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従魔使いのベアリアスワールド・オンライン  作者: 雪結晶
1章 - 始まりの町と初めての従魔
37/202

―――37―――

 ……あれ?

 おかしい。

 なぜクリアの声が無いのだろう?

 今までの試練だったらもうクリアの声があってもおかしくなかったはずだ。

 何故……。

 ああ、そうか。

 まだ倒せていないのか。

 

 ゴーレムの位置まで這いずって移動し、ゴーレムに剥ぎ取りナイフを突き立てる。

 そして、光りの粒子になって空へと消えていくゴーレムの姿を見守ってからあるものを探す。

 その物はゴーレムの胸があったであろう位置に転がっていた。

 そう、ゴーレムの核だ。

 多分これを破壊しない限り、試練は終了しないのだろう。

 

 急いで核に魔法銃を密着させ、連射する。

 やはり効き難いのか……。

 これはまずい。

 ルビーがいない今、これは僕1人で破壊しなければならないのにこれでは火力が足りない……。

 どうする?

 何かないかと近くを見渡すと、ゴーレムから剥ぎ取れたであろう金属の塊が2つ転がっていた。

 これで何とかならないだろうか?

 そう思い、核を手に持って金属の塊にぶつける。

 ぶつける、ぶつける、ぶつける。

 核は壊れない。

 さらにぶつける。ぶつける。ぶつける。

 やはり核は壊れない。

 これは無理か。

 金属の塊を持ち上げて落としてみようか?

 そう思って、金属の塊まで立って移動しようとしたが、立てない。

 どうした、足よ!

 持ち上げて落とす案は実行前に失敗に終わってしまったようだ……。

 しかたがない、最終手段を取ろう……。

 

「ルビー!来てくれ!」

 

 そう、ルビーに助けを呼ぶ手段だ。

 もし、ルビーにも破壊できないようならルビーを追って来た人形に手も足も出ないまま負けてしまうだろう。

 だが、このまま待っていても何もできないままに、イナバとルビーが消耗していくだけだ。

 それに、ゴーレムが復活しないとは限らないのだ。

 復活されてしまうと、足に力すら入らない今の状態では勝負にすらならないだろう。

 

 

 

 少しすると、ルビーが走ってきてくれた。

 早い!

 流石ルビー!

 

「ルビーこれを破壊してくれ!」

 

 急いでルビーに破壊を頼む。

 ルビーはすぐに核に噛みつく。

 人形との戦闘で疲れているだろうに本当に申し訳ないが、今はこれしか方法を思いつけなかったのだ。

 

 少し経つが、まだ割れていない。

 これ以上はルビーの牙が大きくダメージを受けてしまうかもしれない。

 こうなったら……。

 

「ルビー、一旦核を離してくれ」

 

 ルビーに一旦核を離してもらう。

 そして、ルビーを送還し、ホークで再度召喚する。

 初めからこうすればよかった。

 

「ルビー、石の時と同じようにこれを持って、この金属の塊にぶつけてほしい」

 

 そう、今の最高攻撃力と言えばこれだろう。

 ルビーが空へと昇っていく。

 おお、あんなに高くまで上がっていたのか。

 人形相手の時は森の木が邪魔で見えなかったから初めて見た。

 そして一気に急降下してくる。

 相変わらず、速い!

 あれ、これって僕も危なくない?

 急いで地面へと伏せた。

 次の瞬間、核が金属の塊へとぶつかった音がした。

 

 危なかった……どう考えても破片でダメージを受けるじゃないか。

 それで死んでしまったら情けなさすぎる。

 

<第3の試練のクリアを確認した。おめでとう!次の試練に移りたいところだが、少し休むといい。次の試練は後日でも構わない。もし帰りたければ声をかけてほしい。そして、次の試練を受けたくても声をかけてくれ>

 

 そして、どうやら無事第3の試練を突破できたようだ。

 そういえば、核はどうなっただろうか?

 辺りを見渡してみるが核は見当たらない。

 もしかして遠くへ飛んで行ってしまっただろうか?

 まあ、後で探せばいいかな。

 

 森の方を見てみると、揺れる草と空からこちらへと向かってくるルビーが見えた。

 草の方はイナバだろう。

 2人とも本当に頑張ってくれた。

 でも、まだ試練はあるのか……いや、後日でもいいのか。

 明日にした方がいいだろうか?

 まあ、休憩が終わってから考えればいいか。

 そんなことを考えていると、草の中から兎が顔を覗かせてきた。

 そして、隣には鷹が着地した。

 

「イナバ、ルビー、お疲れ様。そして、ありがとう」

 

 そう言い2人を撫でると、2人とも嬉しそうにしている。

 

「2人とも、少し休もうか」

 

 そう言うと、イナバは足元で、ルビーは足の上に来て休憩を始めた。

 2人とも連戦で疲れているだろうから、まずは休んでほしい。

 

 

 

 それにしても、あの楽しい時間は終わってしまったな。

 今考えても、分からない。

 どうしてあんなにゴーレムの動きを読めたのか。

 どうしてあんな長時間集中していられたのか。

 どうしたあんな長時間動き続けられたのか。

 でも、今はそんなことはどうでもいい。

 とにかく楽しかったのだ。

 別に戦うことが好きというわけでも無いのだが、どうしてかあの時はとても楽しかったのだ。

 

 このゲームを続けていればまたあのような楽しい時間に会えるだろうか?

 でも、今度はもう少し戦えるようにしとかないといけないな。

 最後がちょっと情けなかったからね。

 

 そんなことを考えながら、草むらに寝転がる。

 全身に当たる風が気持ちいい。

 このまま少し寝たい気分だが、やることはまだ残っているのだ。

 寝てしまうと時間が足りなくなってしまうかもしれない。

 今は諦めて、体を休めるだけにしておこう。

 

 

 

 休憩を終え、足に力が入るようになったことを確認して、ゴーレムのドロップアイテムを確認する。

 まずは核以外のドロップアイテムだ。

 ゴーレムが倒れていた付近を探してみたが、どうやらドロップアイテムはあの金属の塊が2つのようだった。

 さっそく鑑定しようかと思ったのだが、今は止めておこう。

 ここで見るよりも町でゆっくりと見てみたい。

 それに、まだまだ剥ぎ取るものは多いのだ。

 

 次にゴーレムの核を探す。

 辺りを見渡してみるが見当たらない。

 さて、どうしようかと思っていたところにイナバが核の破片を咥えて走って来た。

 流石はイナバ!

 早速剥ぎ取りナイフを突き立てる。

 ナイフは何の抵抗もなく核へと突き刺さり、核は光の粒子になって消えていった。

 そして、その後には紫色の石が残っていた。

 おお!

 こちらもドロップしてくれたようだ。

 そして、やはりボスでも出るのか。

 これは明日からが大変だな……。

 いや、そういえばボスってまた戦えるのだろうか?

 まあ、方法は探してみよう。

 

 最後に森の中にいるであろう人形から剥ぎ取ってくる。

 こちらはかなり大変だろう。

 なんせ場所が分からないのだから。

 まあ、時間はあることだし気長に探そうかな。

 

 

 

 人形の剥ぎ取りが全て終わった。

 時間がかかると思っていたが、どうやらイナバ達は場所を覚えていたのか、すべて案内してくれた。

 ドロップ品も上々といったところだ。

 

 さて、剥ぎ取りも終わったことだし、どうしようかな?

 僕といては勢いがあるうちに次の試練も挑んでおきたいのだけど、イナバとルビーには今日は結構無理をさせてしまったからね。

 

「イナバ、ルビーもう少し頑張れそう?」

 

 2人に聞いてみると、2人とも自信に満ちた瞳でこちらを見てきた。

 これは大丈夫だ。

 いや、心配した僕の方が失礼だった気さえしてきた。

 じゃあ、頑張ろうか!

 

「次の試練をお願いします!」

 

<そう言うと思っていたよ。それでは最終試練だ。内容はゴーレムがいきなり倒れた理由を当てることだ。そうだな、制限時間は5分だ。それでは最終試練、開始!>

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