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従魔使いのベアリアスワールド・オンライン  作者: 雪結晶
1章 - 始まりの町と初めての従魔
4/202

―――4―――

 開始直後、まだ動かない兎に対して魔法銃を撃つ。

 兎は横に飛び跳ね、弾を避ける。

 そして、着地した兎はこちらに向けて走ってくる。

 こちらが魔法銃を撃とうとしていたところ、走っていた兎が突然止まり、直後にこちらに向かって勢いよく跳ねてきた。

 !?

 兎の体当たりに対して、横に跳び回避を試みる。

 ぎりぎりに感じていたのだが、結構余裕があったようで十分に避けることができた。

 兎の次の行動に備え、急いで起き上がり兎の方を見る。

 既に着地し、こちらを向いて次の行動に移ろうとしていた兎を見て、走り出す前にともう一度魔法銃を撃つ。

 だが、兎は今度は前方に飛び跳ねて避けてきた。

 

 そして、着地と同時に走り出す。

 そんな兎を見ながら、次の行動をどうするか決めかねる。

 また跳ねて攻撃してくるのか?

 だが、ここで撃ってもさっきと同じく前方に飛び跳ねて避けてくるだろう。

 それどころか避けた後に攻撃の隙を突かれて体当たりを受けるかもしれない。

 だったら!

 

 予想通り、兎は突然止まり、勢いよく飛び跳ねてくる。

 今度はそれを立ったままで、ぎりぎり当たらないように避けてみる。

 

「痛!」

 

 完全には避けきれなかったようで、すこし掠ってしまった。

 だが、それでも兎の動きを見逃すまいと兎を見つめる。

 勿論魔法銃は兎に向けて構えている。

 そして兎が着地した瞬間、魔法銃を撃つ。

 

 弾は真っ直ぐに兎に向かい、こちらを向いた兎の額に吸い込まれていく。

 兎は弾を額に受けた衝撃で、少し仰け反った。

 これはチャンスと思い、追撃でもう一発撃ちこむ。

 今度は弾が曲がり、一瞬外したかと思ったが、曲がり量が少しだったようで、どうにか胴体部分に当てることができた。

 ただ、今回は踏ん張りがきいていたのか、胴体だと体勢が崩れにくいのか分からないが、仰け反らなかった。

 

 そして兎は体勢を整え、再びこちらへ向かって走ってくる。

 だが、その動きに先程までの速さは無い。

 ダメージで動きが鈍っているのかな?

 そして、兎が止まり……飛び跳ねてくる。

 兎の停止位置がさっきより位置が近い気がしたので、少し余裕をもって回避する。

 

 今度は掠ることもなく避けることができた。

 そして、着地した兎の頭に向けて魔法銃を撃つ。

 弾は少し曲がったが、兎の頬部分に当たった。

 

 兎は攻撃で少し怯んだようなので、もう一発頭に向けて撃つ。

 今度は弾はまっすぐに飛び、兎の額へと当たった。

 そして、その攻撃で兎が地面へと倒れこんだ。

 

 倒したか!?

 いや、こういう時こそ慎重にならなければ。

 そして、近づきたい気持ちを抑えつつ、兎が行動しないか注意して見ているが、兎は倒れたまま動かない。

 少し待ってみたが動く気配が無いので、慎重に近づいていく。

 

 少し近づいてみたが、動く気配はない。

 ここは念のためもう一発撃っておこうか?

 そう思い、兎の額へ向けて魔法銃を撃つ。

 そして、兎の眉間に弾が吸い込まれ……当たる直前に兎が動いた。

 だが、弾を避けきれず顔に受けてしまい、また倒れた。

 

<撃破おめでとうございます!>

 

 どうやら無事倒せたようだ。

 

<先ほど撃たずにさらに近づいていたら反撃を行っていました>

 

 うん、どうやら慎重に行動したことで、反撃を受けずに済んだらしい。

 というか、チュートリアルでここまでするのか……。

 いや、チュートリアルだからここまでするのか。

 

<今回のみ訓練ということでHPバーを表示させませんでしたが、ゲーム内では通常はHPバーが表示されていて、HPの確認が行えます>

 

 良かった……そうでないと、毎回このように確認を行わなければならないかと思ったよ。

 あれ?でもそうだとしたら何でこんなことをしたのだろうか?

 もしかしたらいずれHPバーが見えないか、あるいはHPバーが無いように見えていても行動してくる魔物が出るのかもしれないな。

 

<それでは、倒した魔物に剥ぎ取りナイフを刺してください>

 

 おっと、剥ぎ取りの時間のようだ。

 指示通りに、マジックポーチから剥ぎ取りナイフを取り出し、兎に刺した。

 すると兎が光の粒子のようになり、消えていく。

 そして、光の粒子が完全に消えた後には、何かが残っていた。

 これは……指輪?

 

<おお、おめでとうございます!レアドロップ品の幸運の指輪ですね!>

 

「確定ドロップではないの?」

 

 少し気になり聞いてみた。

 

<はい。ここでの戦闘でもドロップは通常通りです>

 

「そうなんだ。嬉しいな」

 

 どうやら運が良かったようだ。

 でも、通常の魔物のレアドロップだったらすぐに出るか。

 いや、もしかしたらチュートリアル専用の魔物だったりしないだろうか?

 それは無いか……でも……。

 よし、気になるので聞いてみよう。

 

「やっぱりこの魔物も通常マップで出てくるの?」

 

<はい。町から少しだけ離れたエリアでのレアモンスターとなります>

 

 どうやらあの赤い目をした体が白い兎はレアモンスターだったようだ。

 そして、やはりというか、最初のエリア付近の魔物だったようだ。

 それはそうか、チュートリアル専用の魔物から専用のドロップアイテムが出てしまうと、そのアイテムはチュートリアル以外での入手手段が無いことになってしまう。

 でも、レアモンスターのレアドロップだったようなので、少し得をした気分だ。

 

「そうなんだ。教えてくれてありがとう。……えっと、その情報は教えてよかったの?」

 

<はい。いずればれますので、このくらいはかまいません。ただし、この情報を話される場合には、不確定情報として話しておいた方がいいと思われます。その場所で実際にドロップを確認してからでないと、いらぬ騒動を起こす危険があります>

 

「確かに。忠告ありがとう」

 

<いえいえ。それでは、あそこに見える門をくぐれば他のプレイヤーの皆様がおられる町に移動します。町では最初に冒険者ギルドに行き、登録されることをお勧めします。また、各職業ギルドへの登録もお勧めします>

 

「冒険者ギルドはわかるけど、職業ギルド?」

 

<職業ギルドは各スキルを持っている方の集まりです。あなた様の場合ですと、従魔魔法ギルド、支援魔法ギルド、魔法銃ギルドがございます。所属条件は各スキルを所持していること等です。所属するメリットは、同じスキルを所持しているプレイヤーとの交流やギルド員からスキルに関する情報を聞けたりすることです。また、色々と貢献しますと便宜を図ってもらえたり、特殊クエストや高難易度クエストを紹介してもらえたりする可能性もあります>

 

「そうなんだ。だったら入っとかないとね。情報ありがとう!」

 

<いえいえ。今すぐ町へ行かれますか?現在ギルドは大変混雑しております。他の場所への用がありませんでしたら、この場所でヘルプなどを読み、時間を置くことをお勧めします>

 

「う~ん……確かに。でも……ここから他のプレイヤーへの連絡は可能?」

 

<可能です。ただし現状であれば相手側がチュートリアルを終えている必要があります>

 

「わかったよ。だったらここで待っておくよ。色々良い情報をありがとう」

 

<いえいえ。こちらもお役に立ててうれしいです>

 

 

 

 さて、スキルから見てみようかな。

 メインスキルはもう3個揃っているから、サブの取得かな。

 とりあえずメニューからスキルを開いて……現在のスキルポイントは6か。

 多分初めのうちはすぐに増えるだろうけど、全部使うのはまずいかな?

 まあ、とりあえず一通り見てみよう。

 

 

 

 一通り確認してみたけど、この3つは絶対いるかな。

 

 ・MP強化

 ステータスのMPに補正効果。

 

 ・鑑定

 アイテムの情報を見ることができる。

 

 ・識別

 魔物の情報を見ることができる。

 

 あとはステータス強化系が1個はほしいな……。

 そうなると、どれにしようか?

 現状で必要そうなのは、従魔魔法、支援魔法、魔法銃のどれかを強化できるもの。

 とりあえず、3個全てに魔力は関係ありそうだ。

 その他のステータスだと、魔法銃の弾の弾道に対して、器用さが関係ありそうだろうか?

 どうにも魔力で弾道が良くなるとは思えないんだよね。

 弓だったら間違いなく器用さでいいと思うのだけど……。

 よし、こういう時こそヘルプだ。

 

 

 

 ……載っていない!

 ステータスの種類は載ってるけど、ステータスの内容に関する事が載っていない……。

 こうなったら……魔力と器用さを取るかな。

 うん。たとえ間違っていても、スキルポイントは1余るから大丈夫!

 ……多分。

 

 ・魔力強化

 ステータスの魔力に補正効果。

 

 ・器用さ強化

 ステータスの器用さに補正効果。

 

 これでサブスキルは決定!

 あとは取得したサブスキルを使用するように設定をして完了だ。

 

 

 

 次は装備を確認しよう。

 まずは、さっき取得した鑑定で持っているアイテム全ての情報を確認しておこうかな。

 

 <武器:魔法銃>銅の魔法銃

 ◇耐久値50 ◇回復回数3/3

 銅でできた魔法銃。安価で生産しやすいが、壊れやすく性能はあまりよくない。

 

 <アイテム:特殊>剥ぎ取りナイフ

 撃破した魔物に突き刺すとアイテムを残して消滅させることができる。

 

 <アクセサリー:指輪>未開放の指輪

 ※このアイテムは未解放状態です。

 解放条件:装備状態で……すること。

 

 <アクセサリー:腕輪>未開放の腕輪

 ※このアイテムは未解放状態です。

 解放条件:装備状態で……すること。

 

 <アクセサリー:指輪>幸運の指輪

 装備者に幸運を呼ぶとされる指輪。

 

「ん?……の部分は何だろうか?」

 

<どうされました?>

 

「アイテムを鑑定してみたんだけど、説明に……って表示があって」

 

<それでしたら、能力不足でそう表示されています。必要な能力に関しては申し訳ありませんが、お伝えすることができません>

 

「いやいや十分だよ。ありがとう」

 

 能力不足か……鑑定のレベルだろうか?

 まあ、どちらにしても今はどうしようもないか。

 とりあえず、最初から呪い装備なんてないだろうし、装備品は全部装備しておけばいいかな。

 

 さて、これで今できそうなことは終わったのだけど……。

 

「今もまだギルドは混んでいるのかな?」

 

<はい。現在は先程お伝えした時より混んでおります。予想ですが、あと1時間~2時間で解決すると思われます>

 

「1~2時間か……」

 

 待つには少し長いかな。

 でも、町に行っても並んで待っていないといけないんだよね……。

 

<お待ちになりますか?それとも、少しでも早くということならギルドへ行って順番を待っていた方が早いですが>

 

「う~ん……。どうせ行っても並んで待っているだけだし……あ!……さっきの兎と戦うことは可能?」

 

<可能です。ですが、先程と違い回復をさせていただくのは1回までになります。1回の回復後にHPが無くなった場合は、強制的に町の入り口に転移されます。この条件でもよろしいでしょうか?>

 

「できるのか、それはありがたい。条件は了解しました。お願いします。」

 

<条件の了承を確認しました。コールと言っていただければ新たな魔物を召喚します。また先ほどの魔物以外にも出現しますので、ご注意ください>

 

 これはいい待ち時間になりそうだ。

 1対1で行ったチュートリアルの相手ですら苦戦したんだ。

 実際のフィールドでは1対多もあるだろうから、今以上に苦戦するだろう。

 なので、ここで戦闘の練習を積めるなら積んでおきたい。

 それでは早速……。

 

「コー……」

 

 危なかった……魔法銃はMPを消費するのだっけ。

 MPは…よし、全回復してるな。

 

「すいません。ではコール」

 

<コールを確認しました。魔物を召喚します>

 

 目の前に現れた魔物は先程と同じ、赤い目をした白い兎だ。

 とりあえず、取得したばかりの識別を試してみよう。

 使い方は魔物を集中してみることだったかな。

 

 <魔物>ラッキーラビット Lv2

 

 おお!見えた!

 名前はラッキーラビットか。

 幸運の兎……鮫で勝負したら勝てるだろうか?

 って、そんなことを考えているうちに、兎はもう走り出している。

 危ない危ない、戦闘に集中しなきゃ。

 さて、同じ魔物なら先程と同じ戦法でいこう。

 ただし、最初の攻撃は大きく避けて様子見をしよう。

 さっきの兎がレベル2だとは限らないし。

 

 兎が止まり……飛び跳ねる。

 それに合わせて避ける!

 

 よし、掠ってもないし、結構余裕もあった。

 そして、着地に合わせて撃つ……が横に跳んで避けられた。

 もしかして、さっきより素早い?

 ということは、さっきのはレベル1だったのだろうか?

 

 さて、どうする?

 もう一度、避けた後に着地に合わせて撃ってみる?

 いや、多分同じ結果になるだろう。

 なら、どうする?

 ……思いつかない。

 とりあえず、さっきと同じ方法でもう一度いってみよう。

 

 やはり避けられるか。

 これは急いで考えないと……。

 

 

 

 あの後、10度ほど避けて攻撃を繰り返してながら攻撃を当てる方法を考えているが、良い考えが思いつかない。

 着地した後に撃っても当たらないんだよな……もうこうなったら!

 

 兎が止まり…飛び跳ねる。

 それをぎりぎりで避けた直後、兎が着地するだろう位置を予測して撃つ!

 弾は何もいない空間に飛んでいき……その弾道上に上から兎が飛び込んできた。

 そして、着地直前に兎の尻に着弾する。

 さらに、着地前に当たったからなのか、兎は体勢を崩して転がった!

 チャンスだ!

 兎が起き上がらないうちに、2発目を撃つ!

 兎の転がり方が良かったのかこちらへ額が向いており、弾は額へと吸い込まれていく。

 さらに額へ当たったことで仰け反り、体勢を崩した。

 体勢を直そうとする兎に、もう一度追撃する。

 兎は体勢を立て直していて、避けようとしたが、少し時間が足りず弾は胴体へ当たる。

 今度は胴体に当たったからか、仰け反らなかった。

 もしかして、額へのダメージの方が大きい?

 まあ、今の方法で額へは、転がった後に位置が良くないと当てられないか。

 

 もう1度兎の体当たりを避けた後、着地するだろう場所へ向かって撃つ。

 攻撃事態は当たったのだが、タイミングが遅かったのか兎は少し前のめりになっただけだった。

 すぐに追撃で撃つが、胴体に当たり仰け反らなかった。

 

 同じことを十数回繰り返したが、まだ兎は倒せない。

 ダメージが高そうな額への攻撃は、あの時の1発しか当たっていない。

 そんな中、次の攻撃でやっと額へ弾が当たり、兎は倒れて動かなくなった。

 さっきのことがあるので、実はまだ倒せていませんでしたとならないように、念のため額へ攻撃を加えておくことにした。

 位置的に額へ攻撃が行えなかったので、額へ攻撃が当てられる位置まで移動し、額を撃つ。

 ほんの少し弾が曲がってしまったが、どうにか額へ当たった。

 ……よし、動かないな。

 動かないのを確認したので、慎重に近づいて剥ぎ取りナイフと突き刺す。

 すると、さっきとは違い、石のようなものが残った。

 知らないアイテムだったので、鑑定を使用して確認しておく。

 

 <アイテム:魔石>ラッキーラビットの魔石

 ラッキーラビットから入手した魔石。

 

「魔石?」

 

<魔石獲得おめでとうございます。使用方法に関してはお伝えできません。申し訳ありません>

 

「いえいえ、そんな謝らないでください」

 

 そうなのだ。

 教えてくれないのが普通なのだから、謝る必要は無いと思う。

 

<そういってもらえるとありがたいです。では、さっそく次の魔物を召喚いたしますか?>

 

 ちょっと急ぎ過ぎではないだろうか?

 まあ、ここで終了するつもりはないのだけどね。

 でも、準備は大切だと思う。

 

「あ、ちょっと待ってください。MPを確認したいので」

 

<わかりました。準備が終わりましたらコールをお願いします>

 

 HPは……減っていないようだ。

 まあ、攻撃を受けなかったので当然か。

 この状態で減っていたら色々と考えなければいけないところだった。

 さて、問題のMPは……半分くらいまで減ってるかな?

 う~ん……ゲージでしか見えないから正確には分からないな。

 まあ、今回の戦いから考えるとぎりぎり足りるとは思うのだけど、一応回復してから次に挑もう。

 無茶をして貴重な復活を使いたくないからね。

20140904:変更

魔物よりドロップする素材アイテムの名称を"魔物名を漢字にしたもの"から"魔物名"に変更しました。


20140819:修正

字下げをするように修正しました。


20140810:大幅修正

見直しも兼ねて、大幅に修正を行いました。

表現だけでなく、内容まで変更した箇所に関しましては、18話まで見直し・修正を完了後にまとめようと考えています。

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