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従魔使いのベアリアスワールド・オンライン  作者: 雪結晶
1章 - 始まりの町と初めての従魔
38/202

―――38―――

「MP切れですね」

 

<……正解だ。何故そう思った?>

 

「ゴーレムはいきなり動きを止めました。ならば考えられるのは時間経過による停止です。こちらの攻撃でHPは減少していませんでしたし、何かを壊したということも無かったですからね」

 

 そう、あの状況から考えられたのは2つだけだ。

 

「そして、倒れた原因についてですが、いくらなんでも時間経過だけで倒れたというのは理由としては浅い気がしました。そこで時間経過で何かが発生した為に倒せたと考えました」

 

 1つは時間経過による何かの発生だ。

 

「そこで、その原因を考えたのですが、やはり燃料切れというのが一番あり得るかと思いました。なので、ゴーレムを動かす燃料が何かと考えた結果、MPに辿り着きました。他の物もいくつか考えましたが、現時点でのプレイヤーが分かる範囲内だとするとMPが一番妥当だと思ったのです」

 

 もう1つはイナバかルビーが森の中で何かを壊した可能性だ。

 

「そして、長時間動き続けMPを全て消費したので倒れたと考えています。HPバーが空になった原因は、MPがゴーレムの体を動かすだけでなく、体の維持もしていた為に維持ができなくなった体のHPは無くなってしまったと考えています」

 

 だが、イナバかルビーが何かを壊していたとしても僕は確認していないのだ。

 

「なのでMPが切れて倒れたと考えました」

 

 確認していない情報を試練の答えとして使用するのはあまり良くない。

 なので確認できている情報だけで答えた。

 

<そう考えたのか。まあ、理由を聞いたのは私の趣味だから試練とは関係は無い>

 

 趣味だったのか……まあいいけどね。

 

<では、これで第4の試練のクリアを確認した。これにより、ユウの全試練のクリアを確認した。おめでとう!君は試練を突破したのだ!>

 

 今考えてみると、第3の試練だけ難易度が桁違いな気がする。

 それに、第4の試練もゴーレムの倒し方によっては内容が変わりそうな気がするな……。

 それにしても、第4の試練が戦闘形式でなくて良かった。

 正直なところ、いくら勢いに乗っているからと言ってもあのゴーレム以上の敵が現れたら勝てた自信は無い。

 

<試練突破者よ、これより君を封印の神殿へと転送する。そこで何を行うかはあちらで聞いてほしい。それでは、また会える日を楽しみにしておくよ>

 

 また会える日を?

 ああ、そうか。

 試練はあと3つあるんだった。

 でも、それにしては会えるかどうかわからないような言い方に聞こえる。

 

 そこまで考えたところで、景色が闇に包まれた。

 すぐに闇は晴れ、目の前には女神像が視界いっぱいに映っている。

 隣にはイナバとルビーがいる。

 辺りを見渡すと石で造られた柱や壁が見える。

 そういえば封印の神殿に転送すると言っていたので、ここがその神殿なのだろう。

 転送の方法が今までとは違い、一旦闇に包まれたのは演出なのだろうか?

 まあ、それはどうでもいいか。

 それより今はこの神殿を調べないといけない。

 封印の神殿というくらいなのだ、何かが封印されているのだろう。

 そして、試練を突破してきたということは封印されているものはプレイヤーにとっては良い物の可能性が高い。

 ならば封印されているものを解放できるようなら、解放しておきたいと思う。

 

 そうなると一番気になるのはあの女神像だが、あきらかに怪しすぎる。

 なので、あれは最後に調べるとして、まずは部屋の隅から……。

 

「よくぞ参りました。試練を突破せし者よ」

 

 ……部屋の隅から。

 

「よくぞ参りました。試練を突破せし者よ」

 

 そんな怪しい女神像に色が付き、話しかけてきている。

 何てことだ……まだ何も調べていないのに!

 諦めて部屋の隅に向いていた視線を、視界の隅に移っていた元女神像へと向ける。

 その女性は赤髪に赤目をした女性だった。

 正直なところ、動いていない時の方が女神に見えていた。

 

「ここは封印の神殿の1つ。そしてここに封印されているのは、情報です」

 

 うん、何となく分かってた。

 

「私の後ろにある黒色の宝玉を壊せば無事に情報は解放されるでしょう。ですがその前に試練突破の報酬を渡したいと思います」

 

 まだ見ていなかったのだけど、女神像の後ろに何かあったのか。

 やっぱり最初に調べたかったよ……。

 

 それと、報酬?

 何を貰えるのだろうか?

 情報の解放だから何か情報を貰えるのなら嬉しいかな。

 

「さて、あなたは報酬に何を望みますか?」

 

 え?

 報酬って決められているものじゃないの?

 

「ちなみに質問は受け付けません」

 

 先手を取られたか!

 つまり、欲張りすぎるとそれは不可能ですという展開で、報酬無しということはあるだろう。

 まあ、それならそれでいいか。

 今一番欲しいものを頼もうか。

 

「それでは、ステータスが及ぼす影響について教えてください」

 

「それでいいのですね?」

 

「お願いします」

 

「分かりました。では、図書館を訪ねると望みのものが得られるでしょう」

 

「ありがとうございます」

 

 図書館?

 あの図書館でいいのだろうか。

 まあ、行って確かめてみればいいか。

 さて、情報を解放しようかな。

 

 女神さまの横を通り、後ろにあると言われた宝玉を目指す。

 台座に鎮座しているその宝玉は、まるで闇が閉じ込められているかのような黒色……ではなく、ペンキで塗ったような黒色をしていた。

 普通の黒である。

 もうちょっと、こう、神秘的なものにしてほしかった……。

 

 魔法銃を宝玉に向けて、撃つ!

 が、壊れない。

 さらに撃つ。

 撃つ、撃つ、撃つ!

 10発ほど当たったところで宝玉は台座から離れ、地面へと落ちて割れてしまった。

 宝玉まで魔法抵抗を高くする必要は無かったのではないのだろうか。

 

<ある冒険者により情報が封印から解放されました。これにより、封印されていた情報が開示されます>

 

 おお!

 ここはまさに封印から解放された感じだ!

 そして、名前が出なくて良かった。

 

 これは全プレイヤーが聞いているのだろうか?

 あとで姉さんに聞いてみよう。

 

「情報を解放して頂き、ありがとうございます。これで残りの力の解放も早まるでしょう」

 

 残りの力?

 南や北、東はやはり別のものが封印されているのだろうか?

 

「封印されていた力が解放されたことにより、この空間は崩壊を始めます」

 

 辺りを見渡すと、柱などにひびが入っている。

 そして、そのひびは徐々に広がっているようだ。

 え、どうすればいいの?

 

「ご安心ください。貴方は私が元の場所へとお送りします」

 

「ありがとうございます」

 

 良かった。

 ここが崩れるまでに脱出せよ!かと思ったよ。

 

「それでは転送を開始します。またお会いしましょうね」

 

 女性が言葉を言い終えると、視界が一瞬にして闇に染まった。

20141001:修正

誤字を修正しました。


20140913:修正

誤字を修正しました。

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