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従魔使いのベアリアスワールド・オンライン  作者: 雪結晶
1章 - 始まりの町と初めての従魔
35/202

―――35―――

 ゴンッ

 

 ゴーレムの振り下ろし攻撃を避け、逃げていると突然何かにぶつかった。

 おかしい、何もなかったはずだが……。

 そう思い、前方を手で押してみると何かが手の進行を妨げる。

 これは……ボスフィールドの端まで来てしまったということだろうか?

 よく考えてみれば、ボス専用フィールドが無限に広がっているとは考えられない。

 ならばどこかに区切りがあるはずなのだ。

 これがその区切りなのだろう。

 それにしても、見えない壁や侵入不可能エリアではなくて、断崖絶壁とかにすればよかったのではないだろうか?

 いや、隔離空間と考えると見えない壁のほうが良いのだろうか?

 って、今はそんなことよりも!

 

 急いで後ろを振り返り、ゴーレムの姿をその目に収める。

 もうそろそろ腕の射程に入ってしまう。

 だが、見えない壁でふさがれており後ろには逃げることも避けることもできない。

 ならばこの不利を脱するために、移動をしなければならない。

 どっちにする?

 横か、前か。

 ここは横だろう。

 どの攻撃をしてくるか分かっていないのに、ゴーレムの足元を抜けるなど自殺行為だ。

 さらに攻撃を待ってから動いたのでは攻撃によっては避ける難易度が跳ね上がるだろう。

 ならばその前に横に移動して、少なくとも後ろではなく横に見えない壁を配置したほうが良いだろう。

 そう思い、右側に向けて走り始める。

 ゴーレムは当然進路を変更して追ってくる。

 これで左側は見えない壁でふさがってしまったが、次の避けるタイミングでさらに曲がればゴーレムの背後に見えない壁が来るような配置になるはずだ。

 そうなれば見えない壁から離れることが容易になるだろう。

 

 すぐにゴーレムは追い付いてきて、腕を横薙ぎにしてくる。

 その横薙ぎをしゃがんで避けて、腕が頭上を通り過ぎたのを風圧で確認し、後方へと飛びながら立ち上がる。

 この攻撃では横に回れないので、さらに次の攻撃へと備える。

 次の攻撃は……振り下ろしか!

 ゴーレムが右腕を振り上げたのを確認して、すぐに右側へと2度飛ぶ。

 そして、地面に振動を感じながら体勢を保ちつつ、揺れが収まるのを待って立ち上がり、見えない壁とは反対側へと逃げ始める。

 とりあえず、見えない壁から少し距離を離しておかないといけない。

 見えない壁に近い場所だと、気を付けても見えない壁側へと追い込まれる可能性はあるだろうから、その状況を回避するためだ。

 

 そして、逃げては追い付かれて回避し、また逃げるを繰り返しながらゴーレムの倒し方について再度考える。

 あの壁に当たってしまったということは、例え核があったとしてもウッドゴーレムと同じ方法では分からないということだ。

 ならば、次の方法を考えなければいけない。

 とりあえず、同じゴーレムなので核はあるという前提で動くことに変わりはない。

 問題は、その核がどこにあるかだ。

 ここで一番不味いのが、ゴーレムの体内に核がある場合だ。

 ウッドゴーレムではそんなことは無かったが、このゴーレムでも無いとは限らないだろう。

 いや、ボスだとすれば逆に体内にある可能性が高いかもしれない。

 そうすると、あの体に傷をつけることがほぼ不可能な現状では勝てる見込みが無くなってしまう。

 ただそれは核を攻撃して勝つ見込みについての話だ。

 正直なところ、現状で最高攻撃力のプレイヤーが攻撃したところであのゴーレムにダメージを与えられるか考えると、無理だと思う。

 ならば他の倒し方が用意してあるはずだ。

 それに試練1や2から考えて、この試練は戦闘による力より重視している力があると思うのだ。

 それは、情報だと思う。

 試練1は事前に弱点さえ知っていればかなり楽になる様な試練だった。

 試練2は事前に回復草を知っていれば、西の森を抜けてこられるプレイヤーなら余裕な試練だった。

 勿論、情報だけでは突破は難しいだろうが、明らかに重要項目ではあるはずだ。

 ならば試練3も当然何らかの情報を知っていれば一気に楽になる可能性は高い。

 そして、試練3はゴーレムを倒す試練。

 ならば情報となるのはウッドゴーレムの可能性が高いだろう。

 現時点で知っているウッドゴーレムの情報は、あまり多くは無い。

 そして、一番有力だった情報は先程意味が無いと分かっている。

 他に残っている情報は核が弱点であるということくらいだろう。

 だが、この試練は情報を現地調達できると思うのだ。

 試練1とは違い、試すことができる。

 試練2とは違い、外れていても失敗にはならない。

 ならば今調べることは可能だろう。

 

 そして、調べたいのが核の位置ならば、まず考えるべきは核の位置を探す方法だ。

 だが、先程確認された通りウッドゴーレムと同じ方法は使えない。

 なので現状では逃げ回りながら様々な場所を見て回り怪しい場所やおかしな点などがないか探そうと思う。

 もし逃げている途中に、ゴーレムが不自然に避ける箇所があればその地面が怪しいだろう。

 あとは森に移動したときにゴーレムが木にぶつかる位置取りで逃げてみてゴーレムが木を避けるかどうかも試してみたいと思う。

 他の方法はまた逃げながら考えることにして、一旦はこの方向性でいこう。

 そして、暫く探しても見つからないようだったら核はゴーレムの中にあるとして考えてみよう。

 

 

 

 前方に森が見える。

 どうやら最初の位置の近くまで戻ってきたようだ。

 ゴーレムから逃げながらも回避の時などにゴーレムの足跡を確認しているがまだおかしな点などは無い。

 また、周りもできるだけ観察しているが、やはり怪しい場所やおかしな点は無い。

 本当ならまず草原の方を端から探していくほうが抜けが無くなるのだろうが、そろそろイナバとルビーが心配になって来たので森の方から探しておこうと思う。

 それに合流できれば3人で交代しつつゴーレムの相手をすれば、周囲をよく観察できるようにもなるだろうからね。

 

 

 

 森の中に突入しようとしたところで、イナバを発見した。

 やはり森の中にいたようだ。

 そこでイナバを呼ぼうとして、止めた。

 イナバの正面に人形が見えるのだ。

 どうやらイナバは人形と戦っていたようだ。

 ルビーの姿は見えないが、多分同じく人形と戦っているのだろう。

 

 もしかして森の中には初めから人形がいたのだろうか?

 それでイナバ達は初めから人形の存在に気づいていて、ゴーレムに攻撃が通じないと思って人形の方を倒しに行ったのだろうか?

 

 ならばここは2人を手伝いに行くべきだろうか?

 いや、ダメだろう。

 ゴーレムを引き離せない以上、助けに行けばゴーレムも連れていくことになる。

 そうなれば、逆に状況は厳しくなる可能性が高い。

 それにイナバ達はこちらに人形に意識を向けないようにして、できるだけゴーレムとの戦闘に邪魔が入らないようにしているのかもしれない。

 そうだとすればその頑張りを無駄にすることになる。

 

 ここは合流は諦めて草原でゴーレムの核を探そう。

 まずは草原の隅を探してそこから地面の中に核がある可能性を検証していこう。

 そうと決まれば人形が気づかない内に、早く森を離れないといけない。

 こちらに意識が向いてしまうから声はかけられないけど、イナバ、ルビー、頑張って!

 こちらも頑張るよ!

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