも買って練習してみようかな?
いやいや、目的を忘れてはいけない。
そう、少年探しだ。
どうやら店内にはいないようなので、そこのカウンターの奥で座っている男性に聞いてみよう。
「すいません、買い物では無くて申し訳ないのですが、人を探しています。ここ数日の内で、水色の髪で青い目をした少年がこちらを訪ねてきませんでしたでしょうか?」
「いや、少なくとも店舗には来てないね。もしかしたら奥の工房の方に来てるかもしれないから聞いてこようか?」
「お願いします」
黒髪で黒い目をした男性は親切にも工房に聞きに行ってくれるようだ。
それにしても、奥が工房だったのか。
おかしいな……。
いや、今は置いておこう。
商品を見ながら待っていると、先程の男性がカウンターへと戻って来た。
「お待たせ。工房の方にも来てないみたいだぜ」
「そうでしたか。わざわざありがとうございました」
「いや、いいってことよ。それより、何か気に入ったものはあったか?さっき商品を見てたみたいだからさ」
流石店員。
ちゃんと見ているな。
「はい、ちょっと弓に興味を惹かれまして。ですが、スキルを持っていないので今はまだ」
「そうか。まあ、気に入ったらのなら欲しくなったらまた来てくれ」
「はい、ありがとうございます」
ここもハズレだったようだ。
それにしても、弓もかっこよかったな……。
もう少し余裕ができたら安い弓を買ってみて練習してみようかな。
まあ、今は諦めよう。
よし、次は武器屋だ。
あれ?
武器屋にも弓や杖は売っているのだろうか?
そうなると、売っているもの弓や杖はここと同じなのだろうか?
いや、そんなはずはないか。
まあ、行ってみれば分かるだろう。
武器屋も木工屋に負けず劣らず大きな店だ。
勿論看板は出ている。
やはり薬屋が特殊だったのだろうか?
まあ、看板の有無はどうでもいい。
早速扉を開けて中へと入る。
おお!
武器、武器、武器!
流石武器屋だ。
見渡す限り武器で埋め尽くされている。
おっと、そうだった。
弓や杖はどんなものが売っているのだろうか?
そう思い、弓が展示してある場所へと移動する。
これは……。
次に杖が展示してある場所へと移動し、杖を見る。
やはりそうなのだろうか?
どうやら武器屋で売っている武器は量産品に見える。
木工屋と比べてどちらが良い物かは判断がつかないのだが、武器屋の弓は全て同じに見えるのだ。
木工屋の弓は確かに似通っているものもあったが、どこかが違っていた。
ということは、武器屋が量産品で木工屋は一品物なのだろうか?
そうなると木工屋の武器は高くて性能がいいのかな。
うん、練習用の弓はこちらで買おうかな。
でも……木工屋の弓の方がかっこいいし……。
おっと、目的が違っていた。
どうやら店内に少年はいないようなので、これまでと同じく店員に聞いてみよう。
カウンターへ行き、奥に座っている赤髪で青色の目の女性へと話しかける。
「すいません、買い物では無くて申し訳ないのですが、人を探しています。ここ数日の内で、水色の髪で青い目をした少年がこちらを訪ねてきませんでしたでしょうか?」
「うん?私は見てないわね」
「そうですか、分かりました。ありがとうございます」
ここもハズレだったか。
まあ、本命は鍛冶屋だから問題は無いのだけど。
少し色々な武器を見ていきたいけど、また今度機会があったら来てみよう。
次は防具屋だ。
うん、ここは移動が楽でいいな。
武器屋を出て、すぐ隣にある防具屋の中へと入る。
おお!
全身鎧だ!
かっこいいな。
でも、あれを装備すると回避は諦めたほうが良さそうだ。
いや、筋力と素早さがあれば大丈夫なのだろうか?
まあ、どちらにしも今は装備する気は無いのだけどね。
おっと、早く探さないと。
店内を見渡してみるが、少年はいない。
「すいません、買い物では無くて申し訳ないのですが、人を探しています。ここ数日の内で、水色の髪で青い目をした少年がこちらを訪ねてきませんでしたでしょうか?」
カウンターで突っ伏していた緑髪の女性へと聞いてみる。
顔を上げた女性の瞳は髪と同じく緑色をしていた。
それにしても、本当にカラフルだ。
まあ、自然な色だから違和感は無いのだけどね。
「いえ、来ていませんよ」
「そうですか、分かりました。ありがとうございました」
やはりここにもいなかったか。
まあ、ここと武器屋は念の為に回る程度の気持ちだったからね。
さて、次は本命の鍛冶屋か。
居てくれるといいのだけど……。
鍛冶屋へ向かう為に店を出ようとしたところで、先程店の中を見渡した時にローブがあったことを思い出した。
そういえば、ローブはどんなものが売っているのだろうか?
装備に関係していることだし、少しだけならいいよね?
そう思い、ローブが展示してある場所へと移動する。
う~ん……分からない。
良い物なのだろうか?
正直目で見て分かるほどの知識は無いのだ。
うん、しょうがない。
鑑定を使用していいか聞いてみよう。
「すいません、売り物に鑑定を使用しても大丈夫でしょうか?」
「はい、問題ありませんよ」
先程のカウンターの女性に聞いてみたが、どうやら問題無いようだ。
もしかして、どこの店も問題ないのだろうか?
よく考えてみたらスキルとして鑑定がある世界なのだから、買う前に鑑定を使用して選ぶことは当たり前なのかもしれない。
あとでギルドに寄って聞いてみよう。
それはそうと、早速ローブを鑑定してみよう。
<防具:布>布のローブ
耐久値50
回復回数3/3
……同じなのだろうか?
おや、よく見てみると値段が書いてあるのか。
おお、ギルドと同じ値段だ。
そして、隣のローブと比べるとかなり安い。
うん、布のローブでいいや。
どうせ防具系スキルは持ってないのだし、防具は念の為装備しておく程度でも今は問題ないだろう。
よし、本命の鍛冶屋へ行こう!